大好きな!モーツアルトのヴァイオリンとビオラのための協奏交響曲」を聞いてきました。 |
モーツアルトは美しい曲ばかりで、どうして一人の人間がこれだけ沢山の美しい曲を作ることができたのかは人類史上でも最大の謎の一つとなっています?
というのはおおげさかも知れませんが、ほんとうに美しい曲が多いのには驚くばかりで、このヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲(K364)もその中の一つです。
特に悲しさと甘美さが空に吸い込まれていくような第Ⅱ楽章は、いかにもモーツアルトならではの透明感あふれる美しい楽章だと思います。
僕がこの曲の演奏で良く聞くのはクレーメルがアーノンクールと入れたモーツアルトのバイオリン協奏曲全集の一曲目に入っているものです。
クレーメルはこの後、手兵のクレメラータ・バルテイカと同じバイオリン協奏曲全集を出しているのですが、残念ながらその中にはこの曲が入っていません。
確かにバイオリン協奏曲全集にはいるべき曲かどうかはわかりませんが、バルテイカのファンとしてはこの演奏でも聞いてみたかったものです。
もう一つ良く聞くのが音色の暖かさで知られるグリュミオーとアルゴ・ベリッチャによる1964年録音のものです。ヴァイオリンの音色のタイプが異なりますが、どちらもとても良い演奏だと思います。
その名曲を一度生で聞いてみたいと思っていましたが、たまたま神奈川県立音楽堂のスケジュールを見ていたらこの演奏の予定を見つけました。
ここはなんといっても僕の一番好きなコンサートホールである上に、そこで好きな曲を聞くことが出来るとなれば願ってもないことので即座にチケットを購入しました。
僕の好きなコンサートホールはここと、もう一つが東京文化会館の大ホールと小ホールなのですが、共に前川国男の設計という共通点がありました。
しかしまったく設計者のことを知らなくてもこの二つの建物にはおおきな共通点を感じます。
それは建物に入った時の雰囲気がとても伸び伸びとして解放感に溢れていることです。
その理由を考えてみますと、それは外の風景と建物の内部の空間が連続していることにあるように思えます。
共に回りを大きな木で囲まれているという場所に建てられています。
そして大きなガラスからその木々や陽の光、もしくは夕闇や木々のシルエットを見ることが出来るのです。
外と連続した建造物、これがたぶん設計者の意図したことではないのかと僕には思えます。
建築物そのものが独立した存在なのではなく、周りの風景やその場所そのものと見事に融和しているのです。
入場するのに意味不明の長いエスカレータに乗ったり、入ると窒息しそうなほど狭いロビーしか無いこれ見よがしに立派なだけの最近のコンサートホールとの大きな違いがそこにはあります。
その上音まで良いのですから不思議です。
東京文化会館は古いですが、ステージから一番遠い三階席でもオーケストラの音がまったく痩せないで聞こえる珍しいホールです。
小ホールの現代美術館のような凝った造形も素敵です。
真ん中より後だと音が上に抜けてしまうという副都心にあるホールなどとはまさに雲泥の差と言えます。
神奈川県立音楽堂もロビーにいながら季節を感じることのできるホールです。
しかも音が滅法良いのです。
残念なのはこんな素晴らしいホールにも関わらずプロの演奏会や多数来日する外国人演奏家のコンサートが極端に少ないことです。
普段はママさんコーラスの発表会や高校生のブラスバンドばかりというのは、これだけ素晴らしいコンサートホールなのに本当に寂しい限りです。
というわけで好きな曲と好きなホールでのコンサートが悪いものであるはずがありません!
演奏は神奈川フィル、指揮は1984年生まれのフレッシュな若者!川瀬賢太郎。
このホールが好きなので金聖響指揮による演神奈川フィルは何度か聞きましたが、なかなか素晴らしい演奏でした。
今回は若い指揮者だったので、さすがに金聖響ほどのまとまりは無かったように感じましたが、神奈川フィルのスタープレヤー、スカGのしゃこたんに乗っている族の頭、のように見える?ヴァイオリニスト石田さんの腕は確かで、その外見とのギャップが
大きくて聞きどころにプラス見どころも満載です。
このような素敵なホールで好きな曲の演奏を聞くと随分と幸せな気分になれるものです。
演奏者で選ぶコンサートもあればホールで選ぶコンサートもあり、好きな曲で選ぶコンサートもあります。
この3つが揃った時が一番楽しい時間が過ごせるのかも知れません。