映画【ヴエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ】はやっぱり傑作だった。ひさしぶりに見直してみて解ったこと? |
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2018年 06月 19日
ライ・クーダーは昔から憧れのギターリストでした。
その頃はまだ日本では知名度があまりなく、どちらかと言うとマニア向け?のミュージシャンだったかも知れません。 彼の音楽は典型的なアメリカン・ミュージックです。 とはいえ、それはブルース、カントリー、ニューオリンズ・ジャズ、テキサスメックス、などを元に独自の解釈を加えた、いかにもアメリカ音楽でありながらも、オリジナリテイの高いものでした。 いずれにしろ泥臭い味が持ち味と言える個性の強い音楽です。 当時からハワイの伝説ギタリスト、ギャビーパヒヌイと一緒に伝統的なハワイアンを取り入れたり、外国人歌手として初めて?沖縄民謡を取り入れて見たり、アコーデイオンのヒメネスを加えてメキシコ色の強いサウンドを作ったりと、民族色の強い音楽を演奏していました。 そのライがキューバ音楽にたどり着いたのは、なるほど当然だったのかも知れません。 ところが事情でアフリカのミュージシャンが来ることが出来なくなり、その結果キューバ国内で伝統的なキューバ音楽のミュージシャンを見つけなければならないということが発端だそうで、そこからキューバ音楽へ深く関わっていくことになります。 この映画【ヴエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ】が出来た頃(1999年のことです)、僕の音楽の興味は別のジャンルに移っていて、好きだったライ・クーダーにもすっかりご無沙汰していました。 そのライ・クーダーが息子を連れてキューバに行き、映画を作ったという話題が聞こえてきました。 古くからひいきにしていた、あのライ・クーダーが作った映画ならぜひとも見なくては、というのが、そもそもこの映画を見たきっかけです。 この映画に対する興味はもっぱら音楽の方にあったのです。 元々この映画を作る前に作ったアルバムが世界的なヒットとなり、キューバ音楽を一気に世界的なものにしてしまったのです。 このアルバムのミュージシャンたちのキューバでの演奏やインタビューに、ヨーロッパとニューヨークのカーネギーホールのライブ場面を組み合わせて作られたのがこの映画です。 期待通りにこの映画の音楽はラテン風味たっぷり、こってりとした、聞きごたえのある独特の音楽でした。 粘りの強い納豆のような、あとを引く音楽ばかり演奏していたライ・クーダーにはぴったりです。 音楽があまりにも強烈だったので、他には、海岸沿いの道路を高い波の飛沫を浴びながら走る50年代の古いアメリカ車、ピンクやブルーなどに塗られた南国風の建物などキューバ独特の印象的な風景を何となく覚えている程度でした。 ところが今回NHKの衛星で放送されたものを見直してみると、映画としての出来上がりの良さを改めて感じたのです。 監督は【ヴィム・ヴェンダース】です。 1980年代に流行ったロード ムーヴィー系映画監督として人気がありました。 代表作は【ベルリン天使の歌】、そしてライ・クーダーが音楽を担当した【パリ・テキサス】などが有名ですが、最近は主にドキュメンタリー映画を撮っているようです。 この映画を改めて見直してみて改めてすごいと思ったのが、凝ったカメラ・アングル、背景の場所の選び方、そしてカットのつなぎ方の上手さ、の三つです。 ドキュメンタリーとはいえ、当たり前ではありますが、ただありのままを撮っているわけではないのです。 そこには綿密に計算された編集があり、今回見直してみて初めてそれに気が付いたというのは、毎度のことですが迂闊です。 キューバの街中でミュージシャン(あえてアーテイストとは言いません!)が歌うシーンなど、それぞれの場所が実に綿密に選ばれています。 その場所は昔のキューバの古くて美しい建物だったり、引き込み線の線路だったり、バオバブのような大木のある公園だったり、生活感あふれる街の小さな通りだったりします。 ピアニストのルーベン・ゴンザレスがアップライトピアノを弾く建物など、昔はオペラハウス?だったのかと思われるような建物で、今はそこで子供たちがバレエを踊ったり、体操の練習をしたりしているという、過去と未来が共存しているような不思議な場所です。 演奏している場面も実に凝った撮り方や編集となっています。 スタジオで演奏しているときには、カメラはメロドラマで主人公二人を撮っているように、カメラが歌手の回りを舐めるように回ります。 そして音は繋がっているのですが、場面だけがオランダでのコンサートの場面になったり、カーネギーホールの場面になったりと、目まぐるしく変化するのです。 音楽に途切れはないので、良く見ないと場所が変わっていることにさえ気づかないかも知れません。 時々映画のストーリーとは関係なく、音楽と一緒に入る短いカットも印象に残ります。 冒頭の高い波の飛沫を浴びながら海岸を走る古い米国車の場面を初め、まるで電車のように連結された黄色いバス、夕暮れの街を切り開いていくヘッドライトの先に見える暮れて行く空。 さりげなく混ざっている短い風景のシーンが妙に記憶に残るのです。 今頃になって、さすがヴィム・ヴェンダースと感心しているのもしょうもないですが、映画としてもとても良く出来ていたのです。 年を重ねて見直してみると、映画の出来にも感心するのですが、同時に感心するのが出演者たちの元気の良さです。 画面に登場するのは、ほとんど70歳から90歳くらいの、おじいさんばかりで、ちょっと見だとまるで養老院のドキュメンタリーかと思うほどです! しかし彼らがひとたび歌ったり楽器を弾いたりすれば、その風体からは想像できないような、美しくもエネルギーに溢れた音楽があふれ出てくるのです。 その見かけと、そこから出てくる音楽の落差にはぜったい驚きます。 しみじみとした年寄映画が多い中で、これほど活力あふれた年寄映画は珍しいのは間違いありません。 (涸れた)なんていう老人は一人も登場しないのです。 もう年だからと引きこもっている人にこそぜひ見てもらいたい映画です。なんせ90歳で若々しい声で歌うのですから! 実は今頃この映画が今頃NHKで放映されたのには、この映画の続編がこの夏に公開されるからでしょう。 それは【ヴエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ、アデイオス】という題で、以前の映画に出演していたミュージシャンたちのその後とでもいうような続編のようです。 89年当時、すでに80歳、90歳の人たちの、その後を撮った映画が、今頃公開されるとはどういうことなのでしょう! ほとんどの人がだいぶ前に亡くなっているはずなので、ちょっとばかり不思議です。 もっと驚くのはこの最初の【ヴエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ】に、たった一人の女性歌手として登場していた、オマーラ・ポルトゥウンドが今年の東京ジャズに出演すると言うのです。 彼女がこの映画に出演していたときにすでに、60台後半だったはず(それでも歌手としてはチョーベテラン)。 調べてみると1930年生まれですから今年は88歳ですぞ!! あんまりびっくりしてチケットを購入してしまいました。
by omoshiro-zukin
| 2018-06-19 08:33
| おもしろ映画
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