300Bの故障中に聞いていた古い6V6アンプは一度も掃除などしたこともなく使いっぱなしで実に質実剛健を絵にかいたようなアンプでしたが、この300Bアンプはさすが真空管の女王といわれる300Bを使っているだけあって実に繊細で、それ相応の待遇を要求するようです。譲ってくれたCさんも、とんでもない奴に嫁にやってしまったと後悔している事でしょうが、遅かりしです。
まことにすみません。
聞いて見てもその印象は同じで、いままで聞いていた6v6が勢いのある太い音をだしていたのにくらべると、上杉300Bは霧が晴れたように透明になり、細部まではっきりと聞こえるようになります。
最初は少し硬く神経質に感じたのですが、数時間たつとずいぶんとほぐれて自然な音になってきました。
この細やかで透明感のある音色と空間の表現力はさすが!という感じで戻ってきた300Bアンプの音色をうっとりと聞いていたのですが、そこで再びおやっ?と思う事態に気がついたのです。
CDを交換する際にふと気が付くと右側のスピーカーからかなり大きなブーンという雑音?が聞こえるのです。
いわゆる真空管アンプにつきものの残留雑音というやつでしょうか?とはいえ以前はこんなに大きな雑音は無かったはずです。これは結構気になるレベルではありませんか!
左がわにも耳をつけてみるとかすかにブーンという音が聞こえますが、こちらは随分と小さいのでこの程度ならしかたがないのかも知れません。
一難去ってまた一難、【またか!せっかく治ってきたばかりなのに!】という感じで一瞬、冷や汗が流れます。こんなことならCさんがいる内にチェックしておけば良かったものを、ついつい話に夢中になってあまり熱心に聞くことはしなかったのを悔やんでも後の祭りです。
それでも音楽が流れているときには、さほど気になるほどではないので、そのまましばらく聞いていました。
そのうち触らないほうが良いという教訓をすっかり忘れて、ふと思い立ち12AU7の真空管を4本ともに新品に交換してみることにしました。
するとどうでしょう!、右側からの雑音はぴったっと止まりほとんど無音になったのです。
左側のブーンと言う音はほとんど変わらないのですが、右側がほとんど無音なのでこんどはこちらが気になりだします。
右側は新しい真空管で雑音がやんだのに、こちらは変化なし?同じ新しい真空管なのに・・・試しに無音になった右側の12AU7を左側と交換してみても同じように右側はほぼ無音、左側はブーンという音が聞こえます。
あまり触るのは事態を悪化させる可能性がある?ので自粛して、Cさんにメールで尋ねて見ると(ブーンという音は後ろにある二つのダイアルで調整することができます)ということではないですか、そういえばアンプの後ろ側にそれぞれダイアルが二つづつ付いていて、ダイアルは丁度真ん中の位置になっています。
さすがCさん僕のことをよくわかっているようで、さらに細かく指示が続きます。
(2つのダイアルを動かしてノイズが最小になる位置を探るのですが、その時に極端に動かすのは避けてください。中点を中心に、微妙な調整ですむはずです。くれぐれも、つまみを両端に動かすなどの極端な動きは避けてください)
この注意を守りながら、冷や汗をかきながら慎重に調整をした結果、左側もほとんど気にならない程度になりました。よかったよかった。後は戻ってきた300Bの美しい音をひたすら楽しんだのでした。
(上がシンプルな6V6アンプ)
さてマランツのトランジターアンプと6V6真空管アンプと上杉300Bアンプと数か月の間順番に聞いてきたのですが、その違いというのを簡単に言うと、こんな感じです。
まずマランツSM6100SAは誇張のないフラットな音を出します。
特別に美しい音色を出すわけではありませんが誇張もありません。実に生真面目な感じです。
6v6はマランツSM6100SAくらべると明らかに特徴的な音色を出します。
いわゆる巷で言われている真空管アンプのイメージに合ったような太目の音色です。どちらかというと荒っぽいのですが気持ちの良い音です。
そしてUESUGIの300Bですが、一番違うのが音数の多さというのか、きめの細かさというのでしょうか、たとえばオーケストラの楽器のそれぞれが混ざらずにはっきりと聞こえるのです。
そしてホールの広さとかその空間までもが感じられます。音がほぐれて爽やかなのです。
前者2台は一台のステレオアンプですが、これはモノラルアンプ2台なのでこの辺りは特におおきな違いが出るのだと思われます。
重低音とか迫力あるエネルギー感、というのとは少々方向性が違うようですが、爽やかな空気感とか、抜けの良さがこのアンプの特徴で、これが実に気持ちが良いのです。
それにしても随分とデリケートなアンプなので僕のような粗忽者のいう事をいつまで素直に聞いてくれるものか、少々心配なことではあるのでした。