大事に使うものとそうでない物の区別がつきにくい世の中になってきた。 |
上の写真は箱根付近で小さめの花の咲かせる豆桜です。横浜では桜のシーズンは終わっていますが、少し標高があがるとまだ桜が散っていないのに驚きます。
だいたいにして僕は相当のあわて物で、かつ粗雑であり不器用な人間なので、物との付き合いはあまり得意とはいえません。それでも好きな物はいくつかあり、それは考えてみるどれも値段と品物の価値のバランスがうまく取れているものが多いのです。
ようは根がケチな上に裕福でもないので高くて良い物は当たり前、そこそこの値段でそれ以上の価値があるものほど大事に思えるというわけです。
いつの間にか大量消費時代という時代がやってきて、ほとんどの物が修理代より新しく買ったほうが安いか、もしくは本体の値段に比例して修理代が著しく高く感じられる(もしかすると本体が安すぎるのかも?)ことが多くなっています。
そんな中でそんな世の中でもきわめて良心的に対応してくれる会社がある【人がいる】という経験を続けて2度ほどしたのでそのお話です。
(ここの桜もちは美味しい!御殿場のとらやです。)
一つはゴルフクラブです。最近は年に数回しかプレーしませんし、昔からクラブによってスコアが向上すほど腕が良くないことは自覚しているのでそれほど道具に凝ったことはありません。上手な知人からこれが打ちやすいと聞いて素直にその言葉を信じて購入したのがミズノのインテージというクラブでした。
この情報を聞いた時にはすでに古いモデルだったのでもちろん中古品です。
調べてみるとキャッチフレーズが【天使の弾道】?というもので、たぶん柔らかいイメージと打ちやすさを狙ったコピーだと思われますが、その優しいコピーの故かどうか
人気が出なかったらしく中古価格も大変に安いものでした。
そのあまりの安さにアイアンはもちろんドライバーにウッド数種までこのインテージでそろえたのでした。
打ちやすいクラブでとても気に入っていたのですが(もちろんクラブによってスコアが飛躍的に向上することはありません。少なくとも僕の場合は!)
先日久々にゴルフに出かけ、いつになく調子が良くて何とか100を切ることが出来たのですが(その程度です!)、途中からドライバーを振ると中でカラカラと何かが動く音がするようになりました。
帰宅していろいろ調べてみるとヘッド内部の接着剤とかなにかが剥がれることがあるらしく修理は可能らしいですが、もともと数千円で購入したものです。おそらく修理代のほうが高くつくだろうと、同じモデルの中古を探してみたのですが、あまりに古いのと人気が無かったためか残念ながらもはや中古市場にも存在していませんでした。
たまたまその時インテージの事を検索してみたら、販売当時ヘッド内部の接着剤の剥離がありリコールしていたようなのです。病状は同じように内部でコロコロと音がするというものでした。
しかしこのリコールがあったのは2004年のことです。今から12年も前のことなのです。ということは12年前のドライバーということでわれながらあまりの古さにびっくり。
それでも念のためミズノの修理部に問い合わせして見たのです。すると驚くことに【送っていただければヘッド交換いたします。ただし古いモデルなので同じヘッドはもうないので別のモデルになります】という返事が来たのです。
ものすごい古いクラブだったし中古で安く購入したものだったので、すでにリコールは終了していますという返事が来るものと思っていました。
昔だったら封書や電話でこんな問い合わせをするのは面倒なのでやらなかったでしょうが、メールだと手軽なのでつい問い合わせしまったのです。
ネット社会になるといろいろと面倒な事が増えるのは手軽にこういう事が出来るからで、ツイターなどはその最たるものでしょう。
昔だったらサイレントマジョリテイといわれていた部分が今や一番のトップに躍り出てきている時代なのです。そんなことはともかくとしてこの親切な返事には正直驚いたのでした。
(下の写真も豆桜です)
結局お言葉に甘えて無事ヘッドが交換されて送られてきたのですが郵送料も無料だったのにはこれまた驚きました。ちなみにヘッドはさすがに最新モデルではありませんが、一つ前の
