根津美術館に尾形光琳の【燕子花図屏風】を見に行く。 |
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2018年 04月 24日
梅の咲く季節に尾形光琳の【紅白梅図屏風】を見に行ったばかりだと思っていたら、早くも燕子花の季節が近づいてきました。
とはいえ根津美術館の庭の燕子花は、まだたった一輪が咲いていただけ。(先週のことです) なぜかたった一つだけ咲いている花がとてもけなげに見えたのでした。 (下は根津美術館の庭) だいたい日本美術にはまったく興味が無かったので、青山のブルーノートからほんのワンブロック先、前を何度も通り過ぎたことのあるにも関わらず、根津美術館はまったく縁のない場所でした。 ところがここのところ、にわかに日本美術熱がふつふつと湧き上がってきています。 そこへBTさんから、そろそろ根津美術館で光琳の【燕子花図屏風】が公開されますよ。 これはぜひ見ておいたほうが良いですよ、とのお勧めをいただけました。 さらに連休が近づくと、ものすごく混雑するので早めに行ったほうが良いとアドバイスを頂いたので、早速行ってみました。 (下は借り物です。屏風の一部をズームしたものですが、これじゃ良さは全くわかりません!) 【燕子花図屏風】は本の表紙を飾るほど有名です。 同じ図案を繰り返して使っているところは、まるで現代のグラフィック・デザインのようだとか、 装飾を現代のデザインに通じるような表現まで高めたとか、様々な解説も含めて、幾度となく本などで目にしているので、実物を見る前から、すでに本物を見たような気がしていたほどです。 ところが先日の中川一政もそうでしたが、こちらも印刷物で見たこの図とのあまりの違いに口があんぐりと開くほど驚いたのです。 なんと美しい色なのでしょう。 幸い平日の開場と同時に入ったため、ほとんど人がおらず、ゆっくりと見る事が出来たのは幸運でした。 やっぱりこうやってゆっくりと見る事が出来ないと、良さは半減どころか、まったく味わえないことだってあります。 (僕が行った時は燕子花はまだこんな状態です) まず第一印象は印刷物と違って色調が随分と押さえられて見えることです。 印刷物で見るとつやつやとして派手に見えるのですが、実物の色調はもっとずっと地味でありながら、較べられないほど美しいのです。 それは印刷では表現できない、ため息の出るほど深く美しい色合いでした。 やっぱり本物の持っている美しさは、印刷物とはまったく違う、といまさらながら深く思ったのです。 本で見る以上にモダンに見えるのにも驚きます。 随分と大幅に省略されている形と色彩は、今見てもまるで古臭く見えません。 ここでも日本画ってこんなに現代美術みたいだったんだ!と思ってしまいます。 花も葉もまるで下絵などなかったかのような大胆な筆さばきで、二筆、三筆で一気にすーっと描かれているように見えます。 花もしごく単純化されて形で描かれていますが、それが筆使いによる色の濃淡だけで見事に表現されています。 それは古臭く見えないばかりか、むしろ新しい表現方法のように見えてしまいます。 (美術館の庭、ここが東京の青山とは思えません!) この画に使われている色はたった2色です。花には群青、葉には緑青が使われているそうですが、その2色の濃淡だけで、こんな画が書けてしまうのですから、なんという大胆さ、かつ驚くべき技術なのでしょう。 明治時代になって、必死で洋画を学ばなくても、こんなすごい技術がすでに日本にはあったのです。 (ずっと日本画を見てきた人にはいまさらなのでしょうけど、最近日本画を見だした僕には本当に驚きばかりです!) (下は美術館から庭を見たところ) この屏風が、爽やかな5月の風がそよいでくるような、やや薄暗い日本間に置いてある様子を想像してみてください。 これは普通の西洋画に較べれば随分と大きいのです。(なんせ六曲一双という大型の屏風ですから、キャンバスなどとは比べることのできないほど大きいのです) 部屋の中に置けば、まるで周りを取り囲まれたような大きさに感じるはずです。 縁側から穏やかに差し込む光に、ぽっと浮かび上がる燕子花の花は、それはそれはぞくぞくするほど美しいに違いありません。 日本画に使われる岩絵具の色の美しさは、西洋画ばかり見てきた目には、ものすごく新鮮な色に見えます。 とはいえこの画に使われている、2種類の絵の具はとても高価なものだったそうです。 (ロビーには親切にもその日の花の咲き具合が出ています!) その高価な絵の具をたくさん使って、こんな大胆な表現ができるのには、それなりの背景があったのではと想像します。 それを受け入れることのできる文化的環境を考えてみると、江戸時代というのは、今まで想像していた以上に革新的だったのではないか?と思うのです。 (長くなったので続きます)
by omoshiro-zukin
| 2018-04-24 08:54
| おもしろ美術
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