9月の日本のJAZZシーンはすごかった!JOE CALDERAZZO TRIO LIVE!。 |
日本の音楽シーンはいまだバブル状態のままなのでしょうか?
9月に来日したJAZZの外国人プレヤーの顔ぶれを見ると凄いものがあります。
イタリアからかつてはチェットベイカーとも競演していたエンリコ・ピエラヌンツイのトリオ、
メンバーを良く見るとベースがLarry Grenadier、ドラムがJeff Ballardという、なんとブラッド・メルドートリオのベースとピアノそのままではないですか!
なぜこの二人が一緒に? メルドートリオはどうなるの?と興味はつきませんが正確無比な(味気ないといえば味気ない)ジェフのドラムも聞いてみたいと思いましたがなんとなくパス。
実際に聞いた知人によると、以前に聴いたピエラヌンツィ オリジナルのトリオ、 マーク・ジョンソン - ポール・モチアンの演奏が非常に素晴らしかったので、それに比較するとちょっと違和感を感じたそうです。
ジェフバラードのドラムは実はあまり好きではないのですけど、何枚もメルドーのアルバムを聴いていると、その独特な機械的で冷静沈着なドラミングに最近ではむしろ親しみを感じてきているところです。
続いてジョバンニ・ミラバッシ・トリオが来日しました。
元々澤野工房から何枚もアルバムが出ていた人ですが、人気が出すぎてマイナーな澤野工房からは離れてしまったそうです?
物凄いテクニックの持ち主なので聞きどころ満載なはずなので、一度は聞いてみたいのですけど都合が合わずにパス。彼がアコーデイオンと一緒に演奏しているデユエットのアルバムは大好きです。(確か2枚あるはずです)
そしてスウエーデンのヘルゲ・リエン・トリオ。
実は正直に白状すると、このヘルゲ・リエンは知らなかったのですが、JAZZ通の僕の知人二人が共に大好きなトリオだと絶賛していたので相当有名なのだと思います!
勉強不足がばれます。(言いわけすると僕はピアノトリオにそれほど夢中というわけでないもので!)
こちらは東京JAZZの一環として3,000円という安い入場料のためかどうか?気がついた時はすでに満員でした。
それにしてもピアノトリオがこれだけ人気があるというのも日本ならではの事だと思われます。
世界中のピアノトリオが日本目指してやってきているかのようです。
そして結局僕が選んだピアノトリオのライブは9月の末になってやってきたJOEY CALDERAZZOでした。(渋いぞ?)そしてその結果は大正解だったと言えるでしょう。
ヨーロッパのピアノトリオは大変メロデイラインが美しく、テクニックも素晴らしく演奏も華麗なのですけど、ある意味、図太さというかJAZZの持つ素朴な骨太さのようなものがちょっと物足りなく感じます。
逆にそういうちょっとメローでロマンチックなところがローロッパのピアノ・トリオが日本で受ける原因なのかも知れませんが?
そのクラシックに近い洗練された美しさは大いに魅力なのですけど、その点CALDETRAZZOにはもちょっとJAZZのグルーブ感見たいなものがあるような気がしていました。
(個人的にはブラッドメルドーくらい一風、風変わりでオリジナリテイを持っているほうがその魅力にハマりやすいのではと思います)
CALDERAZZOはブランフォード・マリサリスのグループのピアニストですが、以前から何となく気になるプレヤーでした。特に彼とブランフォードとのデユエットアルバムは僕の好きなアルバムの一つです。
9月に来日した外国人JAZZプレヤーといえばほかにも東京JAZZに参加した、トニーベーネット、リー・コニッツ、ラリー・カールトン、チック・コリア、デビット・サンボーンなどなど有名どころをはじめとして書ききれないほどです。
クラシックでもこの秋に来日するのは世界の有名指揮者、オーケストラばかりです。サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、クリスティアン・ティーレマン指揮、ウイーンフィル、マリス・ヤンソンス指揮、ロイヤルコンセルトヘボウ、クラウディオ・アバド指揮、ルツェルン祝祭管弦楽団などなど有名どころがキラ星のように並んでいます。その他にオペラの公演なども含めるとでまさに百花繚乱のありさまです。
クラシックもJAZZもその顔触れはニューヨークを軽く凌駕しているはずでまさに世界一ではないでしょうか?
