ワイナリーの庭で聞くJAZZ ヒールズバーグJAZZフェステイバル(その1) |

野外での音楽会の季節はもちろん夏です。
先日降った雪がしつこくも、ちらほらとまだ道にまだらに残っているのを見ていると、抜けるような夏の空の下で聞いた野外コンサートがとても懐かしくなります。
たぶん最初に聞いた野外コンサートは遥か昔の日比谷野外音楽堂でのブルースフェステイバルだったと思います。
結構有名なブルースマンが出たはずですが、もうほとんど覚えていません。
後にわかったのは事は、もっと気持ちが良いのはきちんとした音楽堂できちんと腰かけて聞くコンサートなどではなく、芝生に座って楽しむようなピクニック気分の野外コンサートだったという事です。
初めて海外で行った野外コンサートはサンフランシスコのフォートメイソンで開かれていたブルースフェステイバルでした。
会場に向かう人は皆折りたたみ椅子とか、敷物とかアイスボックスとか沢山の荷物を持っています。
行ってみると広い会場に食べ物の屋台が沢山出ていて、しっかり聞いているのはステージの前のほうだけ、後は飲んだり食ったりして、てんでに楽しんでいるではないですか。
真面目に音楽を聞くだけのコンサートというよりピクニックとお祭りを合わせたような雰囲気です。
なるほどアメリカの野外コンサートはこんなに明るくて楽しいものだったのです。
SFO市内の住宅地の中に結構おおきな山の中のような公園があり、ここで毎年夏になるとサンフランシスコフィルによる無料コンサートが開かれます。
きちんとした野外ステージでのフルオーケストラによる演奏ではありますが、こちらも真面目に聞きいるというよりは、何となく風に当たりながら散歩したり、音楽を楽しんだりという気楽な気分でいっぱいでした。
そんなサンフランシスコでの楽しい気分でいっぱいの野外コンサートがすっかり気にいった僕が、次に目をつけたのがもっと田舎です。
サンフランシスコから約2時間車で走ると広々としたぶどう畑が広がり、遠くにはなだらかな丘陵がつらなる美しい風景のNAPAに着きます。
ご存じのように、ここはワインの産地として有名で、数百メートル走るとワイナリーがあるというくらい沢山のワイナリーがあります。特にここ20年で倍くらいに増えた気がします。
試飲は無料だったり有料だったりしますが、そのほとんどがビジターに解放されていているのがいかにもアメリカらしいところ。
どんなに小さなワイナリーに行っても車が止まって人がいるのには驚きます。
建物もヨーロッパのお城のように立派なものから、もっと近代的なもの、中に美術館まで持ったものから、呼び鈴を押すと中から赤い鼻をしたあから顔をしたおじーさんが、よいしょっ!といった感じで出てくる民家のような小さいものまで多種多様です。
ワイナリーによっては庭で飲んだり食べたりするスペースがあるところもあり、ここで小規模な演奏をしていたりする所もあります。
中でも日本でも有名なロバートモンダビが毎夏に自分のワイナリーでコンサートを開いています。もう随分と昔のことになりますが、このコンサートに行ってみました。
ワイナリーの中庭、通常はただの芝生の広場ですが、この時はここに敷物を敷いたり、折りたたみ椅子を持参したりした人たちで埋まります。
食べ物や飲み物は持ち込み自由。特別なお客さんのためにはぶどう畑の中にテーブルと椅子が用意されています。
もちろんモンダビのワインも買って飲むことが出来ます。しかも値段が安い!
おいしそうな料理やワインで和気あいあいとした中でコンサートが始まります。
このワイナリーのランドマークである教会の塔のような建物の下にステージが作られています。ロバートモンダビさんもこのこの頃はまだご存命で、気楽なアロハシャツ姿でステージで挨拶をしていました。
この時の演奏はニューオリンズからやってきたJAZZのバンドでした。
なかなかうまい伝統的なニューオリンズJAZZを演奏します。コンサートは夕方から始まるのですが、夏のNAPAは暗くなるのが9時過ぎです。
長い長い、いつまでも終わりそうもない、たそがれの下で、スイングたっぷりのニューオリンズJAZZを聞くのははこれまた気持ちが良いものです。
演奏も終わりにちかくなると観客もすっかりワインで良い気分になり、暑かった空気がすーっと冷えてくると当たりはやっと暗くなります。
最後の曲はサマータイムです。伸びやかなトランペットの音が夕空に尾を引くように消えていくと、暗くなったぶどう畑にいきなり花火があがりましたなんとも雰囲気のあるコンサートでした。
NAPAから少し離れていますが、同じくぶどう畑に囲まれたヒールズバーグという小さいけれど美しい町があります。
こじんまりとした町ですが、ちょっとおしゃれなレストランなどもいつくかあります。
ここを訪れた時、ヒールズバーグジャズフェステイバルという文字が入ったTシャツを着ている人がいました。
それを見てこの町でJAZZのフェスをやっている事を知り、以来ぜひとも聞いてみたいと思っていました。
その数年後たまたまそのフェスを聞く機会が訪れたのです。2日間に渡るそのフェスは田舎の町のJAZZフェスとは思えないほど充実したものでした。(その2に続く)