オラソニックの最新?デジタルアンプを聴いてみました! |
最近とみにオーデイオ関係について書くのは僕の能力を越えているような気がするのです。
というのも先日知人から使っていないからとBOSEの121スピーカーとアンプ内蔵CDプレヤーPLS1210というなかなか見かけの良いセットを頂いたのですが、これを聞いてみるとなんとも微笑ましくなるような景気の良い音がするではないですか!
低音はまるでジュークボックスのようにぶんぶん言うし、緻密できめ細かい音を聴いているハイエンドの皆さまが聞いたら眉をひそめるような荒っぽい音なのですけど、僕にはけっこう気持ち良く聞こえてしまうではないですか!
「おいおい、13年もオーデイオやってきて、いまだにそんなレベルだったのか!」と我ながら呆れてたいそう情けなく思うのですが、しょうがありません。
と言うわけで冒頭の文章になるわけです!そんなことなのでこれから書く聞き比べもの内容もそんなレベルでのお話だと思ってください。
さて知人が最新のオラソニックのデジタルアンプを購入したのですが、安っぽい電源?に問題があると判断し、近所に在住の僕のアンプ類を作って頂いているCさんに電源の製作を依頼してきたのです。
たまたまこの依頼者も僕と同じスピーカーを使っているので最終調整もかねてこのアンプと完成した電源を持参してCさんが我が家にやってきました。
僕のDAコンバーターやプリ(4回も回路や部品のグレートアップしてもらいました!)を作って頂いているCさんはデザイン関係の仕事柄からか実に緻密で丁寧な仕事をします。
今回もさすがなだと思ったのは預かっているこのデジタルアンプと彼がこのアンプ用に製作した電源が、ともにきちんと透明のビニールで傷がつかないように梱包されていたことです。
もちろん聞くと時もこのままの状態です。依頼者への配慮でしょうが、がさつな僕など考えもしない細かい配慮です!
このアンプは、通常のDAコンバーターとデジタルアンプを組み合わせたものだそうで、ともにTI(テキサスインストルメンツ)製です。DAコンバーターは僕のやつより一世代新しいタイプのものです。
受けたデジタル信号をアップサンプリングしてからデジタルアンプに流しているところも特徴みたいです。
まずは付属の電源で音出しです。(確かにこの電源は小さくてみすぼらしいです!)
送りだしはサウンドデザインでクロックなど交換、トランスポートに改造したSONYのXA50ESです。
まずオケで定番のハイテイング指揮、シカゴ交響楽団のマーラー6番、ズンズンと低弦が刻む低音がやけにはっきり聞こえます。
随分と勢いがあって低音も僕の現用装置より良く出るではないですか。
「これはすごい!こんな小さな箱でこんな音出されたら大きくて高価なアンプの立場はいったどうなるんだ!」と思わぬ心配までしてしまうほど、堂々とした鳴りっぷりです。
しかし、聴いているとあまりにも輪郭がはっきりしすぎていて、ちょっと音がギラギラしすぎているように感じます。
そこで新しい電源に繋ぎ変えてみます。
このデジタルアンプはCDケース3枚分と称するだけあって頼りないほど小さくて軽いのですが、新しく作ってもらった電源はこの5倍以上の大きさではるかに立派です。
繋ぎ変えてみるとこの効果はずいぶんと大きいようです。ギラギラ感が取れてしっとり感が出てくるではないですか!感覚的にはずいぶんと上品になった感じです。解像力も上がったかなと感じます。これからはこの新電源で聴くことになります。
キースジャレットの「サムウエアー」など聞いてみると、ピアノの音色の厚みとか、響きとかばっちり出ます。シンバルの響きもいい感じです。
しかもその解像力の高さといったら、そこらの高級アンプが逃げ出すほどのものです。
「このクリアーさは何なんだ、僕もこれにしよう!」と単純な僕は一瞬思ったのですけど、色々聴いてみるとちょっとだけ気になったのが弦の音色です。
なんとなく滑らか過ぎるというか、引っかかるものを感じるのです。
そこでクレーメルのドボルザーク4つの小品というバイオリンとピアノの曲を聞いてみました。
録音されている音をすべて絞りだすかのような見事な再現です。
そのワイドレンジでエネルギッシュな再現には感服するのですけど、やっぱりバイオリンの音色だけがやけにぬめーっとして滑らか過ぎると言うか、何となく不自然に感じられてしまうのです。
しかし誤解の無いように書いておきますが、現用の僕の装置とどちらが本物の音に近いかと言えば、僕にはどっちだと断定することができません。(そんなレベルなんです。すみません!)
