難しすぎるぞ真空管比較(12AU7)! 真空管で、もちろん音は変わります・・・・? |
なんだかんだとありまして結局は真空管のパワーアンプに戻ってしまった僕ですが、相変わらず真空管音の音のちがいは何とか判別はできるにしろ、何がどうというだと評価するというレベルにはいまだ達していません。
真空管といえばこれがまたやっかいなしろものです。
なんせ本来ならとっくに絶滅した古代の種族なのですが、なぜかギターアンプとオーデイオの世界にはしぶとく生き残っているばかりか無くてはならない存在としていまだに一目置かれているのです。
テイラノザウルスが現代まで生き残って力仕事に使われているみたいなものでしょうか??
真空管の特徴といえば光る!ことぐらいしか僕にはわかりませんが、光らない真空管もあるので、そうなると僕には真空管の特徴などまったく解りません。
しかも消耗品だというのですから大変です。
マニアのお宅を訪ねるとあと100年くらいは使えそうなほどの真空管がまるで博物館のように保存してあるのが常のようです。
もうこれ以上はいらないなと思いながらもつい手が出てしまう、ワイン好きにとってのヴィンテージワインのような存在なのです?
そんなことを思いながらも、なんだか興味はあるのでつい真空管を差し替えたりしてしまいます。これが真空管の持つ魔力かも知れません。
もちろん一番大きく目立っている出力管、300Bを交換すればその効果が一番大きいのはわかってはいますが、なんせ人気のある300Bは高価です。
今回中国製の一番安いものを購入したのですが、それでもウンマン円が吹き飛んだのですから、300Bの比較は金銭に余裕がある方か情熱が経済感覚を上回っている方におまかせしょう。
(興味のある方はそういうまじめなサイトを検索してみてください!)
というかまじめなオーデイオファンにとってもそもそも表題どおりに役に立たないブログなのでベテランとまじめなオーデイオマニアの方はただちに画面を切り替えることをおすすめします。あしからず。
この小さな真空管を交換するだけでもずいぶんと音が変わりますよといわれ、わからないくせに好奇心はたっぷりなので、早速購入したのがすすめられた頭が透明なのでクリアトップと呼ばれているRCA製の12AU7です。
こちらは300Bとは違って4本でも数千円で手に入るのです。(おいおい値段だけで真空管語るなよと、早速まじめなマニアの方から怒られそうで怖いですが、たった数十円安い野菜を買うために何キロの先のスーパーまで車を走らせる主婦だっているのですから、やっぱり値段は大事です・・・なんのこと!)
気がついてみるとこれで今まで使っていたGE製の玉、そしてこちらのほうが高音が綺麗ですよとCさんが持参してくれたフィリップス製の玉、そして今回購入したRCAクリアトップ、さらに同じくCさんからいただいた昔のLUX製の玉となんと4種類の12AU7の比較ができるという状態になったのです。(おお!結構マニアっぽいではありませんか!)
ところが不精な僕のこと、一つずつ入れ替えてそれを比較していくなどという面倒できちんとしたことなどやるはずもありません。
一度入れ替えたら一週間以上はそのままの状態、もしくは気が付くと一月たっていたりもしてしまうのが普通です。
それでも入れ替えた瞬間、というか1時間くらいはその違いに驚いたり、戸惑ったりしながらも、いちおう違いを識別して楽しめるのですが、聞いているうちにどうしても音楽のほうに意識がいってしばらく聞いているうちにそんなことはすっかり忘れてしまいます。
さて久しぶりに現在の僕のオーデイオアドバイザーでもありアンプの作成者でもある(ようするにオーデイオ関係なんでもおまかせ!の)Cさんが遊びにくるというので、その確かな耳で比較してもらおう!とかってに画策していたのです。
(何でも人まかせにしようとするのは現代人の悪い癖ですが、年は食ってますがその点僕は間違いなく現代人です!)
