古いアンプのことばかりですみません。パイオニアのプリアンプC-21 |
すでに2013年だと言うのに、しかも2000年を越えてから始めたオーデイオの話なのに、なぜか古いアンプばかり登場して恐縮です。せっかくなのでついでに書いてしまいましょう。
もう一台忘れられないプリアンプがあります。
それはOさんが真空管アンプに一番良く合うトランジスタープリアンプだと言って持参してきたパイオニアのC-21というプリアンプです。
調べてみると1978年の発売とのこと、ちょうど2002年頃の話ですからすでに当時でも相当昔のものでした!
まだオーデイオ力が弱くて何が何だか分からなかった僕ですが、2A3の真空管アンプに繋いでみるとその素直で柔らかい音に、これだっ!と思いました。
聞いてみるとOさんはこのアンプがまだ発売されていた時に数台買い求め、それをまだ持っているそうではないですか。
そこで一台譲って欲しいとお願いすると、SQ38の時とは違って、こちらはすぐに譲ってくれました。
文字通りの新品、元箱にはいった取り説付きのピカピカの未使用品でした。
しかし気にった製品を数台購入してこうやって20年以上も保管している方がいるのですから、ほんとうにオーデイオの世界は奥が深いものです。
機能としてはボリューム付きフォノイコと言った感じのシンプルな薄型のプリです。デザインもとてもすっきりしていて好感が持てます。
フォノにはカートリッジのインピーダンスに合わせて調整するダイアルが付いています。調整機能はボリュームのほかにこれだけです。
確かに微妙に音は変るのですが、それが実に微妙で、どのポジションが良いかを決めるのは僕には至難の業でした。
果たしてこんな機能が必要かどうかはなはだ疑問に感じました。(その後同様の機能が付いたプリが出現しなかったところを見ると僕と同じ様に感じた人が多かったと推測されます?)
それはともかく、これは良いプリを発見したわいと、あまりの嬉しさに手先の器用な友人にこれ専用の木製ケースまで作ってもらったのでした。
それなのに、このプリをあまり長く使用していた記憶がありません。
その後わりとすぐデンオンの1001プリとパワー(改)に移行したからだと思います。
実はこのアンプまだ我が家にあるので、時々思い出したように繋いでみます。
確かに素直でやさしい音なので一聴するとなかなか良いと思うのですが、特にSN比が良いわけでもなく、エネルギー感があるわけでもなく、ひたすら素直なだけなので何となく面白くなくなってしまいます。
それでも僕はたまに聞いてみるたびに、結構良い音じゃん、これで十分かなと思ってしまうのですけど、我が家でこれを聞いたことのあるオーデイオの諸先輩方はことごとく一聴しただけで、何の感想もなく見事に無視するのでその評価のほどがわかると言うものです!
実は僕の脳内イコライザーは強力なので、どんな機材を聞いてもただちに良いほうに調整してしまうのです。
なんという素晴らしい能力を僕は持っているのでしょう。これさえあれば高価なアンプなど必要ありません。
(こう書くとなんですけど、要は僕の音の良しあしを判断する能力がオーデイオ諸先輩方に較べ大いに劣っているということなんです、10年数年の経験でその実態にやっと気がつきました。残念。)
それにしても、プリアンプというのがどういう機能を持つものかいまだに正確に理解することが出来ないのですが、プリアンプで音がものすごく変化することは随分と経験しました。
スピーカーの次に音の変化が大きい機材のように感じます。
人によってはプリなんか使わずにボリュームBOXだけの方が良いに決まっていると断言する方もいます。
単純に考えると余計なものが間に入らな無い方がストレートに信号が伝わり易いはずでもっともな意見に聞こえます。
ところがボリューム付きのアンプでテストして見ると、やはりプリを介在させた方がなぜか良く聞こえる事が多いのです。
僕が使った真空管パワーアンプはすべてボリューム付きだったので、プリを通した場合と直接接続した場合と比較することが出来ました。
その中でパワーに直接繋いだ方が良かったのは5種類の内たった一種類だけでした。
しかもその一種類は最初からCDプレヤーと直接繋ぐことを前提に設計されたていたようでした。
ということは中には直接つないだ方が良いアンプもあるということなのですが・・・
現在使っている金田さんが最近設計した電流伝送式のシンプルな回路を持つプリアンプには驚きました。
その前まで使っていた真空管式のアンペックスのプリアンプと比較すると静けさが格段に違うばかりか、楽器と楽器との間の空間の存在、音の広がりなどすべてが別次元のように違うのです。
真空管プリは勢いの良さと音色の厚みがありますが、なんとも重苦しく音が固まってほつれません。
滑らかさという点でも金田プリのほうが格段に滑らかで、アンペックスのほうがむしろきつさを感じてしまいます。
このプリは単三乾電池8本で駆動するというエコなやつです。しかも以前使っていた前の回路の金田式の乾電池プリに較べると乾電池の消費量も半分以下という優れもので、ほとんど毎日聞いていても一月近くは持ちます。もちろん音も随分違うのですけど!
しかし今振り返ってみると初めて使ったプリがLUXMANのC03、その後アキュフユーズのC200V、ダイナコパス3、そしてこのパイオニアC21とどんどんグレードダウンしているように見えるのは何故でしょう?
実はそれはすべてその時出会った人たちの影響によるものなのです。
僕のオーデイオはまず人に出会い、その影響で機材が決ると言う、きわめて自主性の無いものなので出会った人に連れて、こういった脈絡のない機材選びになってしまったのです。
しかし機材よりも出会った人たちのほうが個性的で興味深くて楽しかったのはありがたいことでした。
オーデイオ趣味の面白さはむしろこちらの方にあるのかも知れません?
でも、私がお薦めした物はほとんどお使いになられていませんね(苦笑)。
私の回りで、コストパフォーマンス命でオーディオをされているのは、 omoshiro-zukinさんだけなのです。オーディオでむやみやたらと散財する人もおりますが、根が吝嗇な私は、ばからしくてやれません。反対に性能とコストを比較するのも、逆にビックリです!??
それでも根がケチだからかこんな値段でこんな性能のアンプ!!なんていう物にめぐり合うと本当にうれしくなってしまいます。SD-05なんかはそういう意味では実にコストパフォーマンスの高いアンプだと思います。同じコストパフォ-マンスが良いといってもその値段との関係はあくまで相対的なものであり、またきわめて個人的なものではありますね!