またまた新アクセサリー導入!安井式電源フィルターを組み込んだ電源タップの効果は? |
音がこのように変わっていったのはもちろんスピーカーやアンプが基本にあるのですが、思えばデジタルケーブルを交換したあたりから、がらっと変わっていったような気がします。
もちろんこうなる前の基本、プリやパワーなどの積み重ねの上にこの変化が起こったはずですが、デジタルケーブル、オーデイオ用ヒューズ、そして今回のスピーカースタンドの相乗効果でそれが一気に開花したようです。
なによりもここいらあたりからCDではどうやっても聞き辛かったヴァイオリンの音色がすっかり気持ち良く聞こえるようになったのが一番の成果でした。
そんな幸せな世界に、さらに幸せの追い打ち?をかけるように新兵器が導入されることになったのは我がオーデイオのコーデイネーターと言うか恩人というべきか、Cさんからの一通のメールでした。
それは巷で評判の良い【安井式電源フイルター】の基盤が販売され、自分も買うつもりですが、すぐ売り切れてしまいそうなのでついでに確保しておきましょうか?という実に親切な内容でした。
その時僕が思ったのは電源フィルターなんかでこれ以上良くなる事なんてあるんだろうかということです。
実は昔知人がPSオーデイオ製のまるでパワーアンプのように見える大きくて立派な電源クリーナーを使っていたことがあります。
当時はこれが音を決めているとその存在を頼もしく思っていたようですが、そのうちいつのまにか消えていました。彼に言わせると結局は無いほうが良かったそうなのです。
そんな事もあり電源クリーナーという存在にはちょっと疑問があったのです。
しかし今回は電源フィルターであり、クリーナーではないようです。だいたい電源クリーナと電源フイルターの違いがいまだにわからないのですからしょうもありません。
それでもどんな事でも試してみたいと思うのがオーデイオマニアの正直な気持ち、マニアのはしくれとは言え気持ちは同じです。しかも親切なCさんの手作りですから市販のものとは違い実費のみですから値段も格安です。二つ返事でぜひお願いしますとCさんに頼みました。
どうやらこのフィルターの基盤も商売ではなく好きな人が趣味で作成販売しているようで、数も少なく自作派の間ではとても人気がありすぐ売り切れてしまうそうです。
我が家に合わせて、この基盤をCDトランスポートとDAコンバーターが接続出来る電源ボックスに仕立ててくれるとのことです。ありがたい。
電源プラグもメッキのものが良いか無メッキのものが良いかなどを聞き比べて決定し、コードはベルデン19364を使うなどさすがCさん実に丁寧に作ってくれています。
彼が自分でテストしてみた結果この手のアクセサリーとしては「激変」レベルの効果だったそうなので出来上がりを楽しみに待っていました。
さていよいよこれが完成しまして、Cさんが持参してきたものはただの黒い二口電源タップに見えます。Cさんが帰宅後好奇心から蓋をあけてみたのですが、電源コンセントがじゃまをしてその下にある基盤のようなものがちらっと見えただけでその実体はわからないままでした。残念。
このフィルター、正しくは安井式電源フィルター+ファインメットフィルターをテーブルタップに組み込んだもののようです。
僕のいい加減な知識によれば電源クリーナーというのは強制的に奇麗な波形を作り出すもので、このフィルターは文字通りフィルターとして余計なノイズを取り除く役目をするようです。
使われている部品【コイル?】の容量の問題から今回のタップはCDトランスポーターとDAコンバーターにしか使えないようです。もっともプリは乾電池駆動ですから電源ノイズの問題からは逃れているはずです。
さていよいよ繋いで聞いてみます。今回のテストは珍しく先日知人から録音が良いからテストにいいですよと頂いた日本人歌手の手嶋葵の【ラウ゛ィアン ローズ・I Love Cinema】というアルバムを使ってみます。全曲昔の映画で使われていた映画音楽だけのカバーという中々渋い選曲です。
日本人歌手独特のこねくり回すようなこぶしのついた歌い方ではなく珍しくも素直な歌い方です。伴奏もシンプルで確かに録音も良く音の広がりとか臨調感とか実にリアリテイがあります。
耳の良い知人がちょっと聞いだけで日本人だと看破したのは英語の発音が悪いのと、まるで子供が歌っているような日本にしか存在しないような独特の歌い方からでしょう。
昔のモノクロ映画の一場面をアニメにしてリメイクしているような日本ならではの不思議な世界が広がります。
(ある意味浮世絵を現代のアニメで表現した村上隆の音楽版と言ったところかもしれません?)
