【東次郎 家伝十二番】 第二回目にして、さらに狂言の面白さにはまる。【花盗人】と【抜殻】 |
カレンダー
カテゴリ
ブログジャンル
最新の記事
記事ランキング
最新のコメント
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 07月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 画像一覧
検索
メモ帳
最新のトラックバック
ライフログ
タグ
その他のジャンル
ブログパーツ
外部リンク
ファン
フォロー中のブログ
|
2019年 06月 08日
昨年の10月に初めて狂言を見てから、すっかりはまってしまいました。
狂言を見終わって能楽堂を後にするとき、決まって感じるのは、良いコンサートを見た時と同じ心地よさなのです。 【いいものを見せてもらった!】という充実感と、あまつさえ、すっきりとした開放感もあります。 特に声の響きの見事さとか、全体に流れる独特のゆったりとしたテンポは、見終わった後、オペラを見たのに負けないほど充実感のあるものなのです。 狂言の世界は世襲制です。 世襲制については、いろいろと論議がありましょうが(特に政治家の世界は?) 世襲制ならではの、幼いときから叩き込まれた訓練が、本物を作り出す道の一つであるということは事実のように思えます。 日本絵画の筆についても、幼いころから体に覚えさせる世襲制でないと、その技術は継承出来ないのかな?とも思ってしまいます。 特に最近の作家の日本画を見ていると、ですが・・・。 (ここから下の数枚の写真はみなとみらいで開催されていた、GOOD DAY PARKです。なかなか雰囲気の良い催しです) 今回は東次郎さんが横浜能楽堂と組んで企画した【東次郎 家伝十二番】の2回めです。 初回の能のような狂言の荘厳さと様式美には感動しましたが、今回もまた通常の狂言では、あまり見ることのできない曲を見ることが出来ました。 1年を通じて毎月行われるこの企画は実に素晴らしいもので(しかも料金も格段に安いのです!)2回めにして早くも後の10回が楽しみになるほどでした。(早めに全公演のチケットを購入してあってよかった!) 2回めにして早々に東次郎さんからの別紙メッセージが一枚入っていました。(もちろん印刷ですが) そこには好きな曲を、東次郎にひっかけて十二番、思い切りやってくださいという、横浜能楽堂のからの提案を受け、ありがたく受けたという経緯と、【家伝十二番】というタイトルに少々誤解があるため、その説明が書かれていました。 それは本来の家伝である12曲というわけではなく、東次郎さん自身が、もう一度やっておきたい曲、特別に好きな曲が選ばれているそうです。 もちろんそこには、普段の公演ではなかなか演ずる機会のない囃子入の曲や大曲も含まれています。 そしてこの機会に甥たちに習いの曲を初段で演じさせるということだそうです。 我々見る側に取っても、これはまさに絶好の機会なのです。さすが企画力で有名な(らしいです)横浜能楽堂です。 さて今回の最初の曲は【抜殻】です。 実はこの曲は昨年11月に和泉流で見たことがあります。 今回は山本則秀(シテ)、山本則重(アド)が演じます。 この二人は【則秀・則重の会】という名前で渋谷のセルリアンタワーで定期的に公演しているそうです。 さて二度目の抜殻ですが、これが飽きるかと思ったらとんでもない、実は開演前はものすごく眠かったのですが、始まるととても寝ている暇などなかったのです。(これがクラシックのコンサートとの大きな違いです?) さすがに普段から二人で演じているだけあって、とても息のあった見応えのあるものでした。 それにしても、どうして狂言の登場人物たちはこれほどとぼけているのでしょう。 その性格描写は複雑すぎて、人が良いのか、悪いのか、頭がいいのか悪いのかさっぱりわかりません。 これは落語の与太郎と似ているところがあるかも知れません。 落語の与太郎は徹底的にバカなので、様々な人におちょくられるのですが、聞いているうちに、もしかしたら与太郎のほうが頭が良くて、おちょくっていると思っている人が逆におちょくられているのでは?と思ったりすることがあるからです。 この抜殻の主人も人が良いのか悪いのか、酒好きな太郎冠者と知りながら、請われるがままに、とぼけて大酒を飲ませるのです。 (しかも飲ませる本人は下戸というのですから、人が悪い?) というのもこの手紙の相手の恋人というのは男性らしいのです。(この頃はあまり珍しくはなかったそうですが) 大酒をくらった太郎冠者は手紙を届ける途中、泉のほとりで寝入ってしまいます。 そこにあまりに酔わせてしまったので、心配した主人が様子を見に来ます。 そしていたずら心を起こして、寝ている太郎冠者に鬼のお面をかぶせて家に戻ってしまいます。 目をさました太郎冠者が水を飲もうと泉に映った自分の姿を見て、湖に鬼がいると驚くのですが、そのうちその鬼が自分の姿だと気が付きます。 さて大変です。寝ている間に鬼に変身してしまったのです。 どうしてこんなことになってしまったのか! と太郎冠者は大声で嘆き悲しみます。 ところは主人も意外と人が悪いのです。 鬼のお面をかぶせて、いたずらしたくせに、鬼になったと思った太郎冠者が戻ってきて、鬼でもここに置いてくださいと泣いて頼むのをつきはなしてしまうのです。 太郎冠者も酒好きのしょうもない奴なのに、鬼に変身してしまったと思い込み、号泣して主人に泣きつくという、みょうに純情だったりするのです。 その声をあげて泣く姿も、狂言ならではのデフォルメが効果的で、一層本当らしく感じてしまうのも不思議です。 最後は、主人に追いだされて絶望した太郎冠者が、泉に身を投げようとする瞬間鬼の面(おもて)が外れます。 そのお面を見た太郎冠者がわざわざ主人に、そこに鬼の抜殻があると見せに行く場面など実にシュールです。 そもそも寝ている間に面をつけて、起きて水に写った顔を見て鬼に変身してしまったと勘違いするというストーリー自体、現実には起こりえない実にシュールなものなのです。 面というのはこの場合象徴的なもので、人はだれでも自分の中に鬼を持っていて、それがなにかの拍子に顔を出してしまう。 そんなことを描いたという解釈もできそうです。 狂言の鬼の面は【愚悪】といい、鬼にしてはとぼけた顔のものが多いののですが、今回の面はけっこう怖い感じのものでした。 面をつけられて自分が鬼に変身してしまったと思いこみおいおいと声をあげて泣く太郎冠者ですが、その嘆きがなぜか良く解るような気がしたのです。見応えのある曲でした。 (まだ続きます!)
by omoshiro-zukin
| 2019-06-08 20:01
| おもしろ狂言
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||