ロードバイクがやってきた。IYA―!嫌ー!・IYA―! ロードバイクへの長くて遠い道のり。 |
BD1に乗り出してからは日常の足としても、楽しみの一つとしても無くてはならない相棒になってしまいました。
4年間で2万キロ近く乗りすっかり馴染んだと思っていたら、2か月前の突然の原因不明の大転倒、いまだ伸びた小指のじん帯が完治していないというのにBD1への愛情は少しも変わることが無く相変わらずの蜜月状態が続いているのはわれながら不思議です。
ところがそんな平穏なBD-1との日々に降って湧いたような波乱が起きることになってしまったのです。
それは親戚のある人が引っ越しをしたのですが、室内にロードバイクを保管することが出来なくなってしまい、その結果僕がそのロードバイクを頂いてしまう!ことになったのです。
待てば回路の日よりあり、というか、わらしべ長者というか、それともだらだらとBD-1で走っていた僕にもっとビシーっと走れと自転車の神様からの愛の鞭?が下ったのでしょうか?
とはいえロードバイクといえば僕にとって同じ自転車とはいえ一番抵抗のある乗り物です。
まずあのスタイルが嫌い!
ピチピチパンツとスパイダーマンのようにボデイラインをくっきりと露わにした【お前スーパーヒーローかよ!】と言いたくなるようなマッチョスタイルがまず駄目です。
(誤解のなきように、プロやレースに出ている人があのスタイルをするのは必然性があるので、むしろカッコよく思います。僕がいやなのはロードに乗る人は猫も杓子もレーサーみたいなカッコをして乗らなければいけない?という風潮そのものなかも知れません)
しかもBD-1乗りの僕が自転車道路でいつもロードバイクに蹴散らされているように、【そこどけ!そこどけ!】とばかりにぶっ飛んで行く傍若無人ぶりも嫌いです。
ある知人のようにロードバイクに乗っている人は【みるからに性格の悪そうな人ばっかり!】だと断定している人さえもいます。(もちろん真偽のほどは不明です!たぶんほんとは良い人ばっかりだと思います?)
ともかく僕にとってはロードバイクはあまり好感が持てる乗りものではなかったのです。
そもそもBD-1に乗っている理由は、いざとなったら畳んで帰れる、小さいので危ないときは歩道に逃れられる、それほどスピードが出ない、など楽で安全というキーワードが
沢山存在するからです。
それにBD-1に乗っていて追い越されても、こっちは小径車だからという立派な理由があるので、ゆっくり走るのがちっとも恥ずかしくないのが最大のメリットだったのに、もしロードレーサーに乗っていて登り坂でママチャリと勝負しなければならない事態に直面したらどうすれば良いのでしょう!
しかし世の中には【嫌いは好きの始まり】【憎さあまって可愛さ100倍】と言う言葉があるように、ちょっとだけ羨望の入ったまなざしで横目でちらちらとロードバイクを見ていたことも確かなのです。
ともあれそんな訳で、なぜかロードバイク嫌い?な僕のところにロードバイクがやってくることになりました。
いそいそと車で受け取りに行ったのですが、実際に実物を持って見るとその車体の軽いこと、BD-1のほうが半分以上小さいのに重さはこらの方が明らかに軽いのです。
さっすがロードバイクと早くもそんなところに感銘を受けてしまったのでした。
持ち主の話だとフレームにお金をかけたので、他の部品は予算がなくなって安いグレードのものしかついていないとの事です。
その上、誰かに貸した時、その人が転倒してギアがうまく入らなくなっているので一度きちんとメンテした方が良いとのことでした。
早速いつもBD-1のオーバーホールをしてもらっている知人の元自転車屋さん店長のTさん(現在他の職業です。良い腕なのにもったいないことです)に連絡を取り調整をお願いしたのでした。
僕はドロップハンドルやビンデイングペダルに抵抗があるので、ハンドルをフラットにペダルを普通のやつにしてクロスバイクに改造してもらおうと思ったのですが、【それはもったいない
せっかくなのでまずはこの仕様で乗ってください!】という一言で却下、しかもこのフレームにこの部品では勿体ないということで部品もすべて交換するという、ちらっとロードバイクを試す
という試みがしっかり大事業になってしまったのです。
予算の都合もあり今までのよりは良いですが、クロスバイクなどで使われているそこそこのグレードの部品に交換することになりました。
ただしブレーキだけは、僕にとっては自転車の神様のようなM大先輩のアドバイス、【他の部品は何でも良いけどブレーキだけは良いのを付けた方が良いよ】という一言で一段高いグレードのものを付けてもらうことにしました。
そんな事をやっている間に常時ヒルクライムに出場しているAさんがさらなるタイムアップを目指してホイールを交換したという情報を聞きつけ、すかさず古いホイール(タイヤ)を譲ってもらうことになり(無料で!)、電車で2時間かかってAさん宅から手でぶら下げて帰ってきたのですが、大きいのに軽いのには驚きました。
結果この譲ってもらったアルテグラのホイールが一番グレードの高い部品となってしまいました。
部品を組んでいるTさんから完成したと連絡があったのはつい数日前のことでした。
【近所の激坂上ってみたけど、いいね、このフレームすごくいいよ!】とのインプレ情報に期待と怖さ(比率としてはこちらが大)が膨らんだのでした。
出来あがったロードバイクを見るとかっこよすぎてとても自分の物とは思えません。
乗って見るとやっぱり怖いぞ!
