カフェラテとマウントレーニア。 |
電車に乗っていたらマウントレーニアという名前のカップ入りカフェラテの広告が出ていた。
思えばこれは随分昔からある商品ではないですか、僕の記憶ではスターバックスが日本に上陸する前からあったような気がするのですが?
カップに小さくワシントン州にあるマウントレーニアの姿が書かれたマークが入っているのですが、なぜこの商品の名前がマウントレーニアなのかに気付いた人はほとんどいないでしょう。
この山はシアトル市内からとても良く見える山です。当時アメリカ中でカフェラテがあったのはシアトルだけだったのでそれを知っていた人がこの山の名前を商品名につけたのでしょう。
カフェラテはもともとイタリアのものですが、それがアメリカオリジンの物のようにして世界中に広まり、その元になったのが昔からカフェラテを飲んでいたシアトルという街だったというのは面白い事です。
シアトルは大きな貿易港でそこに入る船がコーヒーを積んでいたという理由だけでなく、なんとなくシアトルという街が持つちょっとインテリ臭い雰囲気がカフェラテを街に根付かせたのでしょう。
僕がシアトルに行き始めた頃は全米中でカフェラテがあるのはシアトルだけで、地元の人が「来週東に行くんだけど、あっち行くとカフェラテが飲めないのが寂しい!」と言っていたのを覚えています。
なんとその頃(まだスターバックスがシアトルにしか無かった頃)からシアトルのマクドナルドだけはカフェラテがあったのです。
さてマウントレーニアです。別名タコマ富士とも呼ばれているこの山は富士山ほどスリムで端正ではありませんが堂々とした美しい姿をしています。
天気が良ければシアトルの市内からは東京から富士山を見るよりずっと近くにマウントレーニアが見えます。夏でも富士山ように頂上付近に雪を抱いたその姿はシアトルの一番目立つランドマークかも知れません。
実際車で行くとシアトルの街中から2時間半くらいで行くことができます。
シアトルはアウトドアー好きには絶好の場所です。一時シアトルに凝って何度も訪ねたことがあります。どこまで走っても住宅地が続く東京とちがい街を出るとすぐ森が続き、2時間も走るといくつもの国立公園に行くことができるというアウトドアー好きには絶好の場所です。
日本ではアウトドアーに縁の無い僕が、アメリカの国立公園が好きなのはそんなシロートでも手軽に本格的な山の雰囲気が味わえたり、山歩きが楽しめるように良く整備されていることです。
マウントレーニアも山の中腹まで簡単に車で行くことができます。そこには案内所もホテルもあり、まるで公園のように整備された道が出来ています。
アメリカの国立公園で驚くのは公園内にホテルが少ない事です。もちろんお土産やレストランなどの建物も制限されているので実に大自然のまっただ中という雰囲気なのです。
そのホテルの数といえばルーズベルト大統領が国立公園を制定した時以来増えていないそうですし、建物も昔作られた木造のものがほとんどです。マウントレーニアも麓にひとつ、そして登り口付近のお花畑のあるパラダイスと呼ばれる場所に一つあるだけです。
最初に行った時、パラダイスの駐車場に車を止めて見上げるような山に続く登山道を登ってみました。それは夏の始まるちょうど良いシーズンでした。
整備された歩道を登っていくとまわりには花が咲き乱れるお花畑のような場所が続きます、ネズミのようなマーモットの姿も沢山みかけます。
「なんて奇麗な散歩道なのだろう!」と調子に乗ってもう少し歩道を上まで上がってみると、僕の足でも意外と簡単に氷河が残っているところまで登ることができ氷河に触って感動しました。
こういう風景はたぶん日本だと本格的な登山をしてかなり上に登ってからでないと味わえないのだと思いますが、ここだと散歩気分で手軽に味わえるのです。
こんな簡単に本格的な山が楽しめることに驚いたのでした。もちろんこの山は4392mと富士山より高いので本格的な登山者の人たちも沢山います。ぶらぶらと散歩を楽しむ僕たちをいくつかの本格装備をした隊列がずんずんと抜いて行きました。
これですっかりマウントレーニアが気にいってしまい、それから5回くらいは行ったと思います。ふもとの森林の中のホテルにも泊まりましたし、パラダイスにある立派な暖炉のある堂々とした木造のホテルにも泊まりました。
ある時は天気が悪く途中で行き先を変えて途中にあるワシントン州にいる動物を集めた動物園に行ったこともあります。また日帰りで行った時には疲れて駐車場で寝てしまい夜遅くシアトルに到着して11時頃に食事をしたこともあります。
マウントレーニアからの帰り道まったくと言ってよいほど車とすれちがわない真っ暗な山道を走っていると、車のまわり中が星に囲まれているのに気が付きました。それは満天の星空なかをドライブしているような不思議な感覚でした。
シアトルといえば忘れられないのが市内にあるユニオンレイクからカナダの国境付近にあるセミアモまで水上飛行機で飛んだことです。
実はここはゴルフリゾートでシアトルからゴルフをやりに行ったのですが、往復とも水上飛行機を利用するという豪華な体験でした。小型の水上飛行機は思ったより簡単に水上から飛び立ち降りる時も静かに降りることができたのが想像と違っていました。
小型機なのでゴルフクラブは重いので陸路で運ばれます。一緒にその車に乗れば行けるのですからわざわざ飛行機とはなんともぜいたくな事です。
シアトルは海に面しているので山の楽しみだけではありません。カナダまで沢山の島が点在していてその島をステートフェーリーが繋いでいます。
この島にも2度ほど行ったことがあるのですが、そのお話はまた別の機会に。