おいしい朝食が食べたい! アメリカン・ブレックファーストは美味しい! |
「おいしい朝食が食べたい!」この簡単な言葉からだけでも頭に浮かぶイメージはそれこそ千差万別でしょう。
一般的には湯気の立つようなあたたかいご飯に、お味噌汁、納豆や海苔、これに焼いたり、生のままだったりする卵があればさらに完璧!のはずです。
ところが僕の場合(一般的日本人としてはきわめて特殊なんでしょうけれど)「おいしい朝食!」という言葉からまず想像されるのはカリカリのベーコン、薄くてパリパリに焼かれたトースト、軽くてさくっとしたワッフル、薄くてこれまた軽やかなパンケーキなのです。なんという変わり者なのでしょう!(たぶん)
軽やかなパンケーキという言葉には違和感を感じる人が多いかもしれません。
なんとなくもっちりと重いのがパンケーキというイメージが先行してしているようです。昔の喫茶店の厚くてぼってりしたホットケーキが頭に浮かぶからかも知れません。
ところがアメリカで食べるパンケーキはなぜか薄くて軽いのです。
それは同じパンケーキという名前で呼ばれながらも、僕にとってはまるで違う種類の食べ物のようにさえ感じてしまうほどです。
ワッフルにもまったく同じことが言えます。外側がパリとしていて中が軽くてサクサクした焼き立てのワッフルは、日本で一般的に売られているベルギーワッフルと呼ばれているものと同じ名前でありながらスイカとキャベツほど?違うものなのです。
しかしこの手の甘い物が存在している朝食というのは見ただけでもウンザリという人も多いようです。
以前会議で米国に行った時、朝食に薄く焼いたクレープにリンゴを甘く煮たものが添えてあるものが出たことがあります。
喜んだのは僕だけで、これを一目見たただけで「なんで朝からこんなもの食べなくてはいけないんだよ!」と悲痛な叫びをあげていた人がほとんどだったのです。
一般的には僕の方がきわめて珍しいのでしょうが、僕と同じように感じる人もなかにはいるはずです。なんせ広い世間です、自信はないですけどそう信じることにしましょう。
最近では日本でもパンケーキがブームになっているようで、人気パンケーキのお店の前を通るといつも長蛇の列が出来ています。そのうちワッフルもブームになりそう?
もし資金と腕ともうちょっとの元気があるのなら、自分でおいしいパンケーキ屋かワッフル屋さんを開いてしまいたいほどです。
一方でかつて長蛇の列が出来ていたドーナツ屋さんが今ではひっそりとしているのを見ると、パンケーキ屋さんもそうならないようになるのを祈るばかりです。
(いつしかひっそりと姿を消してしまったドーナッツプラントのご冥福を祈ります!わざわざ白金まで行って並んで買ったことだってあったのです!)
もひとつ朝食に欠かせないのがカリカリに揚げられたベーコンです。
日本のリゾート地の朝のバッフェに並ぶしおれたような薄くてペナペナしたベーコンには正直がっかりするばかりです。
都心のホテルの朝食でさえ同じようなものなのですから不思議です。
パンケーキと同じように同じベーコンと言う名前なのにこれほど違う食べ物なのには一体どういう理由があるのでしょう?まったく不思議なことです。
不思議といえばオレンジジュースも不思議の一つです。
アメリカの朝食にはつきもののオレンジジュースはお店でもスーパーで並んでいるものもすべてフレッシュ(天然絞り)というやつです。
ところが日本ではなぜかほとんどが濃縮還元というものなのです。
たぶん何らかの輸入制限とか関税とかの問題があるのだと思われますが、味の違いは歴然としているのに国産品までもが、なぜいつまで濃縮還元ばかりなのかとても不思議です。
ベーコン、パンケーキ、オレンジジュースのようなものでさえ、しかも文化的にもっとも親しいと思われるアメリカと日本でさえこれほど違うのですから、さまざまな宗教や政治の問題に世界の人々が共通の認識を持つことがいかに難しいかが偲ばれると言うものです。
という高尚な考察はともかくとして、塩辛いカリカリしたベーコンにジャムをつけたパリパリしたトーストやシロップをかけた甘いパンケーキはなぜかとても良く似合うのです。
それにイチゴやメロンなどのフルーツ、そして両面焼きにした目玉焼き(もちろんお好み次第で片面焼きでも!)、さらにハッシュポテトがついて、フレッシュなオレンジジュース、熱くておいしいたっぷりのコーヒーがあれば完璧です。
こんなの毎朝食べていたらさぞかし太ることでしょう!
もちろん日本でもこのような朝食が食べられる店があることは知っています。
たとえば我が家から自転車で行ける海岸にこういう朝食が食べられるという海外から来た有名なお店があります。
しかし同じようなものを食べるとなんと2,000円を軽くオーバーしてしまうというそのお値段が険しい壁となってそびえ立っているのです?
しかもこんな高いお金を払っても人が沢山並ぶというのですから困ったものです。
未だに米国の2倍の料金を取ってもお客さんが入ると言うのですから「もはや戦後は完全に終わった」と言う言葉が疑わしくなるほどです?
そうは言ってもアメリカで食べる朝食がすべて美味しいというわけではないのは、ランチやデイナーと同じで、美味しいところは美味しい、まずいところはやっぱり不味いという原則は世界中で共通しているのが残念なところ。
同じようでいながら結構差が大きいのがいわゆるバイキングスタイル(ブッフェ)の朝食です。だいたいにおいてリゾート地のビュッフェは高くて美味しくないというのが通説のようですし僕もまったく同感です。
特に日本で一番ポピュラーな、あの有名リゾート地のホテルの朝食は問題ですよね!
バッフェスタイルの朝食と言えば思い出すのが台湾の台北のあるホテルの朝食バッフェです。これはすごかったです!今思い出しても朝食だけ食べに泊まりに行きたいくらいです。
なんといっても本格的な飲茶に麺類、これだけでも十分満足できる内容なのにそれプラス、完璧な洋食、好みのオムレツを作ってくれるコーナー、豚の足のままのように見える豪華な骨付きのハムを切り分けてくれるコーナー、何十種類のペストリー、山盛りの多種多様なフルーツのコーナー、などなど種類が多くてとても全種類など食べきれません。
朝早く来て朝食バッフェの終了するお昼まで食べ続けていたいほどでした?
上の写真はサンフランシスコのユニオンスクエアのすぐ傍にあるという、地の利の良い場所のわりには安くておいしい朝食の専門店、「TAYLOR STREET COFFEE SHOP」のものです。トーストに見かけよりも沢山あるフルーツ、卵2個にベーコン2枚がついて、たっぷりのコーヒーをお代わりしてチップを入れても10数ドルです。
願わくばこのような美味しい朝食をリーズナブルな値段で食べさせてくれるお店が近所にできますように!
ふう、たかが朝食のことを書いているだけなのに随分と力が入ってしまいました。
アフリカでひたすら草を食べ続けている草食動物たちを見ていると、食べるという行為が生きるという行為そのもののように見えます。
そういうのを見ると、やっぱり食べるということについてはいやでも力の入るのも止むをえないなとも思うのです。
甘いシロップを掛けたバターと砂糖たっぷりのパンケーキさえなければ、何とか生きていけます。昔の、カウンターでおじいちゃん、おばあちゃんがふぁみりーで経営していた食堂や、街角のホットドックや、本物のハンバーガーを挟んだ、バーガー屋さんなどが、どんどん消えて行っています。初めて米国に行って、カルチャーショックを受けた、1975年当時のお店は、もうすっかり消えているのです。