さすが几帳面で美的感覚に敏感なCさんです。
部品のようなものが、そのまま見えるのは耐えられないのだと思います。
ケースの前面は、お洒落にハンマートーン塗装で仕上げています。
ずっしりと重いのはケース重量がほとんどだそうです。それにしてもかっこいいぞ!
(貼ってあるレタリングも自分で作成してしまうのですからすごいです)
その中にはブルベリーパイと最新のAK4497を使ったDAコンバーターが入っています。
これを我が家のプリアンプにつなぎ、操作はインターネットを通じて我が家のコンピューターのデイスプレイを使います。
音楽データーは裏側にUSBメモリーを差し込みます。
画面の操作はインターネット上のラズベリーパイの画面で行うので、その操作が出来るようなパスワードを入れることが必要です。
いよいよセッテイングをすませて、音を聞いて見ます。
音が出てまず驚くのが静けさと深さです。
この感じは初めてCDを聞いた時と良く似ているような気がします。
こんなにクリアーだったんだ!という新鮮な感覚です。
しかもCD独特の嫌なギスギス感のようなものは一切ありません。
アナログのような滑らかさも感じます。
こちらはハイレゾのソフトでした。なるほどハイレゾは音が柔らかく感じるようです。
ところが次に聞いたソフトは普通のCDからのリッピングだそうですが、これもギスギス感がないのです。
ともかくも輪郭がはっきりした、澄み切った音です。
見晴らしの良い山の上から霧が晴れた下界を見下ろすように、地平のどこまでも、隅々まではっきり見渡すことが出来るのです。これはすごいです。
ちなみに今回聞いたソフトはFay Classen(フェイ・クラッセン)の「Two Portraits of Chet Baker」、DianaPanton(ダイアナ・パントン)の「ムーンライト・セレナーデ」などなど、Cさん好みの録音の良いソフトです。
たまたまその中に古い音源で、ジェリーマリガンの(ナイト ライツ)があったので、僕の持っている国内盤のLPと聞き比べて見ました。
結論から先にいいますと、どちらが良いかというのは実に微妙で、これはまさに好みの範疇といえるでしょう。
(下は裏側です。USBメモリー・ステイックが刺さっています)
USBに落としたほうは実に静かで、古い録音なのに、それが最新録音のアルバムのように聞こえます。
まるで糊の効いた、おろしたてのワイシャツみたいにパリッとしているのです。
音の品位の高さとか、正確性という物差しで測れば、あきらかにこちらが優位でしょう、澄み切った秋の空のような音です。
LPのほうは音が中域にまとまるからでしょうが、エネルギー感があります。
ある意味ダンゴ状態なのです。
低域や高域の伸びはあきらかにラズベリーパイのほうが上のようです。
絹のように滑らかなラズベリーパイと洗いざらしの木綿のようなLPという感じでしょうか?
高級な絹など着なれない僕には、慣れた木綿のざらざらした手触りのほうが気持ちよく感じられるのは、そちらの方に慣れ親しんでいるからかも知れません。
この最新のDAコンバーターとラズベリーパイを組合わせて、なんと3万円くらいで作る事が出来るそうです。(Cさんの場合立派なケースに入れていますが、このケースが結構高いそうです)
この音を考えると、なんというコストパフォーマンスの高さでしょう。
(ケースの上面にCさんが貼ったスペック表です。なかなかカッコ良いですね。)
この音に貢献しているのはラズベリーパイだけでなく、最新のDAコンバーターAK4497の力も大きい物と思われます。
なんだかんだ言って、ケースを含めて、ざっくり5,6万で、これほどの高度な音が、再現できてしまうのですから、オーデイオメーカーにとっても大変な時代になったものです。(もっとも相当な腕が必要ですけど!)
まさにオーデイオ界の下剋上といえるでしょう!
間違いなくデジタル機器は日々進歩しているのを実感したのでした。
(今回の話とは関係ありませんが、久しぶりに聞いたこのLP、ケニードーハムのブルースプリングはいいですね。春にちなんだ曲ばかりを集めてあります。それにやっぱりレコードの音はなぜか気持ちが良いのです!)