Cさんはオーデイオに限らず本や美術にも造詣が深く、たまにそっち関係の話題になると、僕の持っている知識の数倍深く知っているのでいつも驚されます。
たとえば今上野でひさびさに大規模なバルテュスの展覧会をやっているのですが、Cさんは彼の大ファンだそうで、もちろん見に行ったそうです。
僕が最近仕某所から仕入れたばかりの知識で、【彼は大の勝新太郎のファンなので、バルテュスのスイスの屋敷を訪問したお客さんは帰る前に必ず座頭市を見させられるそうで、スピルバーグも見させられたそうですよ!】などの秘話?を話すと、Cさんはそれに付け加えて【彼の家には勝新が訪れたときにおみやげにもっていった着物が展示してあるそうです】とか【バルテュスの兄のクロソフスキーの小説(『ロベルトは今夜』なども好きです】とか話はさらに広がり、その知識の深さはいつも僕の数倍は上回っているのです。
その上JAZZに詳しいのはもちろんですが、クラシックにも詳しいうえに、僕が新しく発見してはこれは良いですよ!というものは当然すでにご存知で、そういうのが好きならこういうのもあるよと教えてもらったりしています。
さらに電気の知識があり小指のつめよりも小さいやっと見えるような小さな部品を綺麗に半田付けできる腕まであるのです。
個人の能力差というのは、このように一般的に想像されているよりもはるかに大きなものだと日々実感することの多い今日この頃です。
かといっていまさらどうこうするにはずいぶんと出遅れているので、素直にあきらめて、この際あきらめのよさというのもある意味一つの能力に違いないと前向きに考えることにしたのでした。ふう。
さて比較です。
これまでの僕の比較では高域と低域の伸びがあり一番抜けがよく感じるのがRCAのクリアーヘッド、それに近い印象ですが少しおとなしくなるのがフィリップス、後の二つは前の二つに比べるとちょっと平凡、比べなければわからないのですけど、くらべてしまうとちょっとね。という感じでした。
意外だったのは出力管ではなくとも思ったより音が変わるということです。
とはいえ僕の場合は1時間もたつと何もかも忘れて音楽に聞き入っているか、もしくはぐすりと眠っているかどっちかですが。
さてCさんにも聞いてもらいます。
まずはフィリップスです。ついでクリアーヘッド、【こっちのほうが低域も出ますね、広がりも出るようです】もともと口数の少ない方なのでこれでおしまい。
他の2本はいまさら聞くまでもないそうです。(もともとCさんところから来ているのですからあたりまえか!)
というわけで真空管はクリアートップのままでリスニングタイムにシフトです。
Cさんの希望でケンプのバッハの平均律をかけます。
スタジオではなく教会で録音したためか残響音の多いちょっと変わった録音です(鳥の声なども聞こえるそうです)。
Cさんはケンプのこの曲を生で聴いたことがあるそうで好きな演奏のようです。
しかし相変わらず無言のままなので、どうですか!と催促すると、【いやーいい音になりましたね】。とのこと、ほんとか?
そんなわけで結局は真空管の聞き比べなどにならず、ひたすら聞くだけの二人でした。
続いて同じ曲をECMの録音でシフの演奏したもの、(かなり雰囲気が変わります)
続いて最近僕が仕入れた中から特に音がよいと感じていたものいくつか。
カラヤンが日本で残した最後のライブ録音、東京文化会館でのライブ【展覧会の絵】、テレデックレーベルの指揮プレヴィン、ウイーンフィルによる「英雄の生涯と最後の4つの歌」グラモフォンレーベルのカラヤンベルリンフィルで同じ曲(最後の4つの歌はヤノビッツが歌っているほうです)。
そしてこれは以前から持っていたのですが300Bになってから特にピアノの響きが美しくなり、すっかり気に入って12番13番も手に入れたという、アンネローズシュミットの演奏するモーツアルトのピアノ協奏曲27番。
そしてバイオリンの音もぐっと良くなったのでデユメイとピリスによるフランクのバイオリンソナタ、などなど音のよいと思われるCDをかけ続けます。
僕はといえばあまりの音のよさにひたすらうっとりして聞きほれるだけです?
ほんとに300Bになってからののびのびとした音は素晴らしい!と自画自賛。もうこのころにはすっかり真空管の違いなんてどうでもよくなってなっています。
そして最後にアナログでメニューインの弾くモーツアルトバイオリン協奏曲、【レコードもとてもよい音になりましたね!】という感想です。ほんとか?
確かに僕はそう思いますけどね・・・・。
というわけでひたすら聞くだけとなり、もくろんでいた真空管聞き比べにはなりませんでしたが、おおむね僕の印象も間違っていなかったようなのでほっと胸をなでおろしたのでした。
帰り際のCさんの言葉【このDAコンバーターはどっちかというと、音のメリハリをはっきりとさせるクリアーな音なのですが、今僕が使っているコンバーターのほうがクラシックに向いているかも知れませんね、今度持参しましょう】とのことでした。
ほら!やっぱりなんか足りない??
というわけで今回もまったく役にたたない話でしたが、出力管を交換しなくても結構音が変わることがわかったのが僕にとっては収穫でした。
この話を他のオーデイオマニアの方にすると、何をいまさらというような顔で【そうなんだよね、変わるんですよ、昔さんざん比較をしたものです。整流管も交換するとすごく変わりますよ!】とのことでした。やっぱりね。
それを聞いて整流管は消耗も早いそうなので今のうちにもスペアーを用意しておかなくては!とすぐ物色を始める僕でした。・・・こうやって古くからの真空管ファンの方は100年使えるほど沢山溜めこんで行ったのでしょう。
やっぱりオーデイオはすぐには出られない迷宮の世界です。