久々のJAZZライブ! ジェシー・バンルーラーを聞いてきました。 |
数か月に一度くらいはクラシックでもJAZZでもどちらでもいいが生演奏を聴きたくなります。
というわけでオランダのJAZZギター奏者、ジェシー・バンルーラーのライブを聴きに行ってきました。
この人、僕は一枚だけアルバムを持っていてそれがけっこう気に入っていました。たまたま日本に来るという情報を見つけたので行ってみようと思っていました。
僕が知っていたのは東京のコットンクラブでのライブ、平日の夜にわざわざ東京まで出るのはちょっと面倒だなと思っていたら、たまたまその話をしていた知人が横浜にも来ますよと教えてくれたのでそく予約を入れました。
場所は横浜モーションブルー、古風な赤煉瓦倉庫の中にあります。ステージの横の窓からキラキラ光るライトを沢山つけた観光船が行き来するのがちらっと見えるというなかなか横浜らしいロケーション。なによりもいいのが同じ系列の青山のブルーノートより料金がお得ということです。
ピアノトリオは日本ではそこそこ人気があるのですが、JAZZギターのトリオがそれほどに人気があるとは思わなかったのですが、行ってみるとチョー満員なのでびっくり。
いままで数回ここを訪れているのですがこんなに沢山の人がぎゅうぎゅうに詰まっているのは初めてです。
そして次に驚いたのは彼らが入場してきたときです。ジェシーの服装は普通のベージュのズボンに長袖のワイシャツ、黒い皮靴、茶色のベルト、しかもそではきちんと伸ばしてボタンで止まっている。どう見てもまるで勤め帰りのサラリーマではないですか!しかも風体も見るからに真面目そうです。
ベースとドラムも同様な恰好で、この3人が並んで外を歩いていたら、その辺りの会社帰りの外人としか思われないでしょう!この地味さはさすがオランダ人!と変なところに感心したのでした。しかし演奏が始まってみるとそんな事はどうでもよくなるようなすごい演奏だったのです。
さて普通ならばここで演奏について感想を述べることになるのでしょうが、音楽評論家でもなくJAZZにもそれほど詳しくない僕にとってJAZZギタートリオについて書くのは少々難しい。
実を言いますとそもそもギター好きの僕が唯一苦手だったのがJAZZギターの分野だったんです。JAZZギターなどを聴くようになったのは十数年前にJAZZを聞き出してからです。
というのもそれまではギターというのはチョーキングの泣きが入ったり、ビシビシとピックが弦をはじく音が聞こえたり、アコーステックなら大きな胴体に深い音が響いたり、弾けるようなスリーフィンガーだったりと、どっちかというと派手な音を発する楽器だと思っていたのですが、初めてJAZZギターを聴いてみるとどうも雰囲気が違うのです.
弦を思いっきり弾いたりしないし、チョーキングも無し、泣かすなんてもってのほかという、いかにも力を抜いたようなお上品さがどうも苦手だったのです。せっかくのギターなのにね!というわけです。
JAZZ系のギターでは誰にもまねできない独特のテクニックを持つ二人、ジャンゴ・ラインハルトとジョアン・ジルベルトのギターだけは別格で、こちらはあこがれていました。
それまで聞いていたギターといえばエレキギターというものを初めて聞いたベンチャーズから始まり、まずはまったのがライ・クーダー。彼は随分長い間聞いていました。そしてフォークが好きになってからは(まだ和製フォークが出現する前の話です)正確無比なピッキングをが特徴な盲目のドックワトソンのギターにしびれました。同じくカントリー系列ではもともとカントリーグループから後にバーズに入ったこ軽快なピッキングが特徴のクリアレンス・ホワイト。ホットツナのブルース風演奏、ダイアストレーツのマーク・ノップラー、ジョニーウインターのド派手なロック、泣く子も黙るお決まりのエリック クラプトン、独特のシンコペーションを持ったグレートフルデッドのガルシア、ザ バンドのロビーロバートソンのいかれた?ギターなどを主に好んで聴いていたのです。
面白いのはJAZZの名曲SO WHATを初めて聞いたのは、ガルシアとグリスマン(ブルーグラスのマンドリン弾きです、そういえばこの人が来日したときも聞きに行きました)のデユオアルバムだったという事。
このアルバムは良く聞いていたので、初めてマイルスの演奏を聴いてこの曲って本当は有名なJAZZの曲だったんだと初めて知った次第・・・お恥ずかしい。おんなじような事はフォークのPPM(ピーター・ポール・&マリー)でもありました。彼らの歌っていた【人みな兄弟】というアカペラの曲は、なんとあのバッハの【マタイ受難曲】からとったものだったのです。
そしてさらには同じ旋律が【クリスマス・オラトリオ】でも使われていることを知ったのでした。素晴らしい曲だったわけです!
