アナログを鳴らすのは難しい!その2、 魅力はあれど道険し! |

前回でLUXMANのシリーズとSPUを揃えるところまで行ったのですけど、これだと明らかに見劣りするのがデンオンのレコードプレヤーです。(失礼!単純に値段の比較です)
そこで有名な英国のトーレンスTD-125というのを、これまた現在では考えられないほどリーズナブルな値段で手に入れることが出来ました。
2000年代の初めころにはまだアナログ製品に人気がなくてとても安かったのですね。
しかも最初期のまだまだ使えるDL-103がついているというお得なお買いものでした。
これで完璧か!と思ったのですけど、またまた親切にも忠告してくれる方があらわれ、その方の言うにはトーレンス125についているアームでは良い音は出ないと言うのです。
確かに簡素でシンプルなアームではあります。
そこでオーデイオに関してはすべて先達の人の意見を素直に聞いていた僕は(結局ずーっとそうだったんですね)勧められるままにこんどは工芸品のように精度の高い作りのサエクのアームを手にいれたのです。(SMEのコピーにすぎないという人もいるし、こちらの方がSMEより精度が高いと言う人もいて、これも評価が2分するようです。人によっては125のオリジナルアームが良いという人だっています!)
さらに125にサエクを取りつける板の制作を木工をやっている知人に頼みカーボンを張り付けた立派なアームベースまで作ってもらったのです。
「どうだ、これでこそ完璧だろう!」と思いましたが、そのころ追い求めていたJAZZ喫茶のエネルギーに溢れるJAZZの音はやっぱり聞こえないのです。
何を隠そう古き良き英国製のデイットン25というスピーカーはよほど柔らかい音を出すスピーカーだったのだと気が付いたのはつい最近のこと。
そしてLUXMANのアンプも実に芳醇で柔らかい音を出すアンプだったのかも知れません。
クラシックを主に聞いている今なら、とても気に入った音だった可能性が高いのですけど、失った時と音はけして帰ってきません。
ほんとにオーデイオは人生の教訓を深く感じさせる趣味と言えるでしょう?
このアームを勧めてくれた方の持っていたアキュフューズのプリ(もちろんフォノイコ内蔵)を聞かせてもらうと、LUXと違い、ぱりっとしてエネルギーのある音がするので、なんとかお願いしてこれを譲って頂くことになりました。
これでLUXMANとアキュフユーズの国産ハイエンド両党使いという、なんとも豪華な組み合わせになったのですが、もちろん長くは続きません。
何と言ってもスピーカーが一番音が変るはず、そこでスピーカーが店頭で聞いて一発でその音色が気にいったLOWTHERに変りました。
バックロードホーンの箱にはいった反応の良いスピーカーです。(このスピーカーの音については賛否両論あり、しかも否のほうがずっと多いことが判明したのは、これもずっと後のことです)
しかしLOWTHERは真空管アンプで鳴らさないと壊れるという店主からの忠告があり、これにも素直にしたがい、LUXMANはヒノオーデイオ製の2A3シングルにその座を明け渡すことになったのです。
これもまた今考えると2A3のシングルアンプでそんなに勢いのあるJAZZが聴こえるとは思えないのですけど、このころはすでにだいぶクラシックにシフトしていたのでこちらでも良かったのかもしれません?
しかし勢いのあるフォノイコ(プリ)と言う点ではアキュフューズよりダイナコのPASSⅢでした。
そこでいつしかプリは真空管のダイナコとなりパワーも2A3の真空管となって、国産ハイエンドからずっと簡素で低廉ながら、ずっとマニアっぽいオール真空管のシステムとなったのでした。
オーデイオを始めた当初のアナログはやらないCD一本で行く、費用のかかる真空管アンプには手を出さない、という二つの誓いは早くも数年でもろくも崩れ去っていたのです!

このへんで収めておけばよいものを、また新たに知りあった方から新しい知識がどんどんと流れてきます。
まずスピーカーですが、「やっぱりシングルは厳しい、2ウエイにすべきだ」との意見を取り入れエレクトロボイスのツイターを買いこみその方に特製のネットワークまで作成してもらいました。スピーカーの上にちょうど乗るくらいの大型の立派なネットワークでした。
見るからにマニアらしいいでたちになり、音も僕には満足できるように聞こえたのですけど、この組み合わせの評判のわるい事!
コード作りの名人からはネットワークの音がしてしまう、先輩たちからはLOWTHERにツイターの音が合わない、GRFさんなんか一瞥しただけで顔をそむけてはなから聞いてくれようともしませんでした。
そんなこともあり僕自身もあまり納得できる音でもなかったので、このツイターはしまわれてしまいましたが、このネットワークの制作者の方からもう一つアドバイスがありました。
それは「TD125なんて駄目だよ、トーレンスはやっぱり124じゃなくちゃね、全然違うよ!」とのこと。
しかも手元にモーターを変えたばかりの程度の良い124(トーレンスの124初期型です)があるので、安く譲ってくれるとのこと。
しかもこ新品同様のSMEのアーム付きです。
もちろん素直な僕はそれを譲ってもらったのです。言われた通りこれもとんでもなく安い値段でした。
こうやって色々アドバイスしてくれる方と沢山知りあいになれたのはたいへん素晴らしいことです。
でもその度にその方たちの意見を素直に取り入れてきたので機材が変るのが早い事、早い事!、そして費用も、と思われれるでしょうが、それは大丈夫でした。
幸運にも、ほんとに幸運にも、こうやって出会った方たちは親切な方ばかりで、タイミングよく貸してくれたり、作ってくれたり、安く譲ってくれたりするのです。
まるでオーデイオの神様が奨学金をくれ僕に安い費用で勉強させてくれているかのようではありませんか!
オーデイオの神様と出会ったオーデイオの先輩たちに感謝!
おかげさまで随分と勉強させてもらったのですが、オーデイオを初めて10数年、最近になってやっと解ってきたことがあります。
それは勉強している割りに進歩が遅いこと、そしてもっとつきつめると、僕はこの方面には素質が無いのではないかというおおきな疑問です?奨学金までもらっているのになんともったいない!
僕はオーデイオを趣味にするにはあまりにもずぼらで、不器用で、怠け者のようなのです。
それに貧乏という追いうちまでかかるともはや決定的か?
それでも麻雀で、負けるのが解っていても懲りずに辞めない才能のない人ように(最近麻雀する人が減りましたね!)懲りずに色々手を出してしまうのはやっぱり好きなのでしょう。
好きと才能とはまったく別問題なのですね。
そして現在はこれまた素晴らしい方と出会ったおかげで最新型、乾電池駆動の電流式の金田プリ、と金田フォノイコを使ってアナログの新たな地平の世界を覗いています。
これまた驚くような世界でした。
このさい「下手の横好き」とは「好奇心が沢山あるね!」という褒め言葉だという事にしておきましょう!
