これぞアメリカンサウンド?ジミーウエッブからボズ・スキャッグスの【メンフィス】まで |
今回の写真は昨年行けなかった妙本寺の写真ばかりとなっています。あまり変化がなくて申し訳ありません!こちらも今週訪れた法性寺と同じ日蓮宗です。
ここは「比企(ひきが)谷(やつ)」と呼ばれ鎌倉幕府を作るのに貢献した比企一族が住んでいた場所です。しかし比企一族は北条時政の策略で滅ぼされてしまうのです。
年を取ってくると子供の頃好きだった食べ物がまた好きになるそうです。昔慣れ親しんだものがどこからともなく頭の中に浮上してくるのです。
音楽にもそんなところがあって、青春時代に慣れ親しんだ音楽を聴くとやっぱり良いなと思ったりしてしまいます。最近はクラッシクやジャズばかり聞いていますが、時々思い出したようにそういう曲を聞いて見たりするとちょっとほっとしてしまいます。
それは僕にとってどことなくカントリーのフェバーが漂ってくる音楽です。というよりは正確に言うとアメリカン・トラデイショナルなサウンドと言ったものかもしれません。この言葉はあまりにも範囲が広い気がしますが、それは僕にとってどこかしら土の匂いがするような音楽なのです。
土の匂いと言ってもテキサスの荒野とかアパラチア山脈だけでなく、南部のデルタ、デトロイトやシカゴなどの都会まで含めた広範囲な土の匂いです。
もちろんブルーグラスやカントリーも好きですが、テキサスメックスみたいに賑やかなのや、サムックックのような正統派R&B、シカゴ・ブルース、カントリーの香の漂うアメリカンロック、はては東部のインテリ風で内省的なシンガーソングライターのジェームス・テイラー、これまた正反対の南国風の陽気なジミーバフェット(そういえば以前キーウエストに行った時に彼の顔Tシャツが溢れていたのには驚きました)こういうすべてのものを含んだものが僕にとってのアメリカンサウンドなのです。
そんな僕が最近発見して気にいっているのがボズ・スキャッグスの【メンフィス】です。とはいえ最新のアルバムではなく2013年の発売ですから、たまたま耳にしたのが最近というだけです。
ボズ・スキャッグスはこのアルバムの前に2枚ほど正統派JAZZのアルバムを出しているのですが、こちらはボズの歌とあまりにまっとうなJAZZの伴奏が少々ミスマッチに感じるアルバムでした。
どうせ同じJAZZの曲をやるのにフランクシナトラの曲をまるでカントリーの曲のようにステイールギターをフィチャーしたアレンジで歌ったボブデイランはやはりすごいです。
もしくはウイリーネルソンのように誰が聞いても彼だと解るだけの個性を持っていれば別ですが、ボズの場合はそこらあたりがちと弱い感じだったのです。
ところがこのアルバム「メンフィス」では、そんな軟弱JAZZなどどこに行ってしまったの?と言うくらい土臭いアメリカンサウンドでその歌声もばっちり迫ってきます。
70過ぎた歌手たちからこういう威勢の良いアルバムがどんどん出てくるアメリカのミュージックシーンはほんとに凄いと思います。
このメンフィスは実にアメリカンサウンドいっぱいです。
たとえばかつて僕が好きだったライクーダのライブアルバムそっくりのメキシカンサウンド風伴奏の曲があったり、まるでレイ・チャールス!みたいな正当派R&Bがあったり、ブルースまるだしの曲があったり、カントリー風の曲があったりと聞いていると懐かしくて涙が出てきそうなサウンド作りです。
アレンジと伴奏者の底力をまじまじと見せつけられます。もちろんボズ・スキャッグスの歌声も素晴らしく時にはとても黒っぽくワイルドで、「WE ARE ALL ALONE」を歌っていた頃とは別人のようです。
アメリカンミュージックというともう一枚好きなアルバムがあります。それがジミーウエッブの「ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー」です。
ジミーウエッブは歌手と言うよりどちらかと言うと曲を提供する音楽ライターですが、このアルバムでは実に達者な歌を聞かせてくれます。
彼の作った曲はフィフス・デイメンション、グレン・キャンベル、リンダ・ロンシュタットなどさまざまな歌手によって取り上げられていますが、一番有名なのが「バイ ザ タイム アイ ゲット フェニックス」かもしれません。とても良い曲ですね。
このアルバムではジミーウエッブのヒット曲を彼自身と豪華なゲストとのデユエットで聞かせてくれます。
グレン・キャンベル、ウイリーネルソン、リンダ・ロンシュタットルシンダ・ウイリアムスなどのカントリー系以外にもビリー・ジョエル、ジャクソン・ブラウン、マイケル・マクドナルド、渋いところではダイア・スレイツのギターリストマークノップラーなど、典型的カントリー風アメリカサウンドと言ったアルバムとなっています。
ボズのメンフィスと違うのはこちらはブルース色とか黒っぽい音楽がまったく無いことです。
思えば僕が好きなアメリカンサウンドは大きく二つの流れに別れているのかも知れません。
一方は白人中心のカントリー系、一方は黒人中心のブルース、R&B系、しかしこの二つの流れはまったく別々のようでいながら実はどこかで微妙に混じり合いながらお互いに影響し合っているようです.(それを一番はじめにやったのがエルヴィス・プレスリーだと言われています。)
それが良くわかるのは「メンフィス」のほうなのですが、カントリー好きの僕としては「ジャスト・アクロス・ザ・リヴァー」も好みど真ん中の直球で外すわけにはいかないのです。
私、黒人音楽好きで(カントリー等全くの門外漢!)AORもソノ延長線上で良く聴くのですが、件のBoz Scaggs。
「AORの元祖」等と祭り上げられてますが、いざ掘り下げて聴いてみると “出” はカントリーなんじゃ無いか?と至った次第。
成る程、確かに1st、2nd辺りジャケットなんか見ると、逆にソレ以外を連想するのが難しい位土着(笑)。
コノ記事の冒頭にも御座いましたが(年をとってくると〜)、やはり “地” は隠せないな、と。
そう考えると、テキサスの純粋な田舎者がAORの旗手になんて、ちゃんちゃら可笑しいと云うか、哀れにさえ思えてきて...。
で、果たしてコノ推察は合ってるのであろーか?とネットで調べ始めても、どの記事も“AOR”〜“AOR”ばっかりで余りカントリーとの関連を重要視する記事が中々見当たらない所に本ページに行き着いた次第。
物事は一方向だけでなく、多角的に見たいもの。
イメージはアーティストに取って命取りにさえなり兼ねない、と日本のファンに言いたくてペンを取った次第。
長文失礼しました。