年のはじめに聞く音楽は?シューベルトのピアノソナタ。 |
1月4日というのはお正月が終わったような、まだ終わっていないような微妙な日である。
一般的には会社とか役所とかこの日から始まっているはずなので、一応この日から社会は普通に動いているはずだと思って鎌倉の七里が浜にある体育館(ジム)に自転車で出かけてみたら、途中の八幡宮はじめ市内の人出の多さに驚いた。
普段はやたらと年寄が目につくのだけど、この日は若者と年寄が半々くらいか?なるほどその間の人たちは働いているのだろう.
どのくらい混んでいたかと言いますと、体育館の前の海に出る道はまるで真夏の海水浴シーズン並に人が歩いていたし、帰りに普段静かなわりと観光客向けでない地元のそばやに行ったら名前を書いて外で待たされるほど、2時ころの食べ終わって出てくるときにもまだ外で待っている人が5,6人いたのには驚いた。
新春というのは旧暦だと2月なのでいかにもこれからだんだんと暖かくなって春がやってくるという期待に満ちた時期なのですが、新暦だとこれから冬本番という感じです。
それにしては今年も妙に暖かく、そこいらで梅の花などが咲いているし、冷たい風にもどことなく春先のゆるさが感じられるのには、いささか気味が悪い気がします。
さてそんな新春そうそうに聴く音楽はなにかふさわしいかと言えば、それはなぜかピアノソナタのような気がします。
年末年始のこってりとして煩いテレビ番組やおせち料理、はては年始そうそうのバーゲンセールなどに少々疲れた身には、さっぱりとしたピアノの音色がふさわしく思われます。
ピアノソナタというのはクラシック初心者の僕にとって最近まではやや苦手のジャンルでした。ところがこれにヴァイオリンが加わるだけで一番好きな音楽になってしまうのですから不思議です。
理由はともかくとしてそんな具合だったのです。
ところが最近はぼちぼちピアノソナタも落ち着いて聞くことができるようになりました。
とはいってもここで言うピアノソナタにはリストやラフマニノフは入っていません。
そればかりかベートーベン、はてはショパンさえも入っていないのですからピアノ好きの方にとっては【なにもわからん奴じゃ!】という事になるでしょう。
おっしゃる通りですが、今のところ僕の耳にすんなり入ってくるピアノソナタといったらモーツアルトとシューベルトだけなのです!
とはいえシューベルトのピアノソナタも最初は少々とっつきにくく感じました。その中で妙にその旋律が耳に残り、また聴いてみたいと思ったのが作品D959の2楽章でした。
その後何回かこの曲を聞くうちになんとなくピアノソナタもいいじゃないと思いだしたのです。
シューベルトのピアノソナタはけして派手ではありませんが、寡黙な静けさの中に霧のように悲しみが漂っているというか、そんな静謐な感じを受けます。
この曲の演奏については何も言えるだけの経験も知識もありませんがルプーのものが気に入っています。
下の写真はそのCD、ブランデルの2枚組、ピリスの2枚組、ルプーが2枚とエデット・ビヒトが一枚、とピアノソナタが苦手な割にはそこそこ持っていました。
シューベルトに比べるとモーツアルトのピアノソナタはモーツアルトの他の音楽と同じように喜びと悲しみと美しさと軽妙さが巧妙にまじりあって、まるで春の日に野原にうかぶ陽炎を見ているような気になります。
得に好きなのがソナタではなくピアノ小品集の中のロンドK485、K511とかアダージオとか、どれも大作ではありませんがとっても好きです。
こちらはヘブラーの12枚組のモーツアルトピアノ曲全集のLPがあるので、もっぱらこちらを聞いています。それにしてもLPで12枚というのは相当重くて嵩もあり、まだ全曲聞き終わってはいないのでまだまだ楽しみが残ってます。ぜんぶ聞くのが今年の課題?
こちらも演奏についてとやかく言えるレベルではありませんが、同じモーツアルトのヴァイオリンソナタの一番好きな演奏がシェリングとこのヘブラーのコンビによるものですから、ピアノソナタだって悪いはずがありません!
というわけでピアノソナタ初心者の僕がピアノソナタについて書くなどというだいそれた事をしてしまったのですが、逆の言い方をすればこのシューベルトのD959とかモーツアルトのロンドK515などは、初心者の僕が聞いてもなにか心にひっかかるものがあるような曲なので、もし僕のようにピアノソナタはあまり聞かないという人がいるようならぜひ聞いて見てほしいなと思うのでした。