平塚美術館で【リアルのゆくえ】と【浮世絵・神奈川名所めぐり】を見たこと。 |
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2017年 06月 20日
ゴールデンウイークにたまたま横浜の根岸の競馬博物館で安野光雄の原画展というのを見た話は以前に書いたと思います。
安野さんの絵本には昔から親しんでいたので懐かしい気がしました。先日その安野さんの書いた本【私のあいたい画家】という本と読んでいたら、安野さんの知人でもある画家、野田弘志のことが出ていました。 彼は俗にスーパーリアリズムといわれる写真をさらに精密にしたような絵をかく人で、その本にはまるで写真のように見える、彼が描いた詩人の谷川俊太郎さんの全身象が出ていました。 谷川俊太郎さんも絵本で親しんだ人です。絵本の中の【かっぱかっぱらった、らっぱかっぱらった、らったったー】というフレーズが今でも口に浮かぶほどです。 そして離婚歴数回?という谷川さんを救ったというのが呼吸法で、その方法を教えた加藤俊朗さんという人の【呼吸の本】というのもとても面白い本で、たまにこの呼吸法を試したりしています。このスパーリアリズで描かれた谷川俊太郎は実に印象的でした。 このように人は実にさまざまな部分で繋がっているものです。 (下は美術館の外の展示) なるほどスーパーリアリズムね!などと何となく思っていたのですが、実はそれだけがきっかけで【リアルのゆくえ】展に行ったわけではありません。 そのおもな理由は鰻なのです?。実は以前から鰻好きの知人が安くて美味しい鰻屋や平塚にあると言っていたので、ずっと気になっていたのです。 そのお店は昔はボロボロの木造の建物で、当時はそれほど込み合うこともなかったそうですが、改築してきれいになってからは予約しないと入れないほど混み合っているそうです。 そこで美術館と鰻の一石二鳥だと思ったのですが、世の中そう甘くはありません。案の定そのお店はすでに予約でいっぱいでした。 それでも平塚には最近できたモールにアメリカのハンバーガーチェーンのカールズジュニアが入っています。ハンバーガーでもいいかと鰻は早くもハンバーガーに変身していたのでした。 平塚市は競輪場やボートレース場があるため余裕があるのか?公共施設はとても使いやすくできています。我が町と比べると雲泥の差があります。 例えばこの美術館の立派な駐車場ではチケットはありますが、美術館で認証を受ければ無料です。 美術館の建物は立派ですが入場料はやすく今回この【リアルのゆくえ】と【浮世絵に見る神奈川の名所】と二つの展示をあわせて700円で見ることができました。 【リアルのゆくえ】の副題は高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐものもの、というもので明治から現代まで日本絵画の写実表現を追いかけたものです。 チケットには教科書などに乗っている高橋由一の吊り下げられて身の一部を削られた鮭の絵と、この絵とほとんど同じように見える鮭の絵が並べて印刷してあります、こちらはべつの人の作品で、よく見ると鮭に縄がかかっているのが違っています。 写実的に描かれた作品に何かを付け加えることによってそこに新しい世界が登場するという手法は森村泰昌さんの作品でよく見られるものです。 吊り下げらた鮭の顔だけが森村さんだったりしたら結構不気味で面白いのに・・などと不謹慎なことを考えながら会場を巡ります。 高橋由一の作品で思い出すのが、こうや豆腐を描いた作品です。だいたいどんなつもりで地味なこうや豆腐を描いたのかとても不思議で、その不思議さ故にこうや豆腐の存在感がどんどん迫ってきます。何とも不思議で忘れがたい絵です。 その絵を見ているといかにもこうや豆腐そのものが時間を超えてそこに存在しているような気がするのです。こうや豆腐の中に永遠が見えるのです? 岸田劉生の麗子の肖像は様々な美術館で見たことがある有名な絵です。 こちらはなんだかものすごい迫力で迫ってくるような、とても子供の肖像画とは思えないほどエネルギー感に溢れた絵に見えます。 