アメリカ映画の美味しいエッセンスたっぷり、ソダーバーグの【ローガン・ラッキー】は見どころたくさん! |
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2017年 12月 02日
【ローガン・ラッキー】はアメリカ映画らしいエッセンスがたっぷりと詰まった、見どころたくさんの楽しい映画でした。
監督は軽妙な映画が得意な職人芸の【ステイーブン ソダバーグ】です。 この映画も監督で見に行ったのですが、ひさびさの大当たりでした。 ソダバーグ監督の僕の一押しと言えば、なんといっても【アウト オブ サイト】です。この映画にはしびれました。 犯罪映画といえば、どうしても暴力シーンが多かったり暗くなりがちなのですが、彼の映画では激しいアクションシーンが主体になることはなくまた深刻に落ち込むような暗い雰囲気もありません。 あの【エリン ブロコビッチ】でも、さえない主婦と弁護士がたった二人でめげることなく明るく大企業に立ち向かっていくのです。 【アウト オブ サイト】は犯罪者と女刑事との恋を軽快に描いて、けして派手ではありませんが後味の良い大人の映画になっていました。 この(ローガン・ラッキー)も派手なアクション満載の時代に反するように、あえて渋く地味に作られています。 彼の映画でとりわけ好きなのが登場人物たちの人物像です。 【アウト オブ サイト】のちょっと情けないジョージ・クルーニーなどまさに適役でした。 オーシャンズ11ではちょっとカッコよくなりすぎていましたが、かれの映画の主人公たちはどこか欠陥があったり、どこか抜けていたり、そこはかとなくわびしく、頼りなさげなのです。 ようするに憎めない人物たちなのですが、それが最後まで見ると実はすごい事をやってしまったりして、この逆転ぶりも痛快です。 ローガン・ラッキーもまた軽妙な犯罪映画なのですが、通常のアクション映画と違い、ここにはアメリカの郷愁がたっぷり詰め込まれているのです! アメリカ人でない僕がそう感じるのですから、生粋のアメリカの田舎者が見たらお涙必須でしょう?(多分・・ですけど) それはまるでアメリカ版【3丁目の夕日】といった趣さえあるのですが、大きく違うのは計算づくでお涙ちょうだいを演出した3丁目とは違って、こちらはそのセンチメンタリズムを、むさくるしい男たちが引き起こすクライムストーリーの中に、アイスクリームの中に入れたチョコチップのように隠し味として使っているところにあります。 そこがソダーバーグ監督の職人芸的なうまさなのでもあり、僕の好きなところでもあります。 最近の日本映画やドラマを見ていて嫌だなと思うのは、やたら泣いたり、叫んだり、激高したりするシーンが多い事です。 確かにそれはわかり易い表現なのですが、電話を聞きながら内容をすべて復唱して説明するような安易な演出と同じで、どうにも辛いものがあります。 さりげなさとか奥ゆかしさいうのは、昔は日本人の得意とするところであったような気がするのですが・・。 さてこの痛快な映画のどこにセンチメンタリズムがあるのかといいますと、まずは冒頭のシーンからそれは始まります。 少女と父親との場面で二人が交わすのはジョン・デンバーが地元の酒場で歌っていたときの逸話です。そして少女が彼の歌を口ずさむのです。 舞台はノースキャロライナのシャーロット、そこにジョンデンバーの歌ですから、まず知っている人はここですでにぞくぞくとするはずです? 舞台となるシャーロットといえば、ブルーグラスの歌によく出てくるジョージアやテネシーなどに隣接している、ブルーグラスやマウンテンミュージックのど真ん中の場所です。 そういえば友達が毎年ここのブルーグラスフェステイバルに招かれて行っていました。 カリフォルニアに金が発見される前は金鉱で、その後は綿花の加工で有名になったこの町は、古い時代のアメリカの田舎のひとつの象徴でもあります?とそんな事はともかく、この町はNASCAR(アメリカの自動車レース)の聖地でもあります。 ナスカー(NASCAR)は日本ではほとんど知られていませんが、アメリカでは野球やフットボールを凌ぐほどの人気のあるスポーツの一つです。