300Bアンプが壊れた?かな?・・・やっぱりオーデイオマニア失格ですか? |
(写真だけ見る方へ、相変わらず本文とは無関係です。今回は夏と秋の変わり目の風景、というか夏の終わりを撮ってみたつもりですが・・・)
またまたはじめに断っておきますけど、くれぐれもまじめなオーデイオマニアと何かオーデイオに役立つことを期待するかたは、読まないでくださいね!
気持ち良く聞いていたら、右側のスピーカーから突然音が出なくなったのは一月ほど前のことだった。
最初に疑うのはコードの接続である。
たまにどこかがゆるんでいたり間違って接続して音が出なかったりすることがあるからです。(たまにと書きましたが実際にはわりとしょちゅうと言ったほうが正確かも?)
ところが今回は色々やって見てもやっぱり音が出ないぞ!
不器用な僕が意味も無く冷や汗を流しならが色々試したところ、どうやら2つの300Bパワーアンプのうち、右側を担当するほうがその原因らしい。
電気知識も腕もない僕ができるのは左右のアンプの300Bを差し替えて見たり、12AU7を別の玉にしてみたり、はては念力を送って回復を計ったりすることぐらい。
しかし相変わらず右側のスピーカーはシーンと静寂を保っています。
知識のある人は色いろと可能性を想像してみることが出来るのでしょうが、僕がこういう時思うのは【あーあー壊れちゃった!】という嘆きだけです。(情けない)
怖いので早々に電源をOFFにしたのですが、壊れているほうのアンプはなぜか電源のパイロットランプが薄く点灯したままで消えません。(意味不明)
早速製作者のCさんに連絡を入れて見ると、とりあえず危ないのでコンセントも抜いておいてくださいとのこと。
おとなしくコンセントを抜きましたが、音楽無しの生活にはちょっとの間でも耐えられないので、すばやく300Bが来るまで使っていたマランツのパワーアンプに接続します。
このマランツのパワーアンプは安いのですけど高級機ばかり並ぶ雑誌ステレオサウンドのパワーアンプベストテンで10万以下の値段で入賞したという最初にして最後のアンプです。
なんせ3万円台の値段でセパレートアンプを作ったということ自体偉業です?それに3万円台のパワーアンプなんてこの雑誌にはふつうは登場しませんよね!
ともかくそういう安くて性能の良いおりこうなアンプなのです。
いかにも音のよさそうな堂々たる雰囲気をかもし出す2台の300Bアンプからたった一台、しかもただの箱にしか見えないマランツに付け変えると、ものすごくがっくりするかと思うとそれほど大きな違いが無いことに逆に驚いてしまいます。
このマランツ、実に誠実に無理なく自然に音を出すことにはたけています。
(ここいらあたりで本物のオーデイオマニアの方からつっこみが入りそうなシチュエーションですが、これは僕の耳が悪いのかほんとにマランツの音が優れているのか神のみぞ知るといったところ?)
Cさんは忙しくてしばらく来られないとのことなので、ここ一月はずっとマランツで聞いていました。
よーく聞いて見ると確かに300Bのような艶、伸びやかさ、透明感、ふっくらとした感じなど、失われたものはずいぶんと多いのです。(たしかにずいぶんと多いですね!)
でも一週間も聞いていると【音楽を楽しむだけならこれで十分だよな!】と思ってしまうのですから、神にたずねるまでも無いかも知れません。
これって【モルトウイスキーが好きだけど、アルコールがはいってりゃなんでもいいや!】というお酒飲みに似ているかも知れません?
ともかく【ある程度の音で音楽きければいいじゃない!】といういい加減さなのです。
それでも無い知恵なりに絞りたくなるもので、DAコンバーターを金田式のほうに戻してみました。
pcm1704を使ったDAコンバーターのほうはオペアンプだそうですが、こちらはアンプ部分が手のかかかるデイスクリートで作られているそうです。(これも僕には意味不明?)
ただしその違いは聞いて見ると音の広がりとか解像力に間違いなく現れているようです。
金田式に戻してみると全体的にすーっと広がりクリアーになります。マランツにはこちらの方が相性が良いように感じられます。
さて一月たってやっと暇を作ってCさんがたずねてきてくれました。(いつもほんとにすみません!)
我が家に来る前にあらかじめ近所のホームセンターに寄ってヒューズを買っててくれているという手際の良さ。さすがです。
なるほど【真空管アンプに使っているヒューズはホームセンターで売ってるもんなんですね!】などと僕がつまらないことに関心してる間に、Cさんは早速アンプの裏蓋を外して内部をチェックしています
一緒に覗いてみると実に整然と部品が並んでいますが、思ったよりもスカスカに見えました。
不思議だったのはエナメルで皮膜されたコードではなく棒のような太いハリガネ(銅)で部品がタコあしのように接続されている場所があることです。
(ここでさらにオーデイオマニアから鋭いつっこみが入りそう!)