これにポピュラーの分野の外国人プレヤーの来日を加え、さらに日本人プレヤーやアイドルのコンサートなどを合計するといったいいくつのコンサートやライブが行われていることでしょう。想像しただけでめまいがするほどです。凄いぞ東京!!
問題があるとすれば料金です。音楽好きはいったいどこでお金を都合すればよいと言うのでしょう?まさかこの時代に覆面して列車強盗をするわけにもいきません?馬もないですし?
特にオーケストラの値上がりは著しく、1万円台の席は存在してはいても、ごくわずかなようであっと言う間に売り切れ、残っているのは数万円の席ばかりです。
世界の標準から比較すると日本の料金はたいへんにお高いように感じますけど、こんな立派な料金でこれだけの公演数が埋まるのですからまったく日本は凄い国です。
僕も好きなアバドを聞きたいと思いましたが、気がついた時にはもはや数万円の席しか残っていなかったので諦めました。
さて話はJAZZに戻ります。
これだけピアノトリオが来日している上、CALDERAZZOはそれほど人気ものではない??はずなので空いているかと思ったらさにあらず。ぎちぎちの満員ではありませんでしたが、8割以上埋まっているという盛況さです。
丸の内のコットンクラブは初めてでしたが、適度の大きさで古典的JAZZクラブの雰囲気が良く出ているなかなか良い雰囲気のライブ会場でした。
一番驚いたのは音の良さでした!
ライブハウスでは何でこんなに煩いのというくらいドラムやベースが大きな音を出すところが多いのですが、ここは実に自然でうまく生の楽器の音とPAがマッチしているではないですか!PAの悪さが演奏を台無しにすることが多い中これは実に素晴らしいことです。
そしてまたCALDERAZZOの演奏が想像以上に素晴らしかったのです。
コンサートやライブで演奏家のエネルギーとか演奏する人物の良さみたいなものが伝わってくる事はまれです。
うまいけどただペラペラと弾き流す人が多い中でCALDERAZZOはピアノが好きで好きでたまらないというのが実に良く解るのです。ピアノを前にしたら一日中でも弾きまくってしまうことでしょう!
こういうのが解ってしまうのが生演奏の良さであり、また怖さでもあります。
JAZZに必要なエネルギーとグルーブ感が風のように会場を疾走する快感を感じたのは久々のことでした。
昨年聞いたマッコイターナートリオは年取ったな、と言う感想のちょっと残念な感じでした。
まったくコンサートやライブを選ぶのは難しいことです。
サポートのドラムとベースもテクニックは確かな上に音楽を演奏するのが楽しくてしょうがないという雰囲ありありで、CALDERAZZとの呼吸もぴったり、息が詰まる様な緊張感ある繊細な演奏というよりはとても乗りの良い演奏でした。これこそライブのだいご味でしょう。
いつまでも弾いていたいけど次のステージの時間があるので、という前置きで始まったピアノソロによるアンコールもブランフォードの曲?を弾いたあと、48歳でまた子供が生まれちゃって!見たいな家庭内のフランクなうちわ話をした後に、奥さんが作曲したというロマンチックな曲で締めくくるというサービス満点の演奏でした。
このあたりにも彼の人柄の良さがにじみ出ているような気がしました。良いライブでした。
ともあれこの凄い来日ブーム?の中で運よく良いライブに出会ったことはとても幸運なことだったと思います。
ものによっては家で自分のステレオで聞いていたほうがずっと良いのに!見たいなコンサートも実におおいのですから!