タンノイ3LZとチャットワースの聴き比べ。どちらが残るか運命の一戦? |
長くなるので事情は割愛しますが、ゴールデンウイークの半ばに我が家に3LZがやってきました。現在僕が使っているのは同じタンノイのチャットワースというスピーカーです。
上の写真の手前が3LZ、後ろがチャットワースです。
3LZは以前数年間の間、借りて聴いていたことがあり、とても気に入っていたスピーカーでした。返却するときにはとても寂しい思いをしました。以来とても心残りのあるスピーカーでした。
今回はその時とはCDの送り出し、DAコンバーター、プリ、パワーアンプとすべて機材が変わっているのでまったく違う音になるはず。
そこで3LZとチャットワースの聴き比べをやってみることにしました。
そしてその結果どちらかのスピーカーを手元に残そうと思ったのです。まさに運命の一戦です?
(ほんとは両方持っているのが一番ですが、色々と事情もあるもので・・・・?)
(下の写真が送り出しのアンプです)
共に1967年から74年まで生産されたモニターゴールドというスピーカーユニットが密閉型の箱に入っているのですが、3LZは10インチ、チャットワースは12インチと一回り大きいスピーカーです。
箱の大きさもチャットワースの方が倍くらい大きいので、並べてみると18歳くらいのお兄さんに小学校に入ったばかりの弟といった雰囲気です。
特に今回比較するこの2台は初期型と思われるのですが、箱の塗装の色とか前面に貼ってあるネットの材質や色がまったく同じなのでよけいにそう見えます。
世間では兄さんのチャットワースは明るくて伸び伸びした性格、3LZは暗くて几帳面な性格だと言われているようです。
タンノイのスピーカーの場合、一般的に古い物ほど価値が高いとされています。
スピーカーユニットは古い順にシルバー、レッド、ゴールド、そして1974年からHPDと呼ばれていますが、このHPDになるとなぜか値段がぐっと下がるようです。
シルバーの方がゴールドより高いのはタンノイの世界だけでしょう!
(これが3LZです。)
さて3LZを繋いでみるとそのコンパクトさに比例せずに実に堂々と音が広がるのには驚きます。とてもこんな小型のスピーカーから出る音とは思えません。
しかし最初に聴いて感じたのは音が固いなということでした。特に気にしている弦の音はちょっときつく感じます。しかしチャットワースより閉まった低音や空間の表現ななかなかのものです。
この3LZは持ち主の方がもう何年も鳴らしていなかったそうなので、そのことも原因かもしれないと思いしばらく聴き続けることにしました。
2日ほど鳴らしているうちにどんどんと良くなってきました?
最初は気になっていた弦の固い感じも耳が慣れてきたのか、スピーカーが馴染んできたのかまったく気にならなくなってきました。ミサ曲などを聞いて見ると声のリアルさや空間の広がりなど素晴らしいものがあります。
これは良いと思ったのがJAZZです。中でもチャリーヘイデンとジムホールの最近CD化されたデユエットアルバムなどすごく気持ち良く鳴ります!
このアルバムに限らずチャリーヘイデンのベースは特にいままで我が家では再生に苦労していたのですが、それが実にリアルに鳴るではないですか!
さらに数日聴いているうちに、すっかり3LZに耳が慣れてきました。もはや何を聞いても違和感を感じるどころか、これは良い音だと感じてしまいます。
確かにチャットワースよりは暗めの音ですが、このしっかり感と小さな箱とは思えないスケールの大きな鳴り方はとても魅力的です。この頃には僕の気持は3LZのほうにぐぐっと傾いてきていました。
さて何が頼りにならないと言って、僕のオーデイオ耳ほど頼りにならないものはありません。なんせ今までどの装置で聞いていた時でも夜中にひとりで聴いているときには【なんて素晴らしい音なんだろう!】と思っていたのですから!今回も一度3LZに変えてずっと聴き続けたらすっかりそちらにはまりそうではないですか。
そこで客観的な意見を聞くためにもGWも終わろうとする休日に知人のAさんとPさんに来ていただきました。
このお二人は共にタンノイをお持ちで、Aさんは貴重なシルバーのGRFのコーナー型を、Pさんはゴールドのランカスターをお持ちと言う生粋のタンノイファンです。(なにを隠そう僕のチャットワースももともとはAさんのものでした。)
GWのまっただなかだと言うのに遠路はるばる朝早い電車に乗ってお二人は駆けつけてくれました。
僕の気持はもう3LZにだいぶ傾いていたので、ここ数日聴き続けていた3LZをまず聴いていただくことにしました。
聴いていただいた曲は以下のようになります。どれもとても気に入って聴くことの多いアルバムばかりです。
まず僕の好きなシューベルトのヴァイオリンとピアノのための作品からD34【幻想曲】をミッシェルオークレールとジュヌヴィエーヴ・ジョアの演奏、シモン・ゴールドベルグとルプーによる演奏、パメラ・フランクとクラウド・フランクの演奏と3種類、続いて同じく大好きなモーツアルトのバイオリン・ソナタから304をシェリングとヘブラーの演奏でと、まず僕にとっては一番大事なバイオリンとピアノの音色を聞いていただきます。
続いてアバドによる管弦楽の伴奏でクヴァストホフが歌うシューベルトの歌曲から一曲【セレナーデ】を。
数多く持っているペルゴレージのスターバトマーテルはデユトワ指揮、バルトリの歌うアルバムから冒頭の二重唱、そしてこれまた僕が嫌になるほど聴いているリヒャルト・シュトラウスの【最後の4つの歌】から【眠りにつくとき】を二人の歌手で。
テイルソン・トーマス指揮でルチア・ポップが歌う、彼女の最後の録音となったものと、(感涙ものです!)エッシェンバッハ指揮、みずみずしい歌声で若い頃のルネ・フレミングが歌ったものの2種類です。(この曲では間奏に入るバイオリンソロの音色も重要です)。
ヘレベッヘ指揮によるバッハのクリスマス・オラトリオで(7曲目の伴奏のオーボエの音色と9曲目のコーラスにはいる太鼓の音も注目)コーラスの広がりを聴いていただき、続いて大編成のオーケストラでマーラーの【大地の歌】ベルテイーニ指揮、サントリーホールでのライブ録音から第二楽章の【秋にさびしきもの】です。
そして同じライブですがオーケストラがぐっと小編成の小澤征爾指揮、水戸室内管弦楽団によるモーツアルトの交響曲40番から第二楽章、そして最後は滑らかな弦の音が聴きどころのバルビローリ指揮によるエルガー作曲の管弦楽曲 OP・70です。
こうやって並べてみると僕の好みがすっかり解ってしまうのがなんとなく恥ずかしい気もします。
【あの人、ラーメンでもシナチクばっかり選んで食べているのよ!】見たいな感じでしょうか?どちらかというと室内楽と歌ものが多いですね。
ということでさてお二人の判定はいかに・・・・・。(次回に続きます)
僕もクラシックを聴き始めてまだ20年経っていません。諸先輩たちのように中高生のこrから50年も60年も聴き続けてきた方々とは自ずから知識も聞く耳も及びませんが、それゆえに新しいものを見つけたり、教えてもらうという楽しみがあります。ジャズもポップスも聞きますが、クラシックと一口で言っても、なんせ歴史が長いのでその音楽はジャンルが違うのか?と思うほど多種多様です。つい先日もショーソンという作曲家を教えてもらったばかり!まだまだ日々新しい発見があります!