クラシックホテルは素敵だった・・中禅寺金谷ホテルの思い出。 |
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2017年 03月 24日
さほど国内旅行はしなかった中で、一番泊まった回数の多い宿が奥日光の中禅寺湖畔にあった【中禅寺金谷ホテル】です。 数えたことはありませんが国内旅行でどこかに行くとなれば必ずといってよいほど行っていたので、少なくとも十回以上は泊まったことがあるはずです。 湖畔に沿った車道から少し入った林の奥まった場所にひっそりと建っているクラシックな作りの木造のエントランスを懐かしく思い出します。と言ってもは昔はあったという表現は間違いでして、現在でもそこに【中禅寺金谷ホテル】はあるのです。 しかし全面的に立て替えられたコンクリート製の近代的なその建物は、昔だったら裏側から入るエントランスを初めすべてまがったく違うモダンな雰囲気なので、思わずあったという言葉を使ってしまったのです。 立て替えられた後に一度ここを訪問してみたのですがロビーに入った瞬間これはまったく別物だと興味を失いました。 以前の木造の建物は今思うとこれからは絶対に作られることの無い取り残された時間の思い出のようなものだったのです。 日光は東照宮があるので古臭いイメージがあります。男体山と中禅寺湖の付近は昔は信仰の場所でもありました。 しかし明治時代になって外国人が日本に来るようになってからは、かれら外国人によって日本のリゾート地のさきがけとして発展してきたリゾートの元祖ともいえる場所でもあります。そのころの奥日光はその頃はまだ日本に存在しなかった華やかな海外リゾートの雰囲気をすでに持っていたのです。 そのリゾートの雰囲気をずっと残していたのがこの古い中禅寺金屋ホテルでした。 東照宮の隣にある本館はいまだにその古い佇まいを残していますが、中禅寺湖のホテルはその本館の夏の別館として建てられたものです。僕が行き始めた頃にはホテルの横にまだテニスコートも残っていて、整備はされていませんがどうぞお使いくださいとのことでテニスをやったことがあります。地下は娯楽室になっていて卓球台やピアノも置いてあり自由に弾くこともできました。まさに夏のリゾートホテルだったのです。 もともと外国人のために建てられたホテルだったというのが解るのが部屋の調度です。 洗面所に作り付けされた木枠の鏡は外国人に合わせて身長165センチの僕だと顔を映らないほど高い位置に取り付けられています。ほとんどの部屋(もちろんベッド)がシャワーだけですが、階段の途中にまるでイギリスの古いホテルのようにバスタブをいれた浴室もあります。しかもそのバスタブは動物のような飾り足のついた古風なものです。 その頃から建物はかなり古く木製の廊下は他所みしみしと音を立てていたような記憶があります。 奥日光は夏でも涼しい所なのでむろん冷房などはありませんが、早い夏の終わりに備えてステイームの配管による暖房がありました。少し肌寒いような日にこの暖房機にステイームが回って来てカンカンという音をたてるのを聞いているとどこか懐かしい気がしたものです。 エントランスの前の林を下って行くとすぐ中禅寺湖の湖畔に出ます。ここにはこのホテル専用のボートハウスがあります。昔の写真を見ると外国人がここから小ぶりのヨット(デインギー)などを出して遊んでいた様子で、まさに典型的なリゾート地の風景がそこにはあったことがうかがわれます。 この古風なホテルで一番の魅力はロビーと食堂かもしれません。こじんまりとしたロビーにはゆったりした応接セットの前に古風な暖炉が備わっています。秋が近くなると夜は冷えるのでここに火がはいります。 ロビーも食堂も昔ながらの板張りの床です。この食堂のサービスがまた良いのです。本館の訓練生なのでしょうか若いボーイさんが数人きちんと控えています。リゾートながらいかにも格式のあるホテルといった雰囲気です。といってもメニューは中禅寺湖の名産の鱒が中心でリーズナブルな値段でした。 鱒はバターでそてーしたものも美味しいのですが金屋風と名前がついている甘辛いお醤油味の鱒もなかなかです。このホテルの近くには日本で一番最初にできた鱒の養殖所もあります。 当然ながらここはホテルなので部屋代と食事第は別になっています。建物が古かったせいかその宿泊料金はとても安く、食事代もホテルにしては安かったので当時でも同じ中禅寺湖畔の旅館に泊まるより安くあがったのもここに何度も来ることの出来た理由の一つでした。 日光といえば温泉が有名です。この付近も硫黄の温泉が湧いていますが、このホテルに大浴場がなかったのは外国人にその習慣がなかったからでしょう。 僕が行き始めてからしばらくするとホテルの前の林の中に大浴場が出来たのです。とはいえさすが老舗のリゾートホテルです。 景観を壊さないようにカナダから輸入したログハウスを建ててそこを大浴場にしたのです。これでお風呂も楽しむことが出来るようになりました。といっても温泉にあまり興味がない僕にとってクラシックな足つきのバスタブはそれはそれでなかなか気に入っていたのですけど。 中禅寺湖畔から少し登って行くと戦場ヶ原があります。 まわりを山で囲まれたこの湿原地帯はぶらっと歩くには絶好の場所でした。 今では自然保護のため自家用車の立ち入りが禁止されて乗合のバスを利用しないと行くことが出来なくなりましたが戦場ヶ原の奥にある小さな湖、西の湖とその手前にある小田代が原は必ず訪れるお決まりの場所でした。 当時は人影もあまりなく車を止めて小田代が原を一周するとちょうど30分くらいの気持ちの良い散歩コースとなります。小田代が原には湿原の真ん中に白樺の木が一本たっていてこれがとてもよい風景を作り出しています。あるときここを散歩していると虫取り用の網を持った人と出会いました。 その人は実は観光客ではなく研究員だったのですがその人に教えてもらったのがここにしかいないという珍しい蝶の存在です。しかしそれは蝶といっても実に地味な色あいの小さな蛾のようでした。 教えてもらわなかれば間違いなく視界にも入らなかったに違いありません。たまたまということが無ければ世の中知らないことばかりです。 ある時期からこの場所がとても混雑するようになりました。特にこの白樺の木をいれた構図が目的で写真を撮りにくる人が増え、時には10人近くが三脚を立てている光景に出くわして驚いたこともあります。 山を背景にした草原に一本の白樺の木が立っていて、そこが朝霧に覆われていたりする風景は実に写真に撮りたくなるような風景なのですが、こういう典型的絶景というのは写真になってしまうと誰が撮っても同じように 見えてしまうのが残念なところです。それでも撮りたくなるのが人情というものらしくそれ以来いつもここには 沢山のカメラマン好きが集まるようになってしまいました。 ある秋の夜、ふるような星の中ホテルから車でこのあたりまで出かけたことがあります。車を止めると目の前に無数の赤い光が見えます。ぎょっとしましたがこれはすべて鹿の眼が光っていたのです。この季節には鹿は悲痛な叫び声をあげます。随分と冷え込んだ秋の夜の空にその声がくまなく響き渡って行くのでした。 この古風な木造の中禅寺金谷ホテルが立て替えられ、戦場ヶ原に自家用車が入れなくなってからめっきり日光に行くこともなくなりましたが、今でも日光というと林の中に立っている古い木造の建物を思い出してしまうのです。
by omoshiro-zukin
| 2017-03-24 10:43
| おもしろ旅
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