どうしてこんなに年寄りの元気がいいんだ!80歳を超えたミュージシャン達の驚くべきアルバム。 |
【日当たりの良い場所の銀杏はこんなに色づいてきました。今回の写真も内容と関係ありませんが10月の僕の周りの風景を切り取ったものです】
ここ数年やけに年寄りのミュージシャンの元気がよい気がする。
ほんとは年よりが元気が良いのはミュージシャンだけではない気もするが、他の分野はわからないので、まずは最近聞いた80歳を超えたミュージシャンが出したニューアルバムのお話。
クラシック、特に指揮者の世界では高齢というのが巨匠の一つの条件みたいなもので60歳はまだ鼻たれ小僧?みたいな一般世界との時空のずれがありますけど、少なくとも歌手の世界ではさすがに高齢者は目立ちません。
ところが最近のポップスやJAZZの世界では高齢者が元気なこと元気なこと!なんと80歳を越えた方々がどんどんとニューアルバムを出すのには驚きます。
まずはカントリー界の大御所ウイリーネルソン、というより彼はもはや米国ではカントリー界という枠を超越した存在になっていると想像しているのですけど・・。
2013年の4月80歳になったばかりのときに出した【レッツ フェイス】そしてその年の年末には全曲女性とデユエットした【TO ALL THE GIRLS】と昔のスタンダード曲を織り交ぜたにニューアルバムを多々続けに発表しすごいなと思っていたら,さらに今年になってからオリジナル曲を中心としたアルバム【BAND OF BROTHERS】を出すという元気ぶり。
その歌声もまったく衰えることなく相も変わらないウイリー節なのには驚くばかりです。
年取ってからも相変わらずドラッグで捕まったりしているというやんちゃぶりにも驚かされます。
もっとすごいのがトニーベーネットです。
こちらもウイリーと同じく米国の歌手のレジェンドと言うべき存在。
はるか昔、泣く子も黙る名ピアニスト ビル・エバンスのピアノを伴奏に歌った2枚のアルバムはもはや歴史上のものかと思っていたら、80歳の誕生日に若々しい声で様々なビッグアーテイストと競演した【デュエッツ】を発表して世界中を驚かすという活躍ぶり。
その5年後には、さらにデユエッツ2を出し、これで終わりかと思ったら次にはラテン系の歌手ばかりと競演したデユエッツ3まで出すという元気さ。ほんとに良くやるなと思っていたら、今年になってからさらにレデイ ガガとの共演【チーク トウ チーク】を発表!
彼は1926年の8月生まれ、ということは今年なんと88歳ですよ!
この間NHK・BSで放送されたミッシェルルグランとナタリーデセイのコンサートは実に幸せ感に溢れたライブでした。
実際の公演が行われたのは今年の夏、夜遅くまで明るい野外、それも特別スペシャルでゴージャスな場所、ベルサイユ宮殿の庭。水や宮殿の建物を背景にだんだんと暮れていく夏の夕ぐれを弾むリズムと歌が彩ります。
最後の曲が終わるとすっかり暮れた空に花火が上がるのは夏の野外コンサートの定番です。
このコンサートは僕の好きなデセイがルグランを歌っているアルバムの曲がほとんどでしたが、アルバム以上にその楽しさが伝わってくるものでした。
アルバムには無かったベースソロを主体としたインスト演奏もあり、ドラム、ギターとこちらもかなりのご年配の腕達者が揃っているのが良くわかります。
ルグランは眉毛をボーボーに伸ばした、ただの人のよいおじいさんのように見えます。
それがニコニコしながらピアノを弾き出すと、その指の動きは少しも衰えを感じることなく自由自在に音楽をつむぎます。
彼は1932年2月生まれなのでこのコンサートのときには82歳。最近の彼は自分の好きな仕事しかしないそうで、実に幸せに溢れた音楽人生といえるでしょう。
彼と一緒にアルバムを作ることを熱望していたフランス映画、フランス音楽好きの大貫妙子はあきらめざるを得ずルグランの一番弟子という人をみつけ彼とアルバムを作ったそうです。
もっとすごいのは2013年に御年90歳を迎えたボブ・ドローです。
今年彼が出したのも【DUETS】というタイトルそのままのデユエットアルバム
80歳超えだけで驚いていたらなんと90歳の歌手がいたとは!!(もっとも録音した時は88歳だったそうですが、それでもすごい!)
