ファインメットのコイルを使った電源ボックスも効いた! オーケストラが楽しくなった。 |
今回の写真は夏の終わりの鎌倉をふらふらして撮ったものです。それにしても暑い夏でした。緑の多い鎌倉は写真だと涼しそうに見えますが、実は風の通らない谷戸が多いのでとても暑いのです。
Cさんからファインメットコイルを使った電源ボックスを受け取り、それに交換して聞き始めた当初はそれほどの差を感じたわけではありませんでした。
その変化がぞくぞくするほど解ってきたのは何日かたって深夜じっくりと昔良く聞いていたCDを聞き直していた時です。
例えばブラッドメルドーの98年の傑作アルバム【SONGS】など、ピアノ、ドラム、ベースそれぞれの楽器が空間の中にぽっかりと浮かびそのリアルさに驚いたのでした。
今までこのCDがこういう風に聞こえたことはありません、まるで最新アルバムの録音のようにフレッシュに聞こえます。
今聞くとこの頃のメルドーメルドー節全開といった感じで実に良かったです。それに較べると最近の低迷ぶり?が気になります。
それにやっぱりホルヘ・ロッシーのドラムは大好きです。メルドートリオもドラムがジェフバラードに変わってから繊細な雰囲気が失われたような気がします。バラードのドラムは確かに機械のように正確無比ですがホルヘロッシーに較べると単調に感じてしまいます。
それにしてもここ1年ほどで我が家の音はどうしたというのでしょう!
なんだか生の演奏の雰囲気がありありと出現するようになってしまったではないですか!
それが表だって始まったのは、まずはオーデイオ用のヒューズ。これが効いてそれに続くデジタルケーブルがまた効いたのです。
そして安田式電源タップにパック工芸社の袴付スピーカー専用の木製スタンドの投入でその傾向はどんどんと顕著になっていったのでした。
この安田式の電源タップ、コイルの容量が小さかったのでDAコンバーターとCDの送り出しに使っていたのですが、今回新たに新たにCさんに作っていただいたファインメットコイルを使った電源ボックスはパワーアンプにも十分対応できるものです。
なんでもこのファインメットのコイルは関西方面の業者がリーズナブルな料金で売りに出したところ数日で売り切れてしまって今では手に入らないというしろものだそうです。
これをCさんが親切にもタイミング良く購入しておいてくれて、これで電源ボックスを作ってくれたというわけです。
プリアンプとフォノイコライザーはともに乾電池による駆動なので、これですべての電源ノイズ対策はばっちりと言うことになるはず。
こういう電気を綺麗にするという機械はついでにエネルギーを奪ってしまうことが多いらしいのですが、構造的にシンプルなコイルだけというのはその心配はないらしい?。
なんせまったく電気関係の知識が無いので構造的に説明できません。情けないのですけどいつもと同じく結果だけの報告です。
前回の安田式でもそうだったのですが、ともかく静かです。まったくの静寂の中から楽器や声が立ち上がってくるのはまことにスリリングな体験です。
いわゆる音が奇麗になりすぎて密度が希薄になるような傾向はいっさいなく逆にオーケストラの低弦などいっそう迫力を持って響くようになったのです。
なによりもすごいのが楽器や声が目に見えるような実態感が出てきたということです。
それぞれの楽器がまったく混じり合うこことなく、まるでそこにあるように聞こえて、さらに歌がある場合はその声も絶対に楽器とまじりあうことがないのです。結果ものすごく本物に近いリアリテイが出ると言うわけです。
しかし電源ボックスなどのいわゆるアクセサリーと呼ばれるもので、このようなリアリテイが出現したのも、実は元になっている機材が相当ブラッシュアップされた結果なのだと思われます。
昔の僕の機材だったら効果はこれっぽちも感じられなかった可能性だって十分あるような気がするのです。今まで随分といろいろなアクセサリーを試してきたのですがほとんど効果を感じられなかったのはそのせいかも知れません。何事も基礎体力があってこそというわけです。
気がついて見るとSD05で有名な石田さんが送り出し専用に改造したSONYのXA50ES、アナログ部に凝った回路をおごった金田式のDAコンバーター、乾電池駆動による電流伝送方式のプリ、しかもボリュームはアッテイネーターに交換、そしてプリと同じく乾電池駆動のフォノイコ、それを上杉さんの設計した300Bプッシュプル真空管パワーアンプ2台で鳴らすという、こうやって書き出してみるとなんともマニアックなシステムになっていたのには我ながら驚きます。
以前の使っていたアンペックスの真空管プリアンプ、6v6を使った真空管パワーアンプ、ではこの静けさや解像力はとてもおよびもつかなかったことでしょう。有難いことです。
さてこれだけ楽器の分離の良さと低弦の響きが出てくるとオーケストラを聞くのも楽しくなってきます。
編成が大きいので楽しめるのはマーラーですが、なんとも長すぎます。そこで気楽に聞きたい時にぴったりなのはオーケストラによる比較的短い管弦楽曲の数々です。のんびりしたい時などついこの手のアルバムを聞くことが多いのです。
まずはバルビローリー指揮による英国人作曲家の管弦楽曲集、これは実にしみじみと良い曲が沢山はいっています。中でもボーンウイリアムスやエルガーなどこんなに良い曲があったの!というくらい聞きごたえのある曲が目白押しです。バルビローリ指揮による演奏もとても素晴らしいので良く聞くアルバムの筆頭でもあります。
そしてケーゲル指揮の2枚のアルバム。一つはビゼー作曲による【アルルの女組曲】、もう一つがアルビニーノのアダージオなど親しみやすいクラシックの小品を集めたアルバムです。
ともにケーゲルらしい細部までテンションの張りつめた繊細な演奏ですが、曲が軽いので少しは気楽に聞けようというもの。
たかがシロート作曲家?のアルビニーノの小品と馬鹿にしてはいけません。これほど気合の入って耽美的に演奏されたアルビニーノは聞いたことがありません。それだけに気楽に聞くにはちょっと辛い時もあるのですが・・。
そして最後はシベリウスのカレリア組曲です。2曲目が僕の好きなメンデルスゾーンのスコットランドと雰囲気が似ている気がします。それにしてもフィンランドなんて静かな国なのに曲はすごく派手なのが不思議です。
こちらもなんといってもバルビローリの演奏が素晴らしいのですが、最近僕が良く聞くのはサカリ・オラモ指揮、バーミンガム市交響楽団の演奏で2001年に録音されたものです。これは最近の録音にしては中々聞きやすい音で入っているところが気にいっています。
おかげさまでこういうオーケストラによる管弦楽曲を聞いていて、しみじみとその良さに浸ることができるようになりました。
今思うと確かに昔聞いていたオーケストラは一つの場所から出てくるような狭くて重なった音だったことがわかります。それが今では広大に広がるばかりか、楽器の音はもとよりその間の空間や雰囲気まで楽しめるようになったのです。
空間や気配まで感じられることがこれほど気持ちが良いとは。曲自体の良さばかりではなくこういう楽しみもあるのがオーデイオの面白いところです。