門前仲町とスターバックス |
確かにシアトルにはこれと言った観光名所があるわけではありません。日本からの直行便も飛んだり飛ばなかったりで、しかも日本から初のシアトル直行便が飛んだ時には大のカナダブーム。この便を利用する観光客はシアトを素通りしてバスでバンクーバーへ。
航空会社はシアトルに滞在すれば一泊の宿泊費を負担するという太っ腹なキャンペーンまでやっていましたが、こんな事をすればするほどシアトルってよっぽど魅力の無い街なんだと思われてしまう悪循環。
僕がシアトルを好きなのは何よりもその自然環境にあります。まさに海あり山ありで、街からちょっと車で走ればすぐ国立公園という、文字通り大自然のふところに抱かれている街だからです。
初夏まで雪を抱いているマウントレーニエ、街から2時間少々走るとこの山の入り口まで行くことができ、完備された遊歩道には花が咲き乱れ、しろーとの僕にも手軽に山歩きが楽しめます。
街からフェーリに乗ればオルカやクジラが見られる島も沢山あり、この島々を巡る旅も捨てがたいものがあります。・・と書きだせばきりがないほどの面白い事いっぱいのところなのですけど、書いているときりが無いのでそろそろ本題にはいります。
シアトルの名物にコーヒーがあります。と聞いた時には何でアメリカで、なんでシアトルでコーヒーが名物なの?と思いました。
ところが実際に行ってみると随分とコーヒー屋さんが目立つのです。店の前にパラソルを広げたオープンカフェは日本ではまだ見たことの無いお洒落な風景でした。
スターバックスも数店舗ありましたが、一番目についたのはシアトルズベストコーヒーでした。
泡立てたミルクにエスプレッソをいれたカフェラテという聞きなれない飲み物があり、これがシアトルの名物だと聞き飲んでみると、泡のまろやかな口当たりがとても優しくて美味しい。すっかりカフェラテのファンになりました。
シアトル在住のIさんは大のカフェラテファンでそのころ全米中でカフェラテがあるのはシアトルだけなので、ニューヨークなどに出張した時にはカフェラテが懐かしくなると言っていました。なぜか当時シアトルだけはマクドナルドにもカフェラテのメニューがあったと思います。
米国の他の都市にスターバックスがぼちぼち出現するようになったのは、それからしばらく経ってからの事でした。
NAPAなどの田舎では出来たばかりのスターバックスに若者がたむろして、米国でもすっかりトレンデイな雰囲気でした。
その後目覚ましい勢いで店舗が増えていったのはご存じのとおり。それからわずか十年もたたない内にシアトル発のラテが世界中で飲まれるようになろうとは誰も想像していなかったでしょう。(スターバックスを買い取った弁護士以外は!)
コーヒーが1ドルするかしないという米国で、その3倍近い値段のコーヒーが売れると予測したその先見性と戦略は驚くべきものです。
そして何回かのシアトル通いですっかりカフェラテのファンになった僕は、全米中に広がるスターバックを横目で見ながらそのうち日本にもスターバックスがやってくるといいな、と首を長くして待っていたのでした。
その時、友達から耳よりな情報が入りました。なんと門前仲町にスターバックスが出来たというのです。当時まだ誰も知らないスターバックスの名前を彼が知っていたのは彼も仕事柄米国に行く機会が多かったからです。
そこで喜び勇んでいそいそと、神奈川県から門前仲町までのこのこと出かけていったのです。でもそれは似ても似つかない別の店でした。
がっくりしましたが気を取り直し、富岡八幡宮で早くスターバックスが上陸するようにお祈りしてきました。
冷静に考えると、日本初上陸のスターバックスがわざわざ門前仲町を選ぶはずがありません!
そして案の定それから半年後、お洒落な青山にスターバックスの一号店が出現したのでした。
もちろんいそいそと行ってみたのはいうまでもありません。
911以降はほとんどアメリカに入っていません。