JAZZを聞き出して最初に聞かせてもらったギターはジョーパスでしたが、これはなんとも難しい。次に聞かせてもらったのがポールチェンバースの名アルバム【ベース・オンン・トップ】の中でケニーバレルが弾く哀愁あふれる名曲【 Dear Old Stockholm 】でした。
このわかりやすい曲でケニーバレルをすっかり気にいり、いろいろ聞いたのですが、結局僕は彼自信のリーダーアルバムよりも他人のアルバムに共演している時のほうが好きだということがわかったのでした?
いまでもたまに【A GENERATION AGO TODAY 】など好きで聞くのですが軽やかでとっても良い感じです。良いアルバムですね。
王道のウエスモンゴメリーやジムホールなどはちょっと苦手かなと感じているところで、出会ったのがグラントグリーンでした。
グラントグリーンのギターは他のJAZZギター弾きとちょっとばかり違っていて、少し泥臭くブルースの匂を感じました。しばらく彼のアルバムを色々買っては聞く日々が続きました。とっても気に入っていたのです。
ところがある時からぴったりと聞かなくなってしまいました。たぶんなんだか中途半端に感じてきたしまったからかも知れません。
その後生でパットマルテイーノを聞いたり、テイラーエジストを聞いたりする機会があった時にそのアルバムを買ったりしましたが、それほど積極的にギターのアルバムを聴くことは少なくなりました。
なんか忘れてるって。そうなんです。最近のギター弾きではなんといっても人気の高いパットメセニーです。
どうも彼に代表されるような現代風なサウンドは苦手でして、もっとピックが直接的に力強く弦をはじく音が好きなんですねきっと。(好きなブラッドメルドーとの共演盤は聞きますが・・・)
そういう意味では最近の?人ではラッセルマローンとかジョンピザレリとかが古典的で聞きやすいのですけど、ちょっとばっかり古臭すぎる感じもするのです。
そこでこのジェシー・バンルーラーです。
彼のギターは一音一音がはっきりと聞こえるのです。しかも余計なエフェクターをかけたりしないストレートなギターの音です。
そしてすごいのはその一音一音が切れ目なくものすごい速さで流れていくことです。スムーズという言葉がこれほどふさわしい演奏もないでしょう。これほど滑らかなギターはあまり記憶にありません。
僕がもっているCDはSAXが入っていて、それがなかなか良かったのですが、今回はベースとドラムという彼のトリオによる演奏です。
このドラムもベースもバンルーラーのギターと比べてしまうと、ものすごいテクニシャンというわけではありませんが、ともに骨太です。
最近の繊細かつトリッキーな演奏とは違い、昔風にエネルギーでぐんぐん押してきます。
そんな昔風のリズムセクションにバンルーラーの滑らかなギターが加わると古典的でありながらも新しい雰囲気が加わってとても聞きごたえがあります。
東京の有名ライブハウスだと通常ファーストとセカンドの2ステージに分かれているのですが、今回は休憩をはさんで前半45分、後半1時間少々の長いステージでした。
なんとも真面目に演奏をこなしたこの3人は演奏後ビールを片手に(さすがオランダ人)サインを求める人々にサービスしていたのでした。本当にご苦労様です!
久々に聞いたJAZZの生演奏でしたが、そのエネルギーをたっぷりと味あわせてくれた素敵なステージでした。