モデルでもちろんピカピカの新品、さらに新品のヘッドカバーまでつけてくれるという親切さでした。
さてもう一つはカメラです。お恥ずかしいのですがこのブログの写真のほとんどはガラ携帯のカメラによるものです。
そもそも僕が写真を撮るようになったきっかけというのもこの携帯のカメラが良く映るからで、それまでフィルムカメラで一度も撮れたことのないような夕暮れの空とか海とかが実に美しく撮れるのです。
しかしこの携帯だっていつ壊れるかわからないので予備として購入したのが撮りなれた携帯と同じ28ミリ相当の広角レンズだけの機能しかないシグマのDP-1でした。
このDP-1はマニア向きのカメラで発売当時は10万円もした高級機です。予備としてはもったいないですが古い中古のモデルなので値段もそこそこなので許してもらいましょう。
このあたりの導入の経緯とか壊れた日の事は先月4月13日のハイキングのブログに書いたので重複は避けますが、結局まったく同じカメラ2台が手元に存在することになってしまったのです。
しかも厄介なことに2台とも壊れているので、その立派な外見とは裏腹にまったく役に立たない物体にすぎません。
(横浜の山手です)
もう一台中古を購入することも考えたのですが、2台並べてあると存在感は大きいもので、いくら壊れているとはいえさらにもう一台同じものを買うのはなんだかもうし訳ない気持ちが湧いてきます。
ここで【それじゃー新品で最新モデル買えばいいじゃん!】と思った方、それが一番まっとうな考え方に違いありません。
ところが僕の懐の状態まで把握している思考回路からはそういうことは一切頭に浮かばないのですから困ったものです。それになによりも現在使っている初代モデルに何の不満もないどころか、それがすっかり気に入っているうえ、さらに僕の腕では最新機材などとても使いこなすことは出来そうもないという自覚もあります。
そこでメールでメーカーに病状を問い合わせてみると(やっぱりメールは便利です)修理代は1万円以内に収まるかも知れないという返事です。
とりあえず見積もりますので現物を送ってくださいとの事でしたので早速送ったのです。それから数日が経過しました。携帯に見慣れない番号からの着信があり出てみるとシグマの修理センターからでした。
その内容は【簡単な故障でしたのですぐ修理できました。つきましては今回は無償で結構です】とのことなのです! なんと良心的で親切なのでしょう。
さすがマニア向けに個性ある製品を作っているメーカーのことだけはあるなと思ったのでした。
(こちらも山手です)
というわけでゴルフクラブとカメラというまったく違う分野の商品ながら、世知辛い世の中でこれほど良心的で親切な対応を受けると、中古ばかり使っている僕なんかはすっかり恐縮してしまいます。
それにこんな対応を受ければすっかりそのメーカーのファンになってしまうではないですか。
最近の大メーカーには小さなクレームは一切無視して、同じクレームが大量に溜まった時点で初めて対応を考えるという大胆な?システムになっているところもあると聞きます。
今回のことにはメーカーの姿勢だけでなく、それを扱っている担当者の方に負うところが多い気もします。優れた会社や社会はやはり人で成り立っているのです。そういう人間がいる会社の製品が悪いわけがありません。
と感激していると、今度は使っていた腕時計の文字盤の中で何かが動いてます。よーく見てみるとカレンダーの部分の枠が取れて文字盤の上で動いているではないですか!
そういえば僕は自転車に乗る時にいつもその時計をしているので、相当振動を拾っているはずです。デリケートな機械式の自動巻きなど本来そういう使い方をすべきではないのでしょうが後悔先に立たずです。
というわけで新しい時計を買うか、それとも修理に出すか、またまた思案しているところです。それにしても物というのはどうしてこう続けて壊れてしまうのでしょう?
(こちら実はゴルフ場からの富士山です。新しいクラブの試し打ちはGOODでした。もちろんスコアは??です)
カメラの修理は、外国製以外は基本的に良心的なところが多い気がしますね。