近頃なんだか有名な松輪さばを食べに・・・BD-1で出かけてみました。その続き。 |
上の写真がその料理です。左からしめさば、おつくり、あぶったものと3種類がならんでいます。これで一人分ですから実に豪勢な眺めです。しかもこの3種類の美味しさの甲乙つけがたい事!下戸の僕ですがこれに辛口の日本酒などあったらさぞ美味しいだろうとおもわず想像してしまったほどです。
しかしここに辿りつくまではまだ少々の困難が待ち受けていたのでした。
さて急坂を下ってやっと港に辿りつきました。しかしひっそりと静かでこじんまりとした港です。それらしい大きな建物など見当たりません。
そこでふと気がついたのはこの港の名前です。松輪間口港と書いてあるではないですか。
もしかしたら!と思いましたがたまたま通りすがりの人がいたので聞いて見ると、どうやら遠くに見える岬の反対側の入江にもう一つの松輪港があるというのです。しかも漁協がやっているレストランはその港にあるというではないですか!
【エッ!今降りてきた急坂をまた上るの!】というのがまず頭をよぎった思いでした。
幸いその人が近道を教えてくれたので同じ道を引き返さずにすみましたが、その近道も急坂だったので再び降りて押して上ることになりました。
この近道はとても細いのですが生活道路らしく地元の軽自動車と何回かすれ違います。(軽自動車以外は通れない!)こちらが自転車を路肩に寄せるとよそ者の自転車にも関わらずどの車も丁寧に【すみません!】などとあいさつしてくれるのがとっても優しい三浦半島です!
さてまたまた急な下りを降り切るとそこはさきほどよりも少し大きめに感じる港です。こちらは松輪江奈港というようです。坂を降り切った場所に地魚料理【松輪】の看板が立っています。
そこを入ると港のはずれの空き地というような場所に薄いブルーのプレハブのような2階建ての建物が建っています。まわりはむき出しの土の駐車場で沢山の車が駐車しています。その上を何匹ものトンビが輪を描いているというなんとなく荒涼とした風景ではあります。予定より早くついたので辺りを散策。下の写真はそのレストランの建物をその先にずっと続いている岩場から撮ったものです。
そのレストランの一階は待合室となっていました。奥にある一台のTVの前に長椅子が数列あり、そこに数十人の人が座っている風景はどこかで見た風景だと思ったら、それは病院の待合室でした。待っている人が年寄ばかりというのも同じです!それにしても平日でこの混み方とはすごいな驚きながらも、予約してあって正解だねと思ったのです。
早速2階に上がるとそこはテーブルや椅子など学食と言った雰囲気。当然ながらどの席もいっぱいです。
そこで係の人をつかまえて予約のことをたずねてみると【うちは予約受け付けてません!】との返事です。いったいこれはどういう訳でしょう?早速誘ってくれた知人に電話を入れてみました。するとなんと場所が違ちがうではないですか!。僕が良く確認せずに会話の流れから勝手にこことと決めつけていたことが判明したのです。
知人はすでに到着しているので早く来てくれとの事、しかも良く聞いてみるとその予約のしてある店とはなんと先ほど行ったばかりの間口港だったのです。オーマイゴッド。
【え!今降りてきた急坂をまた上るのか!】というお思いが再び頭をよぎったのは言うまでもありません。
(下の写真は松輪の前に広がる岩場です。待っている人が散歩したりしています)
やっとの思いで辿りついたのが鯖の時期だけ営業しているという【輪中】です。(それにしても紛らわしい!)
良く見ると先ほど来たばかりの港のまんまえにこの輪中ののぼりがたっています。そういえばたしかさっき来た時にこののぼりを見た記憶がありました。
それを目印に小道を入っていくと奥に普通の民家があります。(元民宿なので当然ですが)
ここは以前おばあちゃんが民宿をやっていたのですが、そのおばあちゃんが亡くなり、その後長野で料理やをやっている娘の亭主が鯖のシーズンだけここを料亭にしているらしいです。(未確認情報です)
民宿の時は食堂だったと思われる大漁旗がかかった広い和室には他にも2,3組お客さんがいました。到着を待っていてくれた二人もほっと一息、それほど遅れずに食事を開始することが出来ました。
そこでまず出てくる料理が最初の写真です。
しっかりと脂が載っていますが、トロのようしつこくはなく鯖のくせに?えらく上品です。どっちかと言えば魚に弱い僕もこれだったら文句のつけようがありません!
松輪さばというのはこの辺りでしか取れない貴重な魚で、昔はすべて東京の料亭などに出荷され地元では食べられなかったそうです。
その後も焼き物、煮物、こちらはいわゆる味噌煮ですがごくうす味でこれも上品です。これだけ鯖だけ食べ続けてもまったく飽きないのですからさすが普通の鯖ではありません。
そしてお食事になさいますか・・との声で出てきたものが茶碗の中におにぎりが一つ、そしてその上にまたしても鯖の焼いたものが一切れ載っています。実はこれはお茶づけでおにぎりを崩してかかっているダシに混ぜて食べるのです。
鯖のお茶づけなんて生臭くて・・なんて言う先入観は見事にひっくりかえりこれがひたすらウマイ!普段は小食な僕など、単品メニューでこのお茶ずけだけあれば、それだけで十分ですと思ったのでした。
(参考までに予約出来きる定食のお値段のほうは普段の僕のランチ約8日分?。3900円プラスタックスでしたが確かにそれなりの価値はあります。下はそのお茶づけです)
食事場所の松輪間口港から久里浜駅まで僕の足でも約1時間程度の軽いツーリングです。
一番長くて急な坂は帰り路は下るだけ、ここを下ると三浦海岸が開けます。夕方の光に照らされて対岸には房総半島がくっきりと浮かんでいます。
体力のある人なら泳いで行けそうだと勘違いしてしまうほど近くに見えます。実際久里浜から金谷まではふぇりーに載ると40分程度で行ってしまうのです。
満腹になったお腹をかかえてまた下ってきた坂を登らなくてはなりません。場所を間違えたこともあり結局今回は行き帰りで合計6回坂を登ったことになります。美味しい物を食べるためには少なからず代償が必要というわけです。しかも途中3回も自転車を降りて押したのですから普段ヒルクライムなどに出場して坂ばっかりぐんぐん登っている知人のTさんなど、とても同じ人類とは思えません。
さて電車を降りて我が家にたどり着く前に最後にもう一つ坂が待ち受けています。ふう。
最短距離だと2キロ程度なのですがこれまた結構急な坂なので情けないことに僕はいつも倍以上もかけて遠回りして緩い坂を迂回して帰ります。
最後のゆるい坂を登る頃には日の落ちるのが早い秋の日は早くも暮れかけていたのでした。