それはともかくチェックの結果内部は大丈夫そうです【たぶんヒューズが切れたんでしょう!】というCさんの言葉どおりに、調べてみるとやはり右側のアンプのヒューズが切れていました。なんだそんな簡単なことだったのか!と思うのはなんとかの後知恵というやつ。
早速買ってきたヒューズに交換しアンプを元の位置に戻し、慎重にコード類の再接続を行いました。
アンプのスイッチを入れると正常に電源の確認電気がともります。
はやる気持ちを抑えてCDを入れてさあスタート! ところがあたりは不気味な静寂のままです。
CDプレヤーを見るとしっかり回っています。これはどうしたことでしょう!
しかも今までは少なくとも左からははしっかり音が出ていたのです。それがまったくの無音状態。
Cさんと二人でコードの接続などを確かめてみましたがそこには異常はまったく見つかりません。
【おかしいな!】と二人で首を傾けた瞬間、なんと左側のパワーアンプの真空管5AR4から断末魔の悲鳴のように青い炎のようなものが上がったのです。
すぐに電源を落としました。その後念のため左側のヒューズも飛んでいないか確認(Cさんがです)したのですがこちらは大丈夫。
そして真空管5AR4の不良は確かなので両アンプとも交換してくださいとの言葉を残してCさんは帰宅したのでした。
世の中進んだもので、その夜にアマゾンで注文するとその翌日には届くのですから驚きます。
昔だったら秋葉原までわざわざ出向かなければ真空管なんか買えません。
それがちゃちゃっとネットで頼んで翌日着ですから世の中確実に進歩してます。それで頼むものは古臭い真空管ですからほんとに進歩しているのかいないのか?不思議な世界ですね?
さてこれで一安心、今までマランツ君には頑張ってもらったが、やっぱり見ためからすると300Bだよね!と早速届いたスベトラニア製の真空管に交換してみました。
電源ランプも赤々とともります。CDを回すとちゃんと音も出ます。
ところが良く聞いて見るとやっぱり右側のスピーカーからは音が出ていないのです!
またまた冷や汗が流れるのを感じながらも大事にいたらないようにすぐに電源を落とし、コンセントも抜き、早速Cさんにそのことを連絡したのでした。
そのすぐ後のことです。【ふうーっ】と大きなため息をつきながらじーっとアンプを見つめていると、おや!っと思いました。どこかに違和感を感じたのです。
再びよーく見てみると、なんと右側のアンプに2本刺さっている300Bの中のプレートの向きが違うのです。
あわてて左側を見るときちんと2本が同じ向きで並んでいます。【うっ!これは・・・】そのとき僕の胸の中ではとんでもない疑惑が確信へと変わったのです。
真空管というのは簡単に抜いて取り外すことが出来るようになっています。なぜなら消耗品だからなんですね。
すべての真空管の下部には数本の足があります。(普通は7,8本?)これを刺すときには向きが大事ですが、間違えないように間隔が均等ではなくぐるぐると回して穴に当てているとすっとと入る場所があるので、足の形を凝視しなくても手探りで装着できるようになっています。いわゆる馬鹿でも間違えないフェールセーフという思想ですね。
ところがですよ、300Bという玉は足が4本しかなくしかもその違いは2本の太い足と2本のやや細身の足という、微妙な差なので、たとえ向きが間違っていてもわりとすんなり装着できてしまうのです。
そうなのです、なぜか一本だけ間違った報告に装着してあったのです!
あわててその一本を正しい方向に装着して、もう一度電源を入れて音を出して見ると、なんと両スピーカーからちゃんと音が出るではないですか!
なんと言う運命のいたずら!かどうかわかりませんが、よーく振りかえってみると最初右のスピーカーから音が出なかったとき300Bを入れ替えてみたに違いないのです(すっかり忘れている)そのときうっかり刺し間違えたのに違いありません。有罪確定。反対尋問不要。
思えばCさんがいらしたときもこの方向に刺さっていたはずなので、切れていたヒューズを交換した後も右側から音が出ないのは当たり前だったのです。
さすがのCさんもまさかそんな事になっているとは想像もしなかったに違いありません。
(この時点でまじめなオーデイオマニアは怒り出していることと想像します。だからはじめから読まないでっていったでしょう!)
温厚なCさんにその顛末をメールすると【大事に至らず良かったですね、トランジスタだったら確実にいかれていますという】という暖かい返事がきていました。
そしてちゃんと音が出るようになった300Bアンプの音はやっぱりマランツとは随分違う音でした。
前にも書きましたが300Bアンプが能力を発揮するのは特に弦とピアノの音色です。
マランツではぎすぎすして聞きつらかったグルミヨーやジャネット・ヌブーの古い録音のバイオリンがとても聞きやすく滑らかに鳴るのですから不思議です。
そんなえらそうなこと言う前に、真空管の向きくらい確認できない人が真空管アンプなんて使う資格が無いのでは?という大きな疑問がふつふつと沸いてきたのですが、美しく響く音楽を聴いているうちに、まあいいか?と思えてきたのでした。まことに音楽の力は偉大といえましょう!
でもほんとのとこはどうなんでしょうね?