【みんな彗星を見ていた】。天正少年使節団を巡るさまざまなお話。 |
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2018年 11月 11日
【みんな彗星を見ていた】は星野博美さんが書いた、天正少年使節団と日本のキリシタンについてのドキュメンタリーです。
僕はノンフィクションが好きなので、大宅壮一ノンフィクション賞を取った彼女の【転がる香港に苔は生えない】を読んで、その面白さにはまりました。 その後【謝謝チャイニーズ】その【愚か者、中国を行く】も面白く読んだのですが、期待してよんだエッセイ【銭湯の女神】は、ちょっと普通すぎてがっかりしました。 続いて出たノンフィクション【こんにゃく屋漂流記】は面白かったものの、題材が今一歩私的すぎる上に、本人ののめり込み度が香港や中国ほどでないためか、ちょっと温度低めの気がしました。 そんなわけで、題材に関係なく、ただ彼女が書いたというだけで【みんな彗星を見ていた】を読んでいたのです。 読み始めるとぐんぐん引き込まれて行くような面白い本です。 大宅壮一賞をとった作品はただの体験談でしたが、こちらはものすごく熱心な取材の上に書かれています。 それをちょうど読み終わったころに、Cさんが我が家を訪ねてくる機会がありました。 話をしていると、たまたま彼の読んだ本【クァトロ・ラガッツイ】の話が出てきたのです。 これは若桑みどりさんが書いた、同じ天正少年使節団の本です。 彼女の名前はいくつかの美術関係の本でお馴染みでしたが、そのとき僕が読んでいた本と同じ題材のものを書いていたのは知りませんでした。 たまたま今、読終わった本と、同じ題材の本の話が出てくるとは思っていなかったので驚きました。 しかもCさんは、ちょうど今熱海のMOA美術館でこの天正少年使節団にまつわる展示をやっていることまで教えてくれました。 どういう理由かはわかりませんが、こういう偶然は良くあります。 世の中は、ある程度は偶然で成り立っているのでは、と思いたくなるほどです。 さて【みんな彗星を見ていた】の話に戻りましょう。 作者の星野 博美の特徴は、まさに女性ならではの(のめり込み方)にあると言えます?。 形のあるものにのめり込むならもっぱら男性ですが、抽象的なものにどんどん引き込まれて、徹底的にそれを探って行くという粘り強さは女性ならではのものに感じるからです。 それが今回の【みんな彗星を見ていた】はそののめり込み度が半端ないのです。 ふとしたことから天正の少年使節団に興味を抱いたことから、はじめはなんと、中世の楽器であるリュートを習うことから始めるのですから徹底しています。 このリュートを習う過程とリュートに関するさまざまな発見がなかなか新鮮で面白いのです。 少年使節団を追うにつれ、必然的に日本のキリシタンの歴史に入って行きます。そしてそれは当然ながら極めて悲惨で残酷な物語になります。 この本では、まるで歴史学者のような徹底的な取材も見事なのですが、僕が好きなのは彼女の公平な視点です。 殉教者は偉い、という単純な視点だけでなく、棄教したり寝返ったりしたりした人々にも目を向けています。 キリシタンの迫害は凄まじく、その処刑方法は想像以上に、凄まじいものでした。 火炙りと言っても、一気に焼くのではなく、じわじわと弱火で焼くのです。 そのほかにも砂浜に埋めて、潮がだんだんと満ちてくるのを待つとか、ともかく処刑に時間をかけているのです。 なんと残酷な、と思います。思わず顔をそむけたくなります。 人間はどうしてここまで残酷になれるのか!・・と薄ら寒くなります。 ところがこの本には、この残酷な処刑方法について、もうひとつの視点も出てきます。 それは中世にキリスト教会によって行われた魔女狩りにまつわる話です。 スペイン人の神父が語ります。 【日本の迫害は魔女狩りよりも残酷ではありません。 なぜなら処刑にわざわざ時間をかけたのは、その間に棄教できる時間を与えるためだったからです。 処刑の途中でも棄教を申し出れば命は助かったのです。 ところが中世の魔女裁判はちがいます。どんなに無実だろうが、心を入れ替えようが救いは無かったのです】 なるほど、一つの物事にはさまざな視点があるのです。 自分では気がつかない新しい視点を発見できるのが、ノンフィクションを読む面白さでもあります。 さてCさんはその後、熱海のMOAに行って(桃山の夢と幻+杉本博司と天正使節団が見たヨーロッパ)を見たそうです。 中でも、杉本さんの新作の写真はとても素晴らしかったそうです。 それを聞いて、昔杉本さんの写真が好きだった僕も、行こうと思ったのですけど、まごまごしているうちに、気がついたら、この展示はすでに終了していました。残念。
by omoshiro-zukin
| 2018-11-11 08:23
| おもしろ本
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