VW POLO。 半年乗ってもやっぱり賢い! |
半年乗って見てPOLOは賢いという最初の印象はいよいよ深まるばかりです。
ここ15年の間は2台のSAABを乗りついで来たのですが、最初の車は2300cc、2台目は2,000ccですがターボ付きでした。
SAABはいわゆる高速の伸び専用のターボを低速から効かせるという実用的なターボを最初に開発したメーカーでした。
自社設計のエンジンはメーカーの規模から言って古い設計の昔のエンジンだったので、かろやかに回転が上がるというよりトルク感のしっかりあるしごく実用的なものでした。
(ターボの方はターボの効き始める3,000回転くらいからの盛り上がり方は迫力があり、古い車をまさにワープのように加速させたのでこれのファンもいたようです。)
その前に乗っていた共に10万キロ以上走り、2台を乗り継いだ同じVWのジェッタデイーゼルターボは、いくらターボ付きとはいえ1600ccの古いデーゼルエンジンなので、東名高速で路線バスに軽々とパスされるほどで、とてもドイツ車とは思えないほど高速走行は苦手でしたが、デイーゼルらしく低速では思いっきりトルクのあるエンジンでした。
太いトルクで低速でどたどたと走るのはそれはそれでなかなか良いものでした。
しかしそれらの車にも負けないほど、いやそのどれよりもPOLOのたった1200ccのインタークーラー付きターボエンジンは低回転でも良く粘るのです。
その粘りというか低速トルクは驚異的で、どのギアに入っていようとも1000回転を200~300越えたくらいからアクセルを踏むと無理なく加速して行くのには驚くばかりです。
加えて手動では間に合わないほどの速さでポンポンとギアをシフトアップして行くDSGとの相乗効果でゆっくりとアクセルを踏んでいる限りタコメーターの針は1200回転くらいで留まったままなのですからほんとうに驚異的です。
こんなに回転を上げないまま、低回転で苦も無く走るくるまは今まで体験したことはありません。
まさに低速でも効果的な最新のターボと、最新コンピューターチューンによる技術の進化を体感できるのです。
それに加えてDSGのギアチェンジの早さにも驚かされます。
DSGというのは一般的なオートマだったトルコンや最近流行っていたCVTなどと違い自動的にクラッチを切って直接繋ぐもので、伝達上のロスがありません。それにくわえて電光石火のシフトの速さなのです。
ゆっくりアクセルを踏んで行いくとあっという間に3速に入っています。
その後40キロではすでに5速に、50キロでは6速に、そして55キロを超えるとなんと7速に入っているのです!55キロで7速なんてまさに掟やぶりではありませんか!
昔だったら高速道路でやっと燃費の良い、すなわちギア比がオーバードライブの5速に入れるという、いわば5速は高速の巡航ギアだったのです。
それが普通の町中で55キロ出ていれば7速までポンポンとシフトアップしていってしまうのですから、ひたすらびっくりです。
高性能スポーツカーならいざ知らず小型実用車に7段ギアというのも凄すぎます。
通常の走行でもあっと言う間に5速まで入っているのですから、これが燃費に効かないわけがありません。
車載コンピューターによると混みあった町中と郊外ではリッター16~17キロくらい、高速道路を制限速度程度に普通に走れば23キロ~26キロという数値が出ます。たいていは17キロくらいのところを示していることがおおいのですが、ガソリン満タン方式で計ってみるとだいたいリッター15.6キロとか15.8キロくらいの数字になるので、ここらあたりが通常僕の使う範囲での実用燃費と言ってよいでしょう。
車載コンピューターのほうが多少楽観的な数字を出すようです。
SAABではどんなに頑張っても10キロを出すのがやっと、街中ではせいぜい8キロだったのですから、同じガソリンで約倍の距離を走れることになります。
ちょっとばっかり驚くのは燃料計の針の動き方です。だいたい160~200キロくらい走るまではフルを示したままピクリとも動かないのです。壊れたのかと思ってしまいます。
昔乗っていた国産2,000ccなんて260キロ走ると燃料計はほとんどゼロでした!
その後一気に二目盛りくらいずつ動いていくのですが、ちょっと動きが乱暴するぎる気もします。
思えば初期のビートルは燃料計が付いていなかったので、ガソリンタンクのふたを開け、オイルゲージのような棒を差し込んで様子を見ていたのですから昔からVWはこのあたりがおおざっぱだったのかも知れません?
DSGに関してはもうひとつ別の使い方が出来ます。それはレバーを左に倒し手動に切り替えることです。
当初はDSGの自動シフトがあまりに素早くて適切なので、これじゃ手動にする意味が無いじゃないか!
とすべてお任せにしていたのですが色々試してみるとこれがなかなか面白いのです。
一つはさらにエコドライブに挑む頭の体操的な使い方です。
3速まではどうしても自動のほうが早いのでそれにまかせますが、4,5,6までのシフトアップはほんの少しの差で手動のほうが早くできるのです。
こうやって早めにシフトアップして行くと確かに燃費も1~2キロくらい良くなります。
ただし40キロで5速、50キロで6速、55キロで7速ですからものすごく忙しい切り変えとなります。
このDSGの面白いのは手動モードにしてあっても速度に応じて自動的にシフトダウンすることです。
なので50キロ、6速で走っていて速度が40キロに落ちると気が付かない内に5速に、30キロだと4速にシフトダウンしています。
そこからアクセルを踏んで加速していってもシフトアップは自動では行われない上に、あまりにも回転の上がりがスムーズなので気が付かないまま低いギアで走ってしまうこともあります。
これでは逆に燃費に悪いので要注意です。
通常のゆっくりした町中走行で7速を駆使するのですから、これは手と頭の良い運動になります?
スポーテイな使い方ではカーブの手前や坂の途中で手動で早めにシフトダウンすると、自動シフトより気持ち良く走ることができます。
その理由は自動シフトが燃費を良くする方向に作られているためだと思われますが、いずれにしろ手動で一呼吸早めにシフトダウンしてスムーズに加速していくのはとても気持ちの良いものです。
一番驚いたのは急坂と急カーブで知られ、車雑誌などがロードインプレッションに良く使う箱根ターンパイクを上った時です。
町中の低速トルクの強さは充分わかっていましたが、登り坂をこれほど力強く登っていけるとは!
しかも適度な速度で駆け抜けるコーナリングのスムーズなこと!
ハンドルを切っただけきちんと曲がって行き、路面を4つのタイヤがきちんと掴んでいるのが解ります。
昔のFWD車によくあった3輪コーナリングなど、はるか昔の事だったように実に安定したコーナリングです。
ほんとに気持ち良くカーブを流していたらあっと言う間に頂上に着いてしまいました。
ターンパイクをこんなに短く感じたのは初めてのことです。
そしてその平均スピードはかつて経験したことのないほど速いものでした、
実用的であるのは充分実感していましたが、POLOがこれほどスポーテイに気持ち良くワインデイングロードを走れるとは予想外のことでした。
走れば走るほどその実力と懐の深さが解ってくるなんて、やっぱりなんと賢い車なのだと再び実感したのでした。
自分はラリーで活躍していた頃のイメージが強いです・・・
って・・・40年位前の話・・・ユニークなエンジン(2サイクル3気筒それも多分1000CC未満の排気量ですよ) パット・モス・カールソン(スターリングモスの妹)さん等が乗って活躍していました。 スタイルも良かったと思います。