BD-1で行く川の旅。境川をずっとさかのぼって源流を訪ねて見ました。 |
僕と同じ折りたたみ式ミニベロのBD-1を持っている茅ヶ崎在住のYさんが、先日境川自転車道路の終点、246号線に尽きあたるところよりさらに先まで川に沿って行ってみたそうですが、同じような自転車(歩行者)専用道路がずっと続いていていたそうで、その時は地図もなかく時間も遅くなったので途中で引き返してきたそうです。
もっといけそうなので今回は行けるとこまで行って源流まで行ってみようと言うことになりお誘いがありました。
同行は同じく茅ヶ崎在住のOさん、みかけも僕よりもふたまわりも大きいだけでなく、底しれない体力を持っていて、4時間半かけて茅ヶ崎から南足柄まで自転車で行き、2時間テニスをやってまた帰ってくるというつわものです。自転車は大きくて重くてタイヤの太いGIANTのMTBです。
待ち合わせ場所の境川遊水センターを出てから246号線につきあたるまでの道は通り慣れた道です。
5月の良く晴れた日の午前中は風もまだ強くなく、雲雀の声を聞きながら快適に走れます。
交通量の多い246号を信号を使って迂回しながら渡り、川まで戻ってみるとなるほど今まで走ってきたのと同じような歩行者道路(自転車も通行可)がずっと続いています。
この辺りから東京都町田市にはいりますが、右岸は町田市、左岸は神奈川県相模原市です。
まわりはピカピカの新興住宅地で、大きくて綺麗な住宅がずっと続きます。
川沿いに走っていて面白いのは全ての景色を裏側から見ているような感覚になることです。
大きな住宅もなぜかみんな後側を川に向けています。遠くに見える大型店、マンションなども、みんな川に背を向けているように見えるのが不思議です。
大都会の町田のど真ん中、飲み屋やラブホの裏側を抜けると、川の回りはまた緑で覆われます。とことどころ未舗装の道がありますが、どこまでも車を気にすることなく歩行者(自転車)専用道路を走って行けるのには驚きました。
これは想像以上に素晴らしい自転車道路といえるでしょう。
境川自転車道路は実は江の島の河口から橋本付近までなんと50キロ以上繋がっている稀に見る立派な自転車道路だったのです。
(江の島から藤沢まではあまり立派ではありませんけど)
橋本駅の近から並行している町田街道に入りました。ゆるい坂を登りきるとここから八王子市の表示があったのでびっくり。(はるばる八王子まできてしまったとは!)
道を間違えたことに気づきあわてて登ってきた坂を下りました。
このあたりから風景は山の景色になります。どんどん登って行くとても立派な大地沢青少年センターに出ます。ここはキャンプ場、ハイキングコースなどもあるなかなか魅力的なところでした。
Yさんは学生時代自転車のツーリングクラブだった上に雨が降ろうと雪が降ろうと毎朝一時間の早歩きを欠かしたことのないという人なので、そのスピードの早いこ早いこと、
坂にかかるとあっという間に視界から消えてしまいます。
同じBD-1とはいえ彼のは20万円近くもする9スピードという軽量モデル、その違いもあるのでしょうが
それだけでは済まないほどスピードが違います。
もう3年乗っているのに、いつまでたっても遅い僕は、もっと普段からもっと真面目漕がなくてはとあらためて深く反省したのでした。
そこから未舗装路の山道を登って行くと小さな沢に出ます。
水があるかないかのような小さな沢ですが、そこにここが境川の水源地ですの看板が立っています。
途中休憩やお昼ご飯の時間をいれて自宅から約4時間少々のライドでした。
それにしてもこんなささやかな流れが、沢山の水をよび、52キロ先の江の島の河口付近ではどうどうとした流れになるのですから、ほんとうに不思議に感じます。
帰り路に行きに見かけた八木重吉記念館という場所によってみました。
八木重吉と草野心平は僕が学生時代に好きで良く読んでいた詩人です。二人の詩にはなんとなく似たところがあると思いませんか?
ほとんど水源に近いこんな山奥?に住んでいたとは知りませんでした。
行ってみるとここは予約制で往復はがきで申し込んでから訪ねてくださいとの表示がありましたが、まごまごしているうちに中から若いおねーさんが出てきて特別に開けてくれました。
ここは八木重吉の生家だったのですが、今現存しているのは蔵だけでここに資料が展示してあります。
ここで判明したのが八木重吉と茅ヶ崎の繋がりでした。彼は結核で当時東洋一といわれるほどの規模だった茅ヶ崎の南湖院に入院してここで29歳の短い生涯を終えていたのです。
彼の死後妻も彼を偲びこの南湖院で働いていたそうです。茅ヶ崎にもゆかりの深い詩人だったのです。
もちろん茅ヶ崎在住の二人も興味深そうに展示を見ていました。
僕が好きだった八木重吉の詩の一つがこれです。俳句よりも短い、たぶん日本で一番短い詩でしょう!
夜の薔薇(そうび)
ああ はるか よるの 薔薇(そうび)
この世のものともあの世のものとも思われぬ深い闇の中、ほのかにともるあかりのようにひっそりと咲いているたった一輪のバラの姿が浮かんくるような気がするのです。
この記念館の前には有名なこの詩の石碑が立っていました。これも好きな詩でした。
素朴な琴
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう
帰り道は橋本まで戻って相模線で輪行、こういう時パタンと簡単にたためるBD-1は楽です。
MTBのOさんは大変そうでした。
というわけで目的の水源だけでなく思いがけなくアカデミックなおまけまでついた全走行69キロの旅でした。
此の処のSeiboさんの写真・・・アングルと云い写真の美しさにはびっくりです・・・プロも顔負け!!