何が怖いかと言うとまずはライデイングポジションです。下ハンを握るとつんのめりそうな気がするほど前傾なのがまず怖いです。
かといって上ハンにするとブレーキがかけずらいのです。
僕の手は小さいので余計にそう感じるのでしょうが、急に思いっきりブレーキをかける場合など本当にこれで力が入るのか心配になるほどです。
またBD-1と明らかに違うのがタイヤの大きさです。ちょこちょこと小周りの効くBD-1とは違い、ハンドルを大きく切ったら足に当たってしまうではないですか。
止まって足を着く時も小柄なBD-1と較べるとずっと窮屈に感じます。
ちょっと漕いでみるとさすがに早いです。BD-1とはまったく違う種類の乗り物のようです。
感覚的には6速マニュアルのポルシェを運転するのとオートマの軽自動車を運転するくらいの違いがあるのです。(もっとかも知れません!)
後ろが9段で前が2段とギアが沢山あるのはいいのですが、沢山ある分だけスムーズに入らない時もあります。特に前ギアを変えるときは思った以上に力がいるので驚きました。
もっとスムーズにギアチェンジが出来るのはもちょっと部品をグレードアップしないと駄目なようです。
まったくロードバイクはなんともデリケートな乗り物なのです。
というわけでファーストインプレッションは双方にとってあまり幸せなものとはなりませんでした。
さてロードバイクと一緒に頂いたビンデイングシューズは幸いなことに(運悪く?)僕の足にもぴったりだったので、当初予定していたフラットペダルではなくこのままビンデイングペダルで乗ってみることにしました。たいていのロードバイクはこれですし、街で見るピチピチ艦隊ももちろんこれです。
僕だって使いこなせない訳はない!と思ったのですが・・・・・
まずは怖いので家の周りで、しかも片足だけ履いて練習してみることにしました。
これがやっぱり怖いのです。ゆっくりと落ち着いてやれば難なく外れるのですが、ブレーキングと同時に外そうとすると思うように外れません。
しばらく片足ずつ練習してみましたが、急に止まろうとして結局はガッシャン!と思いっきり立ちこけしてしまいた。
運悪く遠くから車の中から見ていたヤマトの配達のお兄ちゃんに大丈夫ですかと声をかけられてしまいました。
うーんこれだったら練習のために子供の自転車のような補助輪が絶対に必要だ!!・・と思ったのですが、そんなものがあるはずもありません。
ともあれ公道では危なくてしょうがないので後日、日を改めて広々として安全な公園で練習することにしました。
そして今これを書いているのはその公園から帰ってきたばかりです。
膝小僧には擦り傷、心にもすり傷、そして買ったばかりのモンベルのタイツにも穴があいて、がっくりとしているところです。
我が家から30分ほどで行ける引地川親水公園はなかなか広々として感じの良い公園です。
訪れる人もあまり多くなく、広い公園内には細い遊歩道もあれば、芝生も沢山あるので練習には絶好の場所です。
怖いのでここまでは普通のスニーカーで乗ってきたのですが、いよいよリックに入れてきたビンデイングシューズに履き替える時がきたのです。
両足にこれを履いて乗るのは初めてです。しかし冷静に考えてみればまず片足(出来れば歩道側の左足)が先に地面に届けばよいのですから、片足だけ履いて練習した時と大きな差はないはずで・・・・たぶん。
しかしさすがに両足ががちっとペダルに固定されてしまうと、それだけでも緊張してしまいます。
倒れても良いように芝生の上をゆっくりと走りながら練習します。
芝生の上で何度も何度も外したりはめたりして、しばらくの間練習しているうちになんだか大丈夫そうな気がしてしまいました。
そこで舗装してある遊歩道に出て少しだけスピードを上げてからブレーキをかけ止まる寸前に外す練習にトライしたとたん、止まる寸前に足が外れません。あせって【あっ、これはいかん!】と思っている間にガッシャンと見事に立ちごけです。
膝小僧をすりむいて血が出ているのが見えたのですが、それよりもショックだったのは買ったばかりで初めてはいたモンベルのUVカット、超薄型のスポーツ用タイツの膝が見事に破れているではないですか!
