LAST SUMMER DAY! 今年最後の夏の日。 |
今日はまるで急に秋が深まったような冷たい風が吹いて肌寒く、昨日の夏のような日から一気に季節が移動してきたような日でした。
今年は9月の25日になってもまだつくつく法師の声が聞こえていました。
その前日に関東の沖を台風が通過し、その翌日の26日には大波が立ち、稲村が崎では24年ぶりにサーフィン大会がひらかれました。
夏と秋がせめぎあっているような日が続いたのです。
でもその翌週の10月入るとさすがに蝉の声はぴったりと止み、透明で澄んだ空に白いうろこ雲が浮かんで、すっかり秋の雰囲気になったのです。
これですっかり秋になったのかと思いましたが、10月になったというのに昨日は肌を焼くような日差しが降り注ぎ、まるで夏の盛りのような暑い日になりました。
そんな最後の夏のような素晴らしい日にSさんのお誘いでシーカヤックに乗るという絶好の機会に恵まれました。
待ち合わせた場所に現れた車の屋根には一見それほど大きそうに見えないカヤックが積まれてしました。
ところが実際に海で下してみると結構おおきいのです。
このカヤックはマリブ・カャックX-13というモデルで全長は422cm、重量も27キロもあるという堂々としたもの。
車の屋根から大きくはみ出すのも当然の大きさです。
Sさんはこれを車に積んで一人でいろいろな海で乗っているというのですから大したものです。
(写真のオープンカーはたまたまそこに駐車していた車で本文とは関係ありません!)
急な坂を下って海に降りる道はいつもなぜかわくわくします。
見通しの悪い狭い路地の先に急に広々とした海が現れるからです。
この浜は珍しく浜辺まで車が乗り入れることができるという絶好の場所です。
しかもあたりにはまったく人影がありません。湘南と違って三浦半島まで足を延ばすとこんなに人気のない海岸があるのです。
もっとも季節も10月の平日ですから、人がいないのもあたりまえかもしれません!
本来は二人乗りではなく大人一人プラス子供の1.5人が定員らしいのですが、慣れるまでまず二人で乗ってあたりを一周させてもらい、そのあと
パドルをもらって一人で海岸から漕ぎ出してみると、思ったよりずいぶんと早いスピードで進むのに驚きます。
船の下を水が流れる音を聞きながら風を受けて進んでいくのは最高に気持ちの良いものです。
そういえば何十年も前に友人数人とデインギー(小型ヨット)を持っていたことがあります。
寒い冬は乗らず、風が強いときももちろん怖くて乗らないという軟弱セイラーだったので、数年で手放してしまいました。
それでも風の音としゃばしゃばと水を切る音だけを聞きながら水面を滑っていく快感は今でもしっかり覚えています。
エンジンとか内燃機関とかの助け無しで進んで行くと、不思議な静寂を感じます。
そして耳の横を通り過ぎて行く風がとてもよく聞こえて、それがなんとも独特の快感なのです。
この気持ちのよさは自転車にも通じますし、もちろんこのカヤックでも最大限に味わう事が出来ます。
それにしても風の力だけで、もしくは自分の力だけで進んで行くという事のなんという気持のよさなのでしょう!
日差しはじりじりするほど照りつけていますが、風はけっこう吹いています。このカヤック思ったより風の影響を受けるようです。
岩場をぐるぐると廻って海岸に向かって進み、大きく戻ろうと思ったのですが曲がりきる前に海岸に上陸してしまいました。
その後準備の良いSさんが持参してきたシュノーケルと足ひれを借りて岩場をちょろちょろと覗いてみました。
Sさんによるともう少し遠方の岬のほうまで行くとずいぶん沢山魚がいるそうですが、このあたりではあまり魚の姿は見られません。
それでも砂底を泳いでいた小さいエイの姿を見つけることができ、ちょっと喜んだのでした。
驚いたのはこうやって海に入っていても、また海から上がってもちっとも寒くないことです。10月だというのにまるで快適なのです。
そしてもっと驚いたのは「海に入ったのは何十年ぶりだったな!」と気がついたときです。
そういえば自転車で海岸まではしょっちゅう来ているのですが、裸になって海に入ったのは遥か昔のことなのです。
こうやって海に浮かんでパチャパチャと飛沫を上げていると、これもプールとは違ったなんだかとても懐かしい感じが蘇ってくるのです。
夏といえば海!と喜んで海に入っていたのはいったい幾つくらいの年齢までだったのでしょう?
そうやって普段あまり使ったことのない頭を使って昔のことを思い出そうとしていると、いつの間にか自分がずいぶん遠い場所へ来てしまったような気がします。
しかし、そんな思いにたっぷり浸っているにはあまりにも良い天気だったので、到着時に車の屋根に乗せ太陽の熱ですっかり温まっている2リットルのボトルに入れた水を温水シャワーにして塩や昔の思い出をすっかり洗い流し(グッドアイデアでした!)海に入った後の心地よい疲労感と高揚感をお供に帰途についたのでした。
夏が戻ったような素敵な天気にふさわしい今年最後の夏の日になりました。
急に冷えてきた今日思い出してみると、たった昨日の出来事なのにずっと前の出来事のように思えてしまいます。
いろいろとご面倒おかけしましたけど、Sさんまた連れていってくださいね!