しかもその強烈とも言えるエネルギー感や録音されている音をすべて出しつくすような厳密な表現ではオラソニックのほうが優れているかのようにさえ感じられるのです。
オーデイオの評価の困った点は、こうなるともはや「好みの問題」という誰にも後ろ指さされない一言で逃げてしまうしかないことです。
そこで弦の音色を確かめるべく、もう一度オーケストラに戻してカラヤン指揮、ウイーンフィルでワーグナーのタンホイザー序曲を聞いてみます。
カラヤンならではの素晴らしい弦の統率力や華麗なオーケストラの迫力を十分に味わえる曲です。
オーケストラだと弦の音色の違和感というのはだいぶ少なくなります、と言うかほとんど気になりません。
「やっぱりオーケストラはオラソニックのほうがいいかも?」と思いつつ聞いていたのですが、ずっと聴いているうちに何となく僕の古いスピーカーであるチャットワースが目いっぱい頑張りすぎて、ちょっと無理をしているかなと言う感じがしてきました。
古い車に無理やり高出力の現代のエンジンを載せてフルスロットルを与えたような感じといいましょうか?
そんなちょっとばっかり限界を越えてしまているような息苦しさを感じてしまうのです。
そこでもう一度現用のシステムに戻して聞き直してみました。
クレーメルのバイオリンの音色を聞いてほっとしました。
やっぱりこっちの方が僕には自然に感じるのです。
この「ほっとする」感じが何に似ているかといえば、CDからレコードに変えたときに感じる「ほっと」した感じにたいへん良くにているのです。
カラヤンを聞いても同じような感想です。解像力やレンジ感は多少劣るかもしれませんが、現用システムのほうが音楽全体が何となくまとまって聞こえるのです。
あえて言うなら上品になった感じと言いましょうか?もちろん聞いていてずっと気持が良いのです。(この辺りまったく好みの問題ですね!)
オーデイオの難しさはそれぞれの好みが違うことにありますが、機械の相性という重要な問題もあります。
チャットワースにはたぶん再現するレンジも多少狭くなる現用のシステムの方が相性が良いようです。
それにしてもこの小さいオラソニックのアンプはその見かけと値段を考えると実にたいした実力であることは間違いありません。
現代JAZZやポップスなど最新の録音のアルバムだけしか聞かないのなら僕も間違いなくこちらを選ぶと思います。(ただしその場合だけでも付属の電源だけは何とかしてもらわなくてはなりません)それほどシャープでクリアーな切れ味は魅力的でした。
僕の古いチャットワースではなく最新のスピーカーだとまた違った魅力を発揮するような気がします?
ここまで聴いて僕はほっと胸をなでおろしたのでした。
一時はどうなる事かと思ったのですけど、これで無理してオラソニックのアンプを手に入れる必要が無くなったからです!
今回得た一番の教訓は「お金に余裕もないのに聴き比べなとやらない方が良いな!」という事でした?
今後も新しいアンプなどなるべく聴かないで平穏な一年を過ごそうと思ったのでした・・・・・。
はたしてうまく行くかどうか?
オラソニックのUA1は、grf邸で聴かせていただいたことがありますが、しっかりとT4をドライブしていましたよ。
電源を強化したUA1は、sd05と対決させてみたいですね。
GRFのところから辿ってきて、お人柄が偲ばれる文章に感心して以来、以前からちょくちょく訪問させていただいておりました。
今日訪れたら、同じような時に同じようなトピック―アクション映画とUA1について―をエントリーしているのを見て、あららら!と、思わずコメントした次第。
しかし、うーむ。生来の性格とは言え、同じトピックでありながらOMOSHIROさんの文章に比べて、自分の文章の何とまあ理屈っぽい、屁理屈をこねくり回した文章であることか!と、しばし呆れているところです(笑)。
それと、マガジンハウスの「ブルータス」は一番好きな雑誌で、良く買いますよん。そういえば、少し前に「小津の入り口」っていう小津安二郎の特集がありましたが、シゲティーの例よりも小津安二郎の例の方がしっくり来るかも。小津映画は嫌いですけど(笑)。
そんなことはありません。 omoshiro-zukinさん(ながいな〜)の文章とセンスは超一流です。人生と向き合う姿勢やスタンスが抜群ですよ。それが、オーディオの方では発揮されないのが、面白いですね。あまり深く潜らないように安全装置が作動するのでしょう(笑い)