写真と比べて大きく違うのは対象物そのものよりも描いた作者の方が生々しく迫ってくる感じがすることです。 いくらアイフォーンの解像力と性能が上がっても自撮り写真でこの個性的な描写は無理というのものです。 ところが時代がどんどん新しくなっていくに連れて、写実的な表現がどんどん写真に近くなっていくような気がするのです。いわゆるスーパーリアリズムというやつです。 確かに大概の写真より本物らしく見えることは確かですが、それを写真と区別するのは簡単ではありません。遠くから見ればそれはどう見ても写真に見えて、近くによって顕微鏡のような目で見ると初めてそれが筆で描かれたことがわかりびっくりします。 そんなものを描くというテクニックと労力には頭が下がりますが、そこに何があるのかは僕には最後まで見えてきませんでした。 安野光雄さんの本に出てきた野田弘志さんの作品にここで巡り会うことができましたが、それは残念ながら本に載っていた谷川俊太郎さんを描いた作品ほどのインパクトはありませんでした。 さて会場を移動でして浮世絵展を見に行きます。こちらの展示も驚くほど点数が多くて立派です。 浮世絵を見ていると同じ風景を描きながらも、先ほどのスーパーリアリズの作品とは売って変わって省略が大胆なこと、構図も大胆なことに気がつきます。明治時代の洋画から比べるとずっとモダンで現代的にさえ感じます。 今回の展示は神奈川の風景なので馴染みの場所がたくさん出てくるので、なるほど昔はこんなに田舎だったんだというのが良くわかりとても面白く見られます。 中でも金沢八景の変わりようは激しいようで、当時はその名前の通り海に浮かぶ点在する島や半島を見下ろす絶景の場所だったというのがよーくわかり、その頃の金沢八景を見てみたい気持ちになります。 (下は平塚美術館の内部、とっても立派で綺麗です) もう一つ浮世絵を見て感じるのは色彩の美しさです。画材が自然のものであることに加えて版画ですられているため、色が薄っすらとしてやわらぎ、その淡い色調の美しさが際立つようです。 作品の中には役者絵がお上から規制されたことがあったためか、名所巡りの絵を装ってそこに役者や遊女たちの姿を描いたものがたくさんあり、その登場人物たちの着ているものを見るとその凝っていることに驚きます。 そして細部まできちんと描かれた着物が今見ても実にファッショナブルなことに思わず目を見張ってしまいます。ともかく風景といい登場人物といい実に新鮮に感じたのです。 最後の方の展示は明治以降の近代的になった浮世絵でした。ところが、この頃になると構図は一般的な洋画のようになり、大胆な省略もなくなり、総じて実に面白く無くなってしまいます。 江戸時代の浮世絵とこの近代の浮世絵とどちらが写真に近いかと言えば当然後者の方なのですけど・・。 リアリズムと浮世絵という、どちらと言うと対照的な展示を続いて見ることができたのはとても面白い経験でした。 僕にとっては、まるで本当のように細部まで描かれた風景よりも、大胆にデフォルメされた浮世絵の風景の方が、実際にそこに行ったようなリアルさを感じてしまったからです。 人間にとってリアルさとは何なのか、原子物理学では全ての物体は空間を動き回っている粒子の寄せ集めだといいます。実は個体も人間も みっちりと詰まったものではなく、なにもない空間を内在しているのです。 それを思うと全ての空間をくまなく埋め尽くした精密な絵よりも大胆な省略やデフォルメ、さらには現実に存在しない形のを描いた方が、空間を動き回っている粒子の世界により近いのかもしれないなどと思ったりもしたのです。 下の写真はその帰りによったカールズJRの店内。このバーガー屋さんは秋葉原と平塚という珍しいロケーションに出店した米国のお店ですが、最近自由が丘にも出店したそうです。平日の夜の平塚のお店は場所がらからかガラガラです。難しい理屈はすっかり忘れて、ゆっくりとハンバーガーを食べたのでした。
by omoshiro-zukin
| 2017-06-20 09:58
| おもしろ美術
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