再び永青文庫に等伯を見に行く。日本画と単眼鏡。 |
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2017年 11月 14日
10月末に永青文庫で初めて長谷川等伯の絵を見たのですが、その後展示が入れ替わったので、再び見に出かけました。
神奈川から行くには少々遠くて行きにくい、目白という場所にあるにもかかわらず、そこまで出かけてしまうのは、前回みた等伯の絵にとても魅力を感じたからです。
日本画に興味を持ち始めたのはつい最近のことなのですが、その中でも等伯の絵には何かしら特別な印象を受けます。 それが何なのか浅学な僕には語ることが出来ないのがもどかしいのですが、ほんらいならば装飾性の強い障壁画にもかかわらず、装飾的要素などまったく感じられないばかりか、まるで現代の画家の抽象画を見るのと同じように違和感なく見る事が出来るのです。 さて話は急に変わって【単眼鏡】です。 【単眼鏡】・・耳慣れない言葉です。双眼鏡とか望遠鏡とかいうのは良く聞くのですが、単眼鏡とは? いわゆる望遠鏡のごくごく小型の手のひらサイズのものなのですが、これにもいろいろと種類がありまして、遠くの鳥や景色などを眺めるための高能率で倍率の高いものから、美術鑑賞用として短い焦点にピントが合うものまでさまざまです。 実はこれは仏像や日本画の美術展を見に良く行くBTさんのお勧めの品です。 細かく描かれた日本画や巻物などを見るのには得に便利だとのこと。 確かに日本画の展示は照明が落とされている上に、かなり距離のあるガラスケースの中に展示されている事が多いので細部が見にくいのです。 【これは便利ですよ、ぜひ一つお買い求めください】とのことなので、いろいろ調べてみました。 僕の目的は美術鑑賞なのでもちろん短い焦点にピントが合うものになります。 さて調べて見ると、単眼鏡といっても随分と色々なメーカーやバードウオッチング用など様々な種類があります。 どれが美術鑑賞用に適しているかいまいちよくわかりません。 さんざん調べて見た結果、美術鑑賞用には4倍から8倍の倍率ものが適していることがわかりました。 値段は6000円程度から高いものは数万円のものまであります。僕が購入したのはもちろん5000円台のヴィクセン・モノキュラーという単眼鏡です。 実は先月の末にこの永青文庫に来たときにはすでに購入していたのですが、例によって肝心なこの時にうっかり持参するのを忘れてしまって悔しい思いをしたのです。 そこで今回はぜったい忘れないようにとしっかり持ってきました。 やはり単眼鏡の威力は絶大です。 特に僕が好きなのは等伯の描く木々の枝とか草とか岩とかです。 それは他の水墨画と同じようでいて、どこか普通の水墨画とは違うようにも見えるのです。 まったく迷いが無い大胆とも思えるような描き方なのですが、単眼鏡でみるとその筆遣いがさらにはっきりと見えます。 良く見ると大胆でシンプルながら実に繊細です。その見事さに、どうやったらこんな風に描けるのだろうとため息が出てしまいます。 等伯の描く動物の顔も好きです。 人間の顔は喜怒哀楽がそれほどはっきりと表現されているように見えないのに比べて、動物の顔のほうにはもっと表情を感じてしまいます。 先般の展示にあった猫といい今回の展示のロバといい、鶴といい、実に良い?表情をしているのです。 やはり等伯は他の画家と、どこか違うような気がします。 あらためて等伯はいいなと思ったのでした。 今回障壁画以外にも興味深かったのが、日通上人が等伯との談話の中で出た絵の話について書いた【等伯画説】の本物を見られたことです。等伯は60歳を超えたころから【雪舟五代】を自ら名乗りました。 今回の展示では雪舟との関係図のページが開かれていたので、写真などで見た事のあるこの図を、直接みることが出来てなんだか不思議な気がしました。 というのも【日通上人】と【等伯画説】については、黒田泰三の(もっと知りたい長谷川等伯)に写真や説明が出ていましたし、先に読んだ小説萩 耿介著【松林図屏風】と阿部竜太郎著【等伯】にも登場するので、なんだかとても良く知っているような気がしてしまうからです。 まさかその本に出ていた【等伯画説】の本物を目に出来るとは思ってもいませんでした。 実際にはこの図を見ても本当に等伯が雪舟の5代目だったかは良くわからないそうですが、その名前を使って宣伝し、大いに工房を盛んにさせたようです。等伯はなかなかのやり手だったのです。 それにしても安倍龍太郎の(等伯)はある意味すごい本でした。 普通は歴史上の人物などが主人公だと、なるほどそんな人だったのかと、うなづかされる事が多いのですが、この本の等伯と永徳ほど、僕のイメージとかけ離れた例は初めてでした。 しかもハードSF並みのとんでも結末には口をあんぐり!(とんでも本の一つに推薦したいくらいです!) 作者は等伯の絵にインスパイヤーされながら、この小説を書いたそうですが、そう聞くと小説家の想像力とはいかにものすごいものかと思います。(あの等伯の絵をみてこの人物像を描けるとは!) Cさんがこの本を読むのを途中で放棄したといっていましたが、なるほどもっともな事だと思ったのでした。 たっぷりと障壁画を堪能した後は隣接している肥後細川庭園を散策してみます。 ここいら一帯はまるで東京とは思えないほど静かで閑散としています。 園内を巡ってみると、少し色づき始めた木々の色が池の水面に映えて美しく、まるで深山にいるかのような良い雰囲気です。 池を巡って四季の移り変わりを楽しむ・・なるほど日本庭園は季節の移り変わりを味わえるようにうまく作られているなと思ったのでした。 前回の展示を見ていたのでその券を出すと100円の割引となりました。 その100円でお隣の別館で例の細川家御用達のお菓子「加勢以多(かせいた)」を食べてお茶を飲んだのでした。ちょっぴりと甘酸っぱいカリンの味がとても爽やかで美味しいお菓子です!ここで販売していれば即購入なのに、売っていません。ここのお茶とお菓子の代金といい、さすが鷹揚な細川家です。(感謝!) そういえばこの永青文庫に何十回となく来ていると言うBTさんですが、ここでお茶を飲んだことが無かったそうで、そんな所があるの!と驚いていました。 もともとこの展覧会を勧めてくれたのがBTさんですから、まさに灯台もと暗しと言えましょう。 僕が提供する役に立つ情報は、いつも食べ物の事ばかりというのが、ここでも実証されたわけです。 (というわけで今回の写真は永青文庫と肥後細川庭園です。)
by omoshiro-zukin
| 2017-11-14 18:30
| おもしろ美術
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