【ロベルト・オルサー・トリオ】を聞きに行って【シェイク・シャック】と【パンダ・エクスプレス】にも行ったこと。(その1) |
横浜元町のちょっと奥まった場所に近所の猫がまるで我が家のようにいつも遊びに来ているジャズ喫茶【FUFU】があります。
と言ってもここは従来のJAZZ喫茶のイメージからはまるでかけ離れています。重厚なシャンデリアのある落ち着いたギャラリーのような空間です。流れている音楽もどろどろと情念の立ち上るような重いものではなく、どこか哀愁の漂うような透明感のあるピアノトリオなどがJAZZ喫茶には珍しいイギリス製の古いタンノイのスピーカーから流れています。
それもそのはずここでかかっている音楽はすべて澤野工房がプロデユースしているアルバムばかりだからです、澤野工房といえばそもそもヨーロッパのピアノトリオを日本で流行らせた張本人なのです。音楽ばかりではなく澤野のCDのジャケットは普通のプラステックのケースではなく紙製の奇麗な色使いで一目でそれとわかる特徴あるデザインのものです。
FUFUの壁にずらっと並べられているとまるで現代美術の作品のように見えます。この店はインテリア、音楽、オーデイオとすべてに独特の感性でこだわりぬいているのです。
(ロベルト・オルサートリオの新譜、DREAMSVILLE)
一月ほど前だったでしょうか、そのFUFUで今週発売されたばかりだというアルバムを聞かせてもらいました。細部まで神経の行き届いた端正な演奏はなかなか気持ちの良いものでした。それがロベルト・オルサー・トリオのニューアルバム【DREAMSVILLE】でした。そのアルバムの最後の曲はベースがクラシックのコントラバスのように美しいメロデイーを奏でます。ジャズのベーシストが弓を使うと普通はもっと荒々しい音がするのですが、この人はまるでクラシック奏者のようにスムーズに弾くのです。聞いていて【これ、ぜったい知ってる曲だ!】と思ったのですが、それもそのはず、この曲はリヒャルト・シュトラウスの歌曲【明日】だったのです。
(日比谷のビル街)
その選曲のセンスの良さに感心しつつ(おいおいジャズのピアノトリオがクラシックのこんな曲を演奏するのかよ!)とつっこみながらも、なんだか嬉しくなったのでした。
しかもこのアルバムとても音が自然で良いのです。さもありなん、録音プロデユーサーはJAZZファンの間では今一番注目されているステファノ・アメリオなのです。これは良いアルバムです!
(シェイクシャックがはいった国際フォーラムの骨董市は沢山の人でにぎわっていました)
そのロベルト・オルサー・トリオの来日コンサートがあるというので行ってきました。せっかく東京まで出るのだから?とまず立ち寄ったのが有楽町の国際フォーラムにも出店した【シェイク・シャック】です。青山のお店はすでに数回行きましたが、こちらの方が空いていると聞いていたからです。しかもコンサート会場からは地下鉄で一駅という便利さです。とはいえこの日は休日、しかも骨董市などやっており結構な人出でした。
(シェイクシャックの外観です)
お店の前にすでにしっかりと行列が出来ています。それでも30分ほどで入れたのでやはり青山よりは空いているようです。
並木道にある青山店と違ってせせこましいと嫌だなと思っていたのですが、こちらも広いスペースで屋外にもテーブルがあり広々した空間が確保されていたのでほっとしました。
例によってシャックバーガーとチーズのたっぷりかかったフレンチフライにフィフテイ・フィフテイ(アイステーとレモネードのミックス)さらに今回はクリスマスシーズン限定という3種類のシェイクメニューからリンゴを使ったシェイクを頼んでみました。ハンバーガーやフレンチフライはいつも通りに好み通りなのですが、この期間限定シェイクが実に美味しいのです。
このあいだ飲んだ同じリンゴ使ったスタバの限定物より数十倍美味しく感じます。ただし人によっては少し甘すぎる感じるかも知れません。そういえばスタバのはフラッペチーノのですけどこちらはシェイクですから甘くて濃厚なのは当たり前です。それにしても期間中にもう一度飲みたいと思うほど気に入ったのでした。
(例によってシャックバーガーとフレンチフライチーズかけ、今回はグリーンのクリスマス用カップです)
話はピアノトリオに戻ります。僕がピアノトリオを好きかと言うのは今では微妙な問題で、以前は時々むしょうにピアノトリオを聴きたくなる時があったのですが最近はあまりそういうこともありません。
以前は好きだったブラッドメルドートリオも最近ではあまり聞かなくなりました。その理由の一つはドラムが交代したことにあることは間違いありません。前任のホルヘ・ロッシーのドラムのほうがなぜか好きだったからです。
後任のジェフバラードと較べてなぜホルヘ・ロッシーのほうが好きなのか、その理由はいままではっきりと解らなかったのですが、先日知人でロックギターをたしなむSさんが我が家に来たとき初めてはっきりとわかりました。彼にメルドートリオの交代前と交代後を聞いてもらったところ彼はこう言ったのです。【最初の人は残響を大事にしていて、次の人は直接的な打感を大事にしていますね】そう言うことだったのか!とはたと膝を打ったのでした。なるほど正確無比なジェフと繊細なロッシーとはそこに違いがあったのです。
さて今回のロベルト・オルサー・トリオのドラムを聞いていると思い出したのがこのブラッドメルドートリオのドラムのホルヘロッシーでした。彼と同じように繊細で響きを大事にしているように聞こえたのです。
(シェイク・シャックの室内、結構広々としていました)
今回のコンサート会場はイイノホールです。いままで一度も行ったことがありません。官庁街にあるのでビルの中にあるたいしたホールではないと思っていました。ところが行って見るとまずはそのホールが入っているイイノビルそのものが立派です。
一階には日本の山野を思い起こさせる手入れの良い小さな庭園まであります。ホールへのアプローチもスペースが大きくとられていて、同じく長いエスカレーターで入口まで上がるどこかの大ホールよりも数倍も良い雰囲気です。
ホール内部も実に落ち着いた雰囲気の感じの良いホールだったのでびっくり。良いホールがこんなに沢山ある東京はほんとうにすごい街だと思いました。世界広しと言えどもこれだけ立派で綺麗なホールがこれだけの数揃っている都市はないはずです。(長くなるので次回に続きます)
(イイノホールのビル前に造られている立派な庭)