彼はもともとピアノを弾きながら歌うJAZZシンガーで今回のアルバムでも実に楽しそうに歌っています。
もちろん声だけ聞いているとまさか90歳近い人とはまったくわかりません。
そう言えばこのボブ・ドローとミッッシェルルグランは昨年来日しブルーノート東京でライブを行っているのですからさらに驚きます。
この3枚のニューアルバムに共通しているのは伸びやかに楽しそうに音楽がスイングしていることです。
歌ったり演奏したりする喜びというのがひしひしと伝わってくるではないですか!
実にリラックスした雰囲気の中で生き生きと音楽が躍動しているのです。
こういうアルバムを聞いていると実になごやかで嬉しい気持ちになります。
ここには年寄りだからという言い訳は一切存在しません。ほんとうにすごいことですね。
もうひとつ共通しているのが3人とも若い女の子と共演していることです。
なんだか良くわかりませんがさすがと言うべきでしょう?
どのアルバムにも若い子と並んでにこにこしている彼らの写真が載っているのですが、その表情の嬉しそうな事!
デセイを若い女の子と呼ぶには抵抗があるかもしれませんが、それでもルグランとの年の差は30歳以上あるはず?
ウイリーやボブにいたっては20歳そこそこの孫のような女の子と共演しています。(年齢差60以上!)
どうやらここらへんに80歳を超えた彼らの元気の秘密があるようなのですが定かではありません。
一方女性歌手ではさすがに80歳すぎてニューアルバムを出し続けている人はあまりいないようですが(僕が知らないだけかも)来年年明けにあのダイアナ・ロスが来日するとこのこと。
彼女が20年以上前(昔すぎて覚えていない)に来日したときに聞きに行ったのですが、びんびんと直接胸の中に響いてくるような声はそれは迫力がありました。
来年の公演では4万円以上のVIP席から先に売り切れになっているとか・・その彼女も7O歳くらいにはなっているはず。
ベテラン女性歌手といえば忘れてはならないのが【バーバラ ストライザンド】です。(バーバラのほうがダイアナ ロスより2歳ほどお姉さんです)
一流の女優でもありますが一流の歌手でもある彼女は今年2月にニューアルバムを出したばかりなのに、また今年の夏に男性歌手とのデユエットアルバム【PARTNERS】を出したのです。
まったくデユエットアルバムの大流行です。
そして女性歌手といえば忘れてならないのが僕の座右の2枚のアルバム、リンダ・ロンシュタットの【センチメンタルリーズン】と【ワッツニュニュー】。
スタンダードの名曲とネルソンリドルの編曲の二つの力がその素晴らしさの半分以上を占めているとはいえ、若いころのリンダの良く伸びる声と泣き歌いは実に心にしみたのでした。
そんな彼女だって今では僕よりも年上です。(まあずっとそうだったんですけど・・・)
残念ながら数年前に彼女の最新アルバムを買ったのですが、若い頃とまったく同じ歌い方をしているのでさすがに無理があり、そっと机の下にしまいこんだままになっていました。
ところがこの機会に調べてみるとそのリンダが今年またまた新しいアルバムを発表しているではないですか!。そのアルバムのタイトルはまたまた【DUETS】!
おいおいどうしてこんなにみんなデユエットアルバムばかり出すのかよ!
しかし内容を見ると新しい録音ではなく、かつてのアーロンネビルと熱唱して名盤、クライ・ライク・ア・レインストームをはじめ過去のアルバムからの抜粋でした。(これは良いですよ!さっそく買わなくては!)
こうやってあげて見るとすべて年代やジャンルを超越したコラボによるデユエットアルバムばかりです。
若返りの秘訣はやはりここらへんにあるようです?
いままでも活躍などしていないのに、いまさら活躍など出来るはずはありませんが、この年齢になっても彼ら彼女らのように元気で鼻歌ぐらいは口ずさんでいられるようになりたいものですね?