特に好きなアルバムというほどではありませんが音が良いので聞いていて気持ちが良いし、確かにオーデイオチェックには良さそうなアルバムです。
まず今までの状態で聞いてその後このタップに繋いで聞いてみます。
残念ながら瞬間的に僕の耳にはその違いがあまり良くわかりません。ところが一緒に聞いていたCさんは驚いたように【全然違いますね、空間が広がり、高域も澄んで伸びています】と言うではありませんか、やっぱり!
ともあれCさんが【数日聞いているとまた音が変わってくるはずです】との言葉を残してお帰りになった後、周りも静かになる夜を待ってじっくりと検証をしてみました。
例によってシューベルトのヴァイオリンとピアノのための曲、モーツアルトのヴァイオリンソナタなどから始めます。
僕には高域がどうの低域がどうのという変化はあまり感じられませんが、なにより感じられるのはとてつもない静けさの中に楽器や声の存在がよりはっきりと見えてきたことです。
空間が広がりそこに音楽が立体的に浮かんできます。バイオリンの音色もより滑らかで伸びやかに感じられます。もっとはっきりと違うのはピアノの響きです。これが今までよりも実体感を持ちより本物っぽく響くのです。
ためしにオーケストラを聞いて見ると、それぞれの楽器がその場所で音をだしているのが手に取るように見える気がします。空間と空間の間に楽器とか声がくっきりと浮かび上がります。それにしても何と言う生々しさなのでしょう。
いままでこんなにリアリテイが出てしまって良いのだろうかと思っていたのが、さらにその度合いを増してしまったように感じます。
そして空間の広がりはもとよりそれぞれの楽器の位置がまるでその場で見ているかのようにはっきりとわかるのがすごいです。この存在感というのはリヒャルトシュトラウスの歌曲など聴くとさらにはっきりとします。歌手が目の前に出てきて歌いオーケストラはその後ろにあることが手に取るように見えるのです。
とはいえ割り引いて聞いてもらわなければならないのが釣りの釣果とオーデイオマニアの自我自賛です。あくまで我が家程度の狭い部屋と小音量での話しです。生のオーケストラやJAZZのライブハウスそのままに、等身大の音量で鳴らしている方々の迫力や生々しさにはもちろん遠く及ぶものではありません。
それでもこのちまちました空間の中に実際の音とは隔たりのある音量とは言え伸び伸びとかつ生々しく音楽が広がるのですから僕としては望外の喜びです。
たとえばオーケストラのオーボエ、ホルン、などが生々しく聞こえる事は今までにもあったことですが、弦が美しく響くことはなかなか難しいことでした。
バルビローリが指揮したENGLISH STRING MUSIC(EMI)というアルバムは好きで良く聞くアルバムなのですが、エルガーの曲など先ほどの感想を翻すようですが今まで聞いたことがないほどしっかりと低弦が深く重厚に響くではありませんか。
そればかりかそれぞれの弦の音がはっきりと別れて聞こえるのには驚いてしまいます。
これに気をよくして今まで退屈であまり良さが解らなかった最新のJAZZアルバムなどかけてみるとこれが実にしみじと良いのです。
たとえばStefano BattagliaのピアノトリオによるTHREE OPEN ROOMSなどというアルバムなど今まで退屈で聞けなかったものが、あまりの音の良さとにうっとりして聴き惚れてしまうのですから困ったものです?いままで我が家では苦手だったチャーリーヘイデンのベースだって気持ち良く聞こえるではないですか!
くりかえしになりますが、振り返ってみれば音に目立った変化が出始めたのはデジタルケーブルを交換したころで、この効果に驚いている間にオーデイオ用フューズ、スピーカースタンドなどが追い打ちをかけ、さらに今回の電源フィルターがそれにとどめを刺したというところでしょうか。実に短期間で一気に高みに揚がってしまったようでわれながら唖然としているところです。
というわけで今回あまり期待していなかった電源フィルターでしたが実に効果があることが解ったのです。
それにしてもオーデイオはいつまでたっても未知の新しい地平が広がる不思議な世界だと改めて思ったのでした。