せっかくここまで来てるんだから、せめて芝生の上で転べば良かったと思ったのですがむろん後の祭りです。がっくり。
それでもくじけずに再び安全な芝生の上に戻り、再び何度も練習を繰り返したのでした。
余裕を持って外すような場面ではまったく問題はありません。
問題は街中で急に車が出てきたり、何かが飛び出してきてブレーキをかけて急に停車する場合です。
そんなシチュエーションは街中では結構あるはずなので、それを想定しながら練習してみますが、どうもあせってしまうと上手くいきません。
ブレーキに気を取られると、足まで意識が届かずなぜかパニックってしまい再び芝生の上でも転倒したのでした。
それでもしばらくやっているうちにまたもや結構自信がついてきたので、芝生の上とはいえ多少スピードを上げてから急停車する練習をしてみたところ何度かトライしているうち本当に茂みに突っ込みそうになり、あせればあせるほど足がはずれず再び見事に転倒です。
転倒した時に外れてしまったチェーンをかけながらさすががっくりです。
このころになるさすがにげんなりしてきます。それに普段使わない筋肉を使ったせいか足腰が痛くなってきました。
そういえば学生時代から僕は本番に弱く、パニくる癖があったようです。発表会のステージでも簡単なコードを忘れて立ちすくんだこともありました。
どっちかと言うとすぐあせってしまう性格なのです。それに追い打ちをかけるのが不器用さです。
この二つの性格が一致協力して僕がビンデイングをうまく使いこなせないように邪魔をしているのに違いないのです。
しかしこの年になるといまさらこの二つの性格を改善するのも難しく思います。
この状態だと街中で乗るのは危ないではないですか!しかもこれが自信を持って出来るようになるのはいつのことになるやら!
そうなると一番良いのは己を知って諦める事かも知れません。
安全性を最優先して、僕にはベインデイングは合っていない、安全性を第一として諦めるのも立派な年の取り方ではないですか!・・などと思い始めたのも、すりむいた膝小僧は痛いし、無理な筋肉と神経を使ったためにすっかり疲れてしまったためかも知れません。
大人しく靴を履き替え、スニーカーでロードに乗って帰ってきたのですが、途中一つだけ良いことがありました。
それはピチピチルックで太い足むき出しの若者が乗る3台のロードバイクがすーっと僕を抜いて行ったのですが、普段ならあっと言う間に姿が見えなくなる彼らの姿が追いかけてみると何とかしばらく視界の中に留まっていたことです。
やっぱりロードバイクは僕でもスピードが出るんだなというのが少しだけ実感できたのでした。
それにしても疲れたぞ!なぜか足腰がくがくではないですか!
とはいいながらこの後うっぷんを晴らすかのようにジムまで出かけて(徒歩です)汗をながしたのでした。
はたしてこの後ロードバイクとの生活ははたしてどうなるのでしょうか?(続く)
この写真の位置ではあまりにも下がり過ぎです。
本文中で訂正しておきましたが僕がピチピチルックが嫌いなのは街中をすごいスピードで走り回っている兄ちゃんたちのファッションとしてのことです。ヒデ大先輩のようなプロやレースに挑戦している人は別です。失礼なこと書いたみたいですみません。もちろんヒデさんのレーサーすがたはかっこよいです。間違いなく!
立ちごけ・・・私も最初のうちは結構やりました。左足を外したのに右に傾いてしまったりと、慣れないうちは大変です。でも、かならずしばらくすると慣れてきますよ・・・
私もサドルの調整が解らず、試行錯誤していました。7mmも下がっても大丈夫と言うことで、今は、5mmぐらいにして試走中です。随分違う物ですね。
怪我までして、ビンディングペダルをされるのは凄いです。