アメリカを旅行中TV放映の多さでその人気のほどが良くわかりました。そのナスカーのレース場を舞台にこの犯罪は行われます。 実際にナスカーのレースを見に行ったこともあるのですが、その観客の多さと規模の大きさは想像以上でした。 前日まで地平線まで見渡せるようなただの野原だったサーキットのまわりが、まるで合戦のようなのぼりを掲げたキャンピングカーで埋まっているのを目にしたときにはたまげました。 そして面白かったのはその観客です。日本のレースだったら観客はほとんど若者でしょうが、ここは違います。 それこそおばあちゃんから孫まで引き連れた老若男女、大家族で見に来る人たちが多いのです。 それだけ昔からこのレースに親しんでいたことが良くわかります。その家族にとってはこれはレースというよりも感謝祭やクリスマスと同じように伝統的な家族行事の一つなのです。 そんなナスカ―のレースのお金をかっぱらおうと言うのですから大胆不敵です。 とはいえ、もともとはアメリカ国民の愛するナスカーを襲うなどという、不埒な計画ではありませんでした。彼らはそこまでの悪党ではないのです。 実はもともとの計画はナスカ―を避けて、もっと影響の少ない小さいレースの日を選んだのです。 それが諸般の事情からやむなくナスカ―レースの日になってしまったのです。 このあたり演出にも気を使っているようで、強奪する仲間から愛するナスカ―の売上を奪うなんて良心に反するなどと言う泥棒らしからぬセリフも出てきます。 NASCARもそうですが、この映画にはノースキャロライナの田舎の風景がたっぷり出てきます。 主人公の弟がバーテンをやっている酒場、妹がやっている美容院など、いかにもアメリカの田舎にありそうで、懐かしくなるよう風景のはずです。 この田舎の酒場のシーンでは、いつも女性カントリーシンガーの歌う悲しげなワルツの曲が流れているのにも注目です。 主人公の乗っているピックアップトラック、妹の乗っている白いストライプの入った赤いフォードピントなどもいかにもです。 きわめつきは村のお祭り(まさに村祭りそのまま)シーンです。 移動式の数々の乗り物、射的、そこで遊ぶ純朴そうな人々はいかにも昔のアメリカです。 ソダーバーグはそんな田舎の祭りの様子を上手く取り入れてムードを盛り上げます。 強盗仲間の田舎者のでこぼこコンビは、ここで馬蹄投げならぬ、便器のふちを投げる遊びに興じているという無邪気さです。 ノースキャロライナを愛していることをうかがわせる地元愛のセリフは、ここかしこに出て来ます。 一番泣かせるのが別れた妻が引き取っている主人公の幼い娘がコンテストで歌うシーンです。 やっと会場に辿りついた父親の姿を目にした娘は用意していた歌をうたうのをやめて、父親の好きだった歌を歌うのです。 【ウエストヴァージニアは天国のようなところ、ブルーリッジ山脈、シェナンドー河、故郷へ続く道よ、僕を故郷に連れて帰ってください、あの懐かしい母なる山並みのある故郷へ!】そうです、あの名曲【カントリーロード】です。 ここではじまりのシーンでも歌われたジョーンデンバーの曲が再び彼女によって歌われるのです。 とつとつと無伴奏で歌われる幼い少女の歌声はやがて会場全体の大合唱となります。 古き良きアメリカの時代を知る人は思わずジーンと目頭が熱くなるのを感じるはずです。 (この歌はウエストヴァージニアで舞台はノースキャロライナだろう!などというつっこみは野暮というもの、この辺りの州はアパラチア山脈で繋がっていて、たぶん地元民のメンタリテイーも同じなのです?) カントリーロードは日本語の別の歌詞がついて映画【耳をすませば】の中でも感動的に歌われました。 ただしこちらは故郷を懐かしむと言うよりは未来への希望の歌のように使われていました。 この歌がこれほど映画に使われるとはジョン・デンバーも想像していなかったことでしょう。 (長くなったので次回に続きます)
by omoshiro-zukin
| 2017-12-02 08:46
| おもしろ映画
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