ふたたびエリック・ロメールを見て思うこと。【緑の光線】と【木と市長と文化会館・または7つの偶然】 |
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2018年 11月 07日
少し前のことになりますが、NHKでエリック・ロメールの映画が放映されたので驚きました。
ロメールの映画は、そこそこのファンがいるようで、時々思い出したように映画館で特集が組まれたりしますが、TVではなかなか見ることがありません。 しかも作品数がやたらに多いので、その全てを網羅するのはなかなか難しいのです。 なんといっても1963年から映画を撮り始めて、最後の作品を撮ったのが2004年なのですから作品数もおおいのも当たり前。 なんと41年間も活躍していた映画監督なのです。 一昨年、横浜のジャック&ベテイというコアな映画館で特集が組まれたときに、数本見に行ったのですが、今回NHKで放映された2本、【緑の光線】と【木と市長と文化会館・または7つの偶然】のうち、後者はみたいと思いながらも見逃していた作品でした。 【緑の光線】とは太陽が水平線に沈む直前に一瞬だけ太陽の周りに輝く緑の光のことです。 これを見ると幸せになれると言われています。 実際映画のクライマックスにこの瞬間が登場するのですが、そのタイトルから想像するような夢見るようなロマンティックな映画ではありません。 現在恋人募集中の女性がヴァカンスをどう過ごすかと悪戦苦闘する話なのです。 ロメールの映画を見るとフランス人がいかに異性を必要としているかの切実さ?が伝わってきます。 この映画ではもう一つフランス人がいかにヴァカンスを重要視しているかもわかります。 どうやって恋人を獲得して一緒にヴァカンスを過ごせるか?それは見ていて涙ぐましくなるほど大切なことなのです。 例によって主人公はひたすら自分が何が好きで何が嫌いかをはっきりと表明しつづけます。 そして主人公以外の登場人物たちも自らの主張を頑なにしゃべり続けるのです。 そうです。ロメールの映画ではこの【おしゃべり】というのが一番大事な要素になっています。 登場人物たちは男性、女性、大人、子供を問わず、自分はどう思っているかということを表明し続けるのです。 これが苦手な方にはロメールの映画は恐ろしく退屈に感じることでしょう。 かくいう僕も、映画が始まってしばらくは、この延々と続くおしゃべりに退屈してしまいます。 ところがしばらくすると、いつのまにか映画の中の世界にどっぷりとはまっていて、これからどうなるのだろう?と期待に胸が高まるのです。 そしてその胸の高まりは最後には、え!なんでこうなの?みたいな結末になって肩透かしをくらうのですが、映画を見終わってしばらくすると、なぜかすんごくおもしろかった、良い物を見た、という充実感がじわじわと湧いてくるのです。 つたない説明で申し訳ないのですが、ロメールの映画は、その面白さが何なのかを、伝えるのがとてもむずかしいのです。 いったいその映画で何が言いたかったのか?そんなことがわからないのです! それでいてロメールは教訓とか、格言とかいうのが大好きなようなのですから、わけがわかりません。 僕の感想を一言で言ってしまうと、その訳の分からないところが面白いのです! 【木と市長と文化会館・または7つの偶然】はフランスの郊外にある古い村の市長が、そこに近代的な文化センターを建設しようとする話です。 この映画では環境問題についての政治的論議のシーンが嫌になるほど出てきます。 たいていの彼の映画と同じように、最初はおしゃべりしている場面ばかりなのですが、特にこの映画では、それが登場人物の政治姿勢の表明のような硬い内容なので、思わず眠くなってしまいます。 たいていの人はなんてつまらない映画だと思うことでしょう。ここで見るのを止めてしまう人も多いと思います。 ところが途中からどんどん引き込まれて行き、最後まで見終わってみると、【なんて面白い映画なんだ!】となるのですから不思議です。 その原因を考えてみると、一つはまったく異質なものが見られる、という好奇心的面白さがあるのは確かです。 しかし、これだけ好きになれるのは、好奇心だけではないはずです。 (東慶寺を訪れる人はほとんど知らないと思いますが、下の写真がもともとあった東慶寺の本堂です。現在のは新しいもの。) 文化センターを建設しようと市長は頑張るのですが、結局その試みは失敗に終わります。 ところがラストシーンでは挫折しているはずの市長が落ち込んでいると思ったらとんでもない、自分の広大な庭に村人たちを招いてパーテイなど開いて楽しそうにしているのです。 そうなのです。 彼の映画では自分の信念を固くなに表明し続ける主人公は、必ずしも表明し続けた(しゃべり続けた)ことと違う結果になっても、すんなりとそれを受け入れてしまう軽さと強さを持っているのです。 たとえば(夏物語)では二人の女の子とデートの約束してしまった主人公の少年が、いったいどうするのだろうと思ったら。 なんと二人の約束を破って一人ですたこら逃げ出してしまうのです! (下の写真が現在の東慶寺の本堂です) 水の漏れる茶碗が、偶然から幸運にも500両になったのに、それで満足しないで、さらに儲かるはずと、こんどは水の漏れる大きな壺を持ってきてしまう。 そんな、とんでもなくおバカな、落語に出てくる主人公と、どこか共通するような(おおらかさ)を感じるのです。 真面目くさった映画のようでありながら、見終わった後、なんとなく納得できるのは、そんな理由からかも知れません。 真面目なエリック・ロメールファンには物足りない説明かもしれませんが、お許しを! ようは、かように彼の映画は様々な角度から見られるということです。 (下は東慶寺の参道、昔はこの写真の反対側の突き当りに、わらぶき屋根の旧本堂があったそうです。)
by omoshiro-zukin
| 2018-11-07 09:12
| おもしろ映画
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