僕の愛車遍歴については2台のホンダN360に始まり、サニー1200GXクーペ、いすず117クーペまではすでに書きました。
そのみれば見るほど美しい117の後釜としてやってきたのが同じいすゞのジェミニでした。
ジェミニといえば赤白青の3台のジェミニがヨーロッパの街を舞台にサイドブレーキ・スピンターンなどを駆使してアクロバッテイックな走りを見せたTVコマーシャルが印象的でしたが(古い!)そのFFのジェミニではありません。
当時いすゞはGMと提携してたので、初代ジェミニはヨーロッパにおけるGM部門だったオペルカデットの姉妹車として開発された車でした。スタイルもオペル・カデットとほとんど同じだったはずで、当時の日本車としては限りなくヨーロッパ車のスタイルだったのです。
僕がジェミニを選んだ理由というのがまさにそれだったのです。
(借り物の写真です)
ボデイカラーは赤で、シートには黒と白のギンガムチェックの純正カバーをつけてちょっと気取ってみました。
エンジンは1・8リットル、角目のモデルですから、1977年か78年のことだったはずです。今から考えるとエンジンがボデイに対して大きめです。最近ではどんどんエンジンが小さくなっていて一般的な大きさの車なら1200ccあたりが主流です。
1200ccと言ってもほとんどがターボ付でトルクも馬力も軽くこの頃の1800ccエンジンを凌駕しています。
ごくまっとうなスタイルの4ドアセダンのボデイはしっかりとしていてトランクも大きく、なにげにヨーロッパの実用車の雰囲気が好きでした。
この車で初めてオートマ車を選んで見ました。もちろんトルコンのオートマです。
シートを初め全体の作りは良くデザインも気に入っていたのですが問題は走りです。なんといっても当時のオートマ車はガソリンを食うのです。もう一つは足まわりがソフトすぎることでした。
購入してすぐ山道を走ったのですが、すぐ腹を擦って思うように走れないので、カヤバ製のスポーツ用ショックアブソーバーに交換してもらいました。
初めて乗ったオートマ車でしたが、そのもっさりした感じと燃費の悪さで最初の車検と同時に手放してしまいました。
オートマも随分と進歩したものです。トルコンでも6速とか8速まで出現し、僕のポロのように7段変速のギアを自動的にクラッチを切って変速するというDSGまでが出現しているのです。
そこで次に選んだのが初めての三菱車でした。まっとうな4ドアセダン、というのが当時の僕の車選びの基準でした。
国産の4ドアセダンの中では三菱ランサーEXが一つ抜けた垢抜けたデザインだったのが選んだ理由です。
この車のデザインにはイタリア人のセッサーノが関わったとされ、直線的ですっきりとしたしたデザインは当時ではなかなか斬新なものでした。
(借り物の写真です)
エンジンは1600が主力だったはずですが、あえて1400ccを選びました。
その理由は当時愛読していたカーグラフィックで1400でもマニュアルなら力は十分というインプレを読んだからです。ところがこれが見事に裏目に出たのです。
ミッションはマニュアルの5速です。ジェミニのオートマで懲りたので今度は5速を駆使して小さい馬力を有効に使った賢い走りをしようと思ったのですが、この車の力のないこと!ちょっとした坂でもへこたれて思うように登ってくれません。
あまりにも回転の上がりが悪いので、壊れているのかとデイーラーに持ち込んだのですが異常なしとの診断です。
やたら自動車雑誌のインプレを鵜呑みにしてはいけないのか、それとも僕の車だけの問題だったのか、それはいまだにわかりませんが、それ以降は雑誌の記事を鵜呑みにすることはなくなりました。
それ以外にも気に入らなかったのがシートの出来や室内を含めた質感の悪さです。
少なくともデザインや見た目はとても良いのに材質が酷過ぎます。
これも下位グレードを選んだ場合のマイナス点です。シートはペラペラで材質はホンダN360以来のビニール地?夏の暑い日にはペタペタして最悪です。
(下はコルベットですが、もちろん愛車になったことはありません!)
さてこの車で初めて装着したものがありました。それがエアコンです。車に乗り初めてから6台目にして初めてのエアコン!
今思うと考えられないでしょうが、暑い時はひたすら窓を開けて走っていたのです。そのためか今でも窓を開けて走る事は多く、風の心地よい5月や10月に窓を閉め切って走っている車ばかりを見るとなんだか勿体ない気がします。
しかもこの車エアコンを入れるともともとパワー不足だった上にさらにパワーが下がるのです。いまどきは軽自動車でさえエアコンがはいると極端にパワーが落ちることなど無いでしょうが、これには参りました。なんせ東名高速の登りなどエアコンを入れると制限速度を保って登ることは難しかったのです。
そんな時、会社の車好きの知人から持ちかけられたのが今乗っているクラウンを買わないか?という話でした。
まだ【いつかはクラウン】という言葉が生きていた時代です。
一度はトヨタ車に乗ってみてもいいか、しかもただのクラウンではなく少々ゴージャスでスポーテイな雰囲気の2ドア・ハードトップです。
ハードトップ!なんという懐かしい言葉でしょう。本来は屋根なしのオープンに載せるための屋根のことです。
サイドのピラーが無いのが特徴で、アメリカで流行した形ですがそれをトヨタが取り入れたのです。Cピラーにオペラグラスのようなちいさな窓が空いているところも、そっくり米車風でした。
(借り物の写真です)
値段は25万円くらいだったかと思います。会社の帰りに世田谷の知人の家に引き取りにいきそのまま乗って帰ったのですが、それは今まで乗ったことのない感覚でした。初めて乗った6気筒エンジンはさすがに滑らかで新鮮でした。とはいえボデイが重いのです。
片手で回せる軽いハンドル、ハンドルを切るとぐらっと傾きながら曲がる重いボデイ。2ドアハードトップのスポーテイなボデイとは裏腹になんとも鈍重な感じです。
この車で印象に残るのが室内の作りの良さです。さすがに手作りだった117並とは言えませんが、ランサーとは比べ物になりません。
とはいえその趣味の方向が好みとは少々違い、ブルーのベロア調のシートは田舎の応接間の椅子を連想させるようなものでした。
2ドアハードトップという形からそのドアは必然的に重く大きくなります。こんな立派で重いドアにはその後出会った事がありません。
しかしさすがトヨタといえどもそのあまりにも重いドアの重量に耐えることはできず、だんだんと下がってくるのでした。
(アメリカ車のハードトップ スタイル)
そして一番恐ろしかったのが燃費の悪さです。燃料タンクも小さいのか260キロも走るともう空に近くなってしまいます。リッターあたりの走行距離にして5,6キロでしょう。そしてこの燃費の悪さは高速道路を走っても全く改善されないのが特徴ででした。
ちなみに現在乗っているポロは一般道と高速道路が混じったコースだとリッター16~7キロ街中でも13キロくらいは走ります。満タンにすれば500キロ以上走るのです。
車の大きさが違うとはいえ雲泥の差です。(ちなみに運転の疲労度はかえってポロのほうがありません)
このクラウンは1年足らずというもっとも短い所有期間で会社の同僚に売り払ってしまいました。歴代の車の中でもっとも掃除をしなかった車でもありました。
というわけでこの3台は僕の愛車遍歴の中ではもっとも印象の悪かった車といえます。そしてこの次の車(ということは8代目!)から、これまで乗った車のなかでベストになる車が次々と登場してくるのです。
そしてそれ以降の車はどれも10万キロ以上乗り続けることになります。