いまごろやっと(君の名は)を見ました。新海誠はきっと大林宣彦のファンに違いない? |
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2018年 01月 23日
大変に遅ればせならば、今頃になってやっと映画【君の名は】を見ました。
昨年あれほど評判になったのにかかわらず、いまだ見ていなかった理由の一つに、僕が随分と前から新海誠監督のファンだったということがあります? まだ彼が今のようには世の中に広く知られていない頃から、その絵の表現力はすごい才能だと注目していました。 とはいえ彼の撮る映画は内容があまりにも地味でマニアックだったので、まさかそんな大ヒットするような監督ではないと思っていたのです! それが(君の名は)では突然の大爆発です。 【これってどういうこと!なんでーい、いまさら!】 と昔からのファンとしては、あまりの大騒ぎぶりにちょっとひねてしまい、あえて静観していたというしだいでございます。 たしかに今回の君の名までの作品は、ある意味、どれもとても地味でした。 北海道に出現した人類を支配する塔、宇宙の彼方で異星人と戦う恋人、などのSFものも、 雪の中をいくつもの電車を乗り継ぎひたすら彼女を訪ねて行く少年、雨のなかで偶然知らずに出会った生徒と先生の話など現実の世界にそくしたものも、 そのどれもの根底に流れているのは、彼の描く夕焼けの空のように透明ではかなく美しい恋が主題で、まるでひっそりとした短編小説のような趣きだったのです。 しかも必ずしもその恋が幸せに終わっているかというとそうでもありません。 むしろ時間の経過というものがその恋をどこか遠いところに運んでしまったような、 はかなさというものが漂っていたのです。これはしごく日本的な感覚かもしれないと思うのです。 大体にして初期の作品(秒速5センチメートル)なんていうのは、桜の花びらの散る速度のことなのですから、当初から日本的なのです。 さて【君の名は】です。 この題名を聞くと年配者は数寄屋橋など思い出してしまうのですが、もちろんそれとは関係なく、この題名は古今和歌集から取ったと聞いています。 見終わって見ると、これが実に面白いではないですか! 時空を超えた恋、一つの街が消えてしまうほどの大災害、都会と田舎の風景、などヒットしそうな要素がばっちり詰まっていて、いままでのどちらかというこじんまりとした展開とはうってかわって、話しがダイナミックです。 しかも、なんといっても珍しくもハッピーエンドなのです。 いままでは、その透明感のある美しい画面を見たいがために彼の映画を見ていたと言ってよいほどですが、今回は風景描写よりもストーリーのほうに気が向いてしまったほどです。変らないのはその夕焼け空の残照のように淡い恋の描写です。 さて、大人になる寸前の若者の淡い恋を描くのがうまかったのが大林宣彦監督でした。【転校生】【さびしんぼう】【ふたり】【時をかける少女】などの一連の映画では、まさに大人になる直前の少女たちの、はかないほどの輝きを見事にとらえていました。(それに比べると、これら以降の彼の作品は、悲しいことに全くの別物です。) (君の名は)を見ていてラストに近いシーンで二人が街ですれ違って行くシーンが出てきます。これを見て【時をかける少女)にもまったく同じような場面があったことを思い出したのです。 それはラスト近くで未来からきた青年と恋に落ちた主人公がその記憶を消され、大人になってその青年とすれ違うシーンです。 そういえば男女が入れ替わる設定っていうのも、【転校生】そのままじゃないですか! そこで思ったのが、もしかして新海監督って大林信彦のファンだったのかも知れない?という事でした。 まあ、実はそんなことはどうでもよいのですけど、そこに共通しているのは、先に書いたいかにも日本的な【はかなさ】という感覚のように思えるのです。 現代的に言いますと(草食系)というところでしょうか? 西洋の恋が肉体感を伴って、もっとドロドロとしているのに比べ、花が散って行くとか、お月様が欠けて行くとか、なんだか自然の移り変わりのように人間の時間も過ぎ去っていく、それはどうしようもないものなのだ。 という感覚はもしかすると朽ちていく木を使った文化を持つ、アジア人特有の感覚なのではと思ったのです。 その感覚がここには流れているように感じられます。 儚いが故に、あえて大人になる前の純粋な恋の輝きを一瞬に留めてみせる美的感覚(あわれ)というのが、かつての大林監督の映画や、この映画には通奏低音のように流れている気がしたのです。 (例えそれが意図的であったにしろ、そうでなかったにしろ、大人になる前の少年少女たちを使った時点で、過ぎていく時への思い、というのが現れてしまうのかもしれません。考えすぎ!) それゆえに、この映画がアジアで受けても欧米ではヒットしないのではと思うのですが、実際にはどうだったのでしょう? ともあれ想像していたより、随分と楽しめた作品でした。いまさらですけど。 次回の新海監督の作品が楽しみになります。
by omoshiro-zukin
| 2018-01-23 09:56